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おせんべいくんとぷりんちゃん 14話
14話
ある夜、おせんべいくんは、眠れなくて、外に散歩に出ました。
その日は、非常に強い勢いの台風がおせんべいくんの住んでいる地域に接近してきており、暴風警報が出ていました。
外は、ガタガタと窓ガラスが揺れ、割れんばかりの強風で、鋭い風の音が、空を切り裂いていました。
何だか胸騒ぎがしながら、真夜中の散歩に出たおせんべいくんは、ふと、バス停にだれかがおき忘れた、女性物の小さ
『おせんべいくんとぷりんちゃん』13話
十三話
おせんべいくんは、自分自身の同化性について、よく理解していました。
よく言えば聞き上手、悪く言えば主体性がなく、人の言う通りにしか、行動ができないのです。
おせんべいくんは、他人と接すると、いつも混乱しました。
人の話を聞きすぎるあまり、自分と他人との境目がなくなり、他人の意見や思想が、まるで自分のもののように感じられてしまうからです。
二人きりになると、おせ
『おせんべいくんとぷりんちゃん』 12話
12話
おせんべいくんのお父さんは、ある日、車を運転していました。
しかし、なにかのタイミングで、ハンドルを切り損ね、石油タンクに車をぶつけてしまいました。
おせんべいくんは、その車に一緒に乗っていました。
あっ、と思った矢先、その石油タンクからは次々に石油が溢れ、周りの道路は、あっという間に石油だらけになりました。
ひしゃげたタンクの中で、なにか蠢くものを、おせんべ
『おせんべいくんとぷりんちゃん』11話
11話
さあ、何から始めようか。
おせんべいくんは、気分が落ち込んだ時、いつも、こう言って自分に言い聞かせていました。
どうやって終わらせるのか、ではなく、何から始めるのか。
この考え方は、おせんべいくんの胸を震わせ、新しい、なにか良いことが起こるような、ワクワクした期待感を、自身に感じさせました。
しかし、必ずといっていいほど、その高揚した気分は、冷酷な現実によって、あっさりと裏切られ
『おせんべいくんとぷりんちゃん』十話
十話
おせんべいくんは、よく同じ夢を何度も見ました。
たとえば、自転車に乗ったまま、デパートの中を駆け抜ける夢。
おせんべいくんは、お気に入りの自転車で、広いデパートの中を、縦横無尽に、走り回ります。
色とりどりのアイスや、様々な形のコーン、トッピングなど、何百種類という組み合わせの中から選べる、アイスクリーム屋さん、子供服からおじいちゃんおばあちゃんまで、あらゆる年代、あ
『おせんべいくんとぷりんちゃん』9話
9話
おせんべいくんは、ある日の下校途中、校門の前に落ちている絵を見つけました。
その絵には、老婆が描かれており、悲しそうな、物憂げな表情を浮かべていました。
リーダー格のクラスメイトの一人が、その絵を見つけると、ふざけながら、足で老婆を踏みつけ始めました。
「なんだこの絵、ばあさんだ。ばばっちいな、ホレ!」
そのクラスメイトは、他の仲間たちを呼んで、絵を足で蹴ったり
『おせんべいくんとぷりんちゃん』八話
八話
その時、ふいに、おせんべいくんにだけ聞こえる声で、そっと耳打ちしてくる女の子がいました。
「席、変わってあげるね」
それは、ぷりんちゃんでした。
ぷりんちゃんは、おせんべいくんの返事も待たず、おせんべいくんの隣に座るはずだった女の子のところへ行き、なにか小声で喋ったあと、すっと、その子と席を変わりました。
その女の子は、おせんべいくんの席からはずっと遠くの、後ろ
『おせんべいくんとぷりんちゃん』7話
7話
おせんべいくんの学校では、月に一度の席替えがありました。
先生がランダムに席順を決め、みんなの前で一斉に発表するというものです。
男の子と女の子は必ず隣り合わせで、左側に男の子、右側に女の子が座りました。
その日、発表された席順で、おせんべいくんの隣に座ることになったのは、例の、おせんべいくんのことを詰問し、追い詰めた女の子でした。
開口一番、その女の子は言いま
『おせんべいくんとぷりんちゃん』六話
六話
おせんべいくんは、教室でお掃除をしていました。
床を掃いて、ゴミを集めるのが、おせんべいくんの係りの仕事でした。
おせんべいくんは、床が綺麗になっていくのが好きで、いつも端から端まで、教室の床のゴミを丁寧に掃き、細かいチリひとつ残さずに、掃除をしました。
「おせんべいくん、おせんべいくん」
ふっと、自分が誰かに呼び止められたことに、おせんべいくんは気付きました。
『おせんべいくんとぷりんちゃん』5話
5話
おせんべいくんは、ある日、園での運動会の片付けのとき、倉庫に用具をしまおうと、倉庫の扉を開けました。
片付け時間が押していたので、おせんべいくんは、焦っていました。
すると、そこに、運動場に白線を引くために使用する、石灰がびっしりついたスコップを持った年長組の男の子が立っており、勢いよく倉庫に入ろうとしたおせんべいくんと、衝突してしまいました。
その時、年長組の男の子がも
『おせんべいくんとぷりんちゃん』四話
四話
おせんべいくんは、幼稚園のころ、プールの時間が苦手でした。
母親が、お風呂を嫌がるおせんべいくんを、無理やりお風呂に入れようと、顔から力任せに、湯船につけさせたり、熱湯のシャワーを泣き叫ぶおせんべいくんの身体に、かけたりしていたからです。
その時の母親の顔は、悪鬼のように歪んでおり、おせんべいくんのことが、憎くて憎くて仕方ない、というような表情をしていました。
また、おせ
『おせんべいくんとぷりんちゃん』3話
3話
ある夜、おせんべいくんは、テスト勉強をしていました。
一人で、部屋にこもって、ひたすら、勉強に打ち込んでいると、いやなことをなにもかも忘れることができました。
学校のクラスメートのこと、先生のこと、両親のこと、自分を追い詰める人間たちのことを、頭から切り離せるということは、なんて素晴らしいんだ、と、おせんべいくんは思いました。
歴史、古文、英語、数学、どれも魅力的で、暗記
『おせんべいくんとぷりんちゃん』2話
二話
おせんべいくんは思いました。
じぶんとたにんは、どこかが決定的に違うのかもしれない。
なにか致命的な、人として、一番だいじななにかが、ごっそりと、ケツラクしているのかもしれない。
だから、じぶんは、まわりとうまく馴染めないのかもしれない、と。
それをたしかめるために、おせんべいくんは、同じ園の友達と一緒に砂山を作っているときに、わざとに、砂山を手で崩してみました。
目次に代えて
このノートは、他の文筆系創作者さんたちの方法を真似て、私の創作の「目次」を用意させていただくために投稿したものでした。
その内容を全消去させていただきます。
そのうえで、私がこのSNSを去った経緯の記述に代えさせていただきます。
勝手なことをして、本当に申し訳ありません。
これを除いて、私の最後のノートは以下のものでした。
https://note.mu/myoan/n/n475a3fc22db