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「秘密ヲ最果テニ」の感想

言の葉便り(霜月彗さん)制作のボイスドラマ「秘密ヲ最果テニ」の感想です。キャラ詳細などはこちら(Ci-en)で見れます。

ボイスドラマは以下より(You Tube)

ここから下はネタバレ有りの感想です。

考察というにはおこがましいですが、あれこれ考えてみたりもしました。正解かどうかはともかく、こう考えたんだな〜程度に思ってもらえたらと思います。語彙力死んでます。






本当に読むんですね?いいんですね?本編聴きましたね?ネタバレOKな人だけ下へいってください。







これまで、作ってきた作品でばったばったキャラを死なせてきた私が言えることじゃないことは重々承知の上ですが、すごい学校ですよね。ここ。

でも、ちゃんと舞台として整ってるというか、「戦争国家」っていうのが重要ですよね。戦争に駆り出される少年少女たちだから、最初こそそうでなくても、長くいればいるほど、死ってのは身近になると思います。だからあんまり意識しなくなるのかなあ。白莉や黒波みたいにね。


それで、あの…、白莉と茶奈が死んだことも日常のひとつになってそうだな〜って思ったりしました。戦争っていうからには勝者と敗者がいるわけで、その敗者になってしまうのなら、命が終わると同じことだと思うんです。怪我とかでね、助かるかもしれないけど。どうなのかな、軍人としてのプライドが許せるのかどうか。つまりは、負けるなら死ぬということ=学校で誰か死んでもそういうものとして受け入れられるというか。


ところで、最初ですね、紫苑さん癒やし系の声だわ〜と思ってたら露仁さんにあんな話持ち出して、「いやいや貴方想像より肝がすわってるのね?」ってなりました。茶奈が心中っていうから、そうなのかなって思ってたら青磁くんが殺してた。そして、人を殺したことがあるという秘密。


これを聞いた時点で、「青磁、両親か親のどちらか殺してるだろうな…」と思いました。その理由はわからないけど、妹のためだとしたら、
①両親(あるいは親のどちらか)が妹にひどいことをしてた(計画型)、
②単純に妹への独占欲、
③うっかり勢いでやりすぎた(突発型)
のどれだろう?と。

計画型は計画を立ててやったケース、突発型はその場で頭に血が上ってやったケース。ちなみに、番号は可能性が高い順ですね。①かな〜と思ってたら、最後の秘密を聞いて、②の可能性もある……のか…!?ってなりました(笑)③はないな。恐ろしいほどに、理性的すぎるから。か、別の可能性もあるけれど。


シスコンかはわからない、って青磁は言ってたけど、そりゃそういう言い方にもなるよね。本人にとっては妹ってより好きな人だもん。好きな人は守りたくなるもの。血は繋がってないってことは養子とかなのかなあ。この場面、役者さんの演技が上手いから、うまく騙されました。


茶奈、お父さんにはまだ殺すことを許されてないみたいだったけど、当の本人はやってたんですねえ。見過ごせないほどになってきたから黒波が殺すことになった、と…。いい方面で解釈すると(白莉のいう娘がかわいいの方)「娘には自分のようになってほしくなかった」という親心。悪い方面で解釈すると、「焦らして焦らしてついに人を殺した時の感覚を覚えさせる」というドSなやり方。

……前者希望です。作者の霜月彗さん、優しいから親心残してくれてそう。(そこか)茶奈、紫苑と露仁が死んだ時泣いてたし。

でも後者も有りだな。というのも、黒波に挑発されて殺そうとした茶奈、父親譲りな面が見えた気がしたから。モノローグが来た時点で、白莉も茶奈も死んじゃうのかな…って悲しくなった…。

ていうか、ここで殺した相手の娘を挑発する黒波よ。君ね、そういうところあるよね。冷たいというか冷静だよね。無慈悲だよね。嫌いじゃないけど(むしろ好き)。


終盤で明かされる、茶奈のお父さんが黒波の親を殺してたっていうの。恨む相手を殺せただけじゃ飽き足らず、娘に対して自分を殺せとけしかける。何?「俺は殺されないしお前には無理だろ?」と言いたげなそれ、何?好きです。態度でかいというより、自信のあらわれな気もする。


