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【絵本レビュー】 『11ぴきのねことへんなねこ』

作者/絵:馬場のぼる
出版社:こぐま社
発行日:1989年12月

『11ぴきのねことへんなねこ』のあらすじ:


11ぴきのねこが魚釣りをしていると、水玉模様のへんなねこがあらわれました。ねこたちは気になって気になって後をつけますが…。

『11ぴきのねことへんなねこ』を読んだ感想:

11ぴきのねこまたまた失敗してしまいましたね。それにしても宇宙に行ってどうするつもりだったんでしょう。こんなに失敗ばかりしている主人公も珍しいですよね。

私が引っかかったのは、「へんなねこ」でした。「へん」なねこってどんなねこだろうと考えていたら、出てきたのは水玉の猫。息子を見ると大して変とは思っていなそうです。ねこの毛の色が変わった途端すごい反応を示しましたが、ただ単にかっこいいと思ったようです。

「へん」とか「変わっている」というのは、子供の頃の私の代名詞だったように思います。まず、名前が変(父に感謝)。テレビの話が変で噛み合わない(父に感謝)。いうことが年寄り地味ていて変(さらに父に感謝)。最後に入学時の髪型がモンチッチみたいで変(父よ、心からありがとう)。入学して2日目くらいにはすでに「おまえのあたまへ〜ん」という生活が始まっていました。こんなでしたから、6年生が終了することには、私は筋金入りの「へん」キャラとなっていて、他の女子のようにそのまま上の中学に進むことなく、この変なねこのように「おー、みなさんいい人。ありがとう。さよならー」と消えて行ったのです。

宇宙人だから変だったのか、変だから宇宙人として納得させるのかはわかりませんが、宇宙船に乗って飛んで行ってしまった私は今変な人ばかりがいる場所にいて、子供の時の「私って違う」感がなんとなく懐かしいなあとも思っているのです。

『11ぴきのねことへんなねこ』の作者紹介:

馬場のぼる
1927年青森県三戸町生まれ。1949年、上京し漫画家としてスタート。少年漫画家として人気を得る。1967年に出版された「11ぴきのねこ」でサンケイ児童出版文化賞受賞。「きつね森の山男」が絵本デビュー作。「11ぴきのねことあほうどり」他で文藝春秋漫画賞受賞。「絵巻えほん11ぴきのねこマラソン大会」でイタリアの子どもたちが選ぶ、エルバ賞を受賞。2001年永眠。

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