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【絵本レビュー】 『夜の守り人』

作者/絵:Colorful_n
出版社:絵本ひろば/アルファポリス
発行日:2018年12月

『夜の守り人』のあらすじ:

せかいの「夜」をパトロールしている守り人(もりびと)。
ある夜、うねうね風がやってきたから さぁたいへん!
うねうね風がつよすぎて、夜空の星がふきとばされ、おっこちてきた!
守り人は星たちを守るため、まっくらな空へとびあがり星をつぎつぎに
キャッチしますが、あまりの重さで湖におっこちてしまいます。
泡になって消えてしまった星たちを思い、守り人はある行動にでます。

失敗してもだいじょうぶ。
上を向いて、自分に何ができるか考えよう。

『夜の守り人』を読んだ感想:

どんなに頑張ってもうまくいかなくて、自分自身が嫌になってしまうことってありますよね。そんな時に月のクイーンや湖紳士のように、誰かに優しい言葉をかけてもらいたいなと思うのですが、それよりも私は優しい言葉をかけてあげられるのだろうかと、考えてしまいました。自分が失敗したら優しいことを言ってもらいたいのに、他の人が失敗したら怒ってしまうなんて、理不尽ですよね。イカンイカン、気をつけよう。

さて、星空といえば、旦那の友人が山の上に自分で建てたという山小屋に行った時のことです。その人はお兄さんと二人でその小屋を建てたそうなのですが、二階建てのとても立派なものでした。水道は通っていましたが、電気は発電機を使っていたので、夜は暗くなる前に夕食を食べ、暗くなったらさっさと寝るという数日でした。周りに家もないし街灯などもありませんから、家の周りは本当に真っ暗でした。その暗闇から時々カランカランと牛の首についた鈴の音と、モーと牛が小さな声で鳴く声が聞こえます。その家の隣が放牧場になっていたのです。

そんな時、旦那の友人が「外においでよ」と呼ぶ声がしました。二人で降りて行くと、その友人がカメラの三脚を設置しています。「カメラ持っておいでよ」と言われて、私は部屋に戻ってカメラを持ってきました。座って上を見ると満天の星空。黒いところが見えないのではないかと思うくらいたくさん見える星は、まるで誰かが舞台の背景として作ったかのようで、本当に星だとは思えませんでした。
「えっ、これ全部星?」
思わず言った私に大笑いする旦那とその友人。都会育ちの私は、こんなにたくさんの星を見たことは滅多にありませんでした。
「ほら、あそこに北斗七星」
そう言われても、あまりに星がいっぱいで、街中で見るより見つけるのが難しいくらいでした。

私たちはカメラを脚立につけると、シャッターをオープンにして待ちました。最初は10分、そのあとは15分と色々長さを変えて撮ったのですが、一番楽しかったのはその間にみんなでいろんな話をしたことです。旦那の友人の奥さんがお茶を持って出てきました。4人で庭に置いた切り株に座り、たわいもない話をして行くうちに、話題も世間話から自分自身の話へと深まっていきます。それとともになんだか距離感も狭まって行くように感じられるのです。星空を見ながら意地悪な気持ちになるのは難しいですね。抱えきれないくらいの星が落ちてくるという1ページを、私はあの時山小屋で見たそんな星空を思い出しながら読んだのでした。

今見ている星は何億光年も前に存在していた星の光、ということは理論としては理解できているけれど、私たちの存在を超えたさらに大きな存在にはやっぱり魅了されるし、その偉大さに圧倒されるばかりです。久しぶりに満天の星空が見たいです。



『夜の守り人』の作者紹介:

Colorful_n
貼り絵でイラストや絵本を描いています。 アルファポリス主催「第12回絵本・児童書大賞」にて優秀賞&奨励賞受賞。
twitter: https://twitter.com/colorful7space?s=20
Instagram: https://www.instagram.com/colorful_paper_space/


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