黒波でいうと、「俺の隣に二人もいらない」って台詞、超好きですね〜。白莉しかいらない、いるのは白莉がいい、選ぶのは白莉という圧倒的白莉への信頼…を裏返した、依存というか求めてる感じが良き……ってなりました。まあ、その後白莉死んじゃうんだが。(黒波ズタボロ)


白莉は終始優しい子だったな。もちろん仕事なら人も殺すし、死を間近で見ても泣かないという子だけれど。言葉は悪いけど、一番、意味のある死に方だったようにも思うし。


黒波に銃口を向けられて(白莉の手もそえてんのヤバ…)、茶奈が選んだのは青磁に殺されること。ここ、すごく重要だと思うんですよ。あんなに認めて欲しがってた黒波ではなくて、青磁を選んだ。それは、白莉の手もあったから?それとも、青磁に覚えてて欲しかったから?

うん…。私でも青磁を選ぶかもしれない。最期に見る光景は、好きな人の方がいいから。自分が敵わない人、死なせてしまった人を見ながら死ぬよりも、(色んな意味で)好きな人の方がまだ耐えられる。茶奈、父親がしてたこと知らなかったからこそ、殺されて怒った気もする。家族ってのもあるけどね。


ひとつ分からないのが、黒波が殺したってなんで茶奈はわかったんだろう。手紙っていうのは、訃報を知らせるものだと思ってたけど、それを持ってきたのが黒波だからすぐわかったってことなのかな。勲章を持ってたから?でも勲章はおそらく依頼主に渡してると思うから、それはないと思うんですよね(死んだ人が身につけてたものを殺した証拠に持ってくるっていうのヤバい。めっちゃいい)

だから手紙を持ってきたのが黒波だから説が濃厚かな…?じゃなければ、白莉が慌てた様子だからそれで察したのかな。あ、訃報を知らせる紙に書いてあったのかな。黒波に討たれて死亡、みたいな。それだったら一番わかる。けど、どうなんだろう…、聞き落としてるだけかもしれない。


さて、問題の黒波。この人さ…最後までほんとに波立てていったね。たぶん、この時青磁に渡したビー玉って白莉からもらったものだよね?で、それを託して自分は死ぬと。好きなものは今後もないってきっぱりいってたけど三年間大事にしてるあたり絶対好きでしょ。ビー玉。白莉。

白莉があげたという前提(*前提1)がないといけないけど、好きな人が遺した物を見ながら死にたいか、思い出しながら死にたいか?ビー玉を見ながらだと引き金引けないと思ったのかな?そんな人情派だとも思えないので、きっと割り切ってたと思うけど、思い出す方を選んだのかな…。もういらないって言って死ぬけど、ねえ、会うつもり満々じゃない…?先に行った(逝った)白莉に会うつもり満々じゃない??(*前提2)

黒波ぃ……そういうとこあるよね……想い抱えてんじゃないの?ねえ…?(そういうのが好き)

それで、なんで三年後になってから死ぬんだ?と思ったんですけど、黒波は20歳なんですよね。軍に移動(異動?)する年齢。白莉との思い出のある場所(学校)を出るということは死と同じだったのかな…。だから生きてる意味はないというか。

もしくは、青磁が茶奈を殺したことを黙る代わりに自分が死を選ぶ時はそれを隠すようにという約束をしたのかな。その死ぬタイミングが、軍にうつるという時だった。という。

ビー玉はある意味、白莉と黒波をつないでくれてたもの(*前提1)だけど、会いにいく(*前提2)からもういらない。自分は白莉のいない世界はもういい、いる世界へいくんだというように退場する。白莉が死んだ時に自分もその場で死ぬより、こっちのほうがよっぽど重症感ありますね…。そんなに大事だったんだね、みたいな…。


それから、青磁の妹、朱里。

天使の顔の「枷(かせ)」だと思いました。あの約束とかね。死なないでねって。青磁は守るって言ってて。

青磁は、約束を守るためなら、自分が死なないために、そして朱里を守るためなら、誰でも殺す人になるだろうと思う。ある意味、戦場に行く軍人の“適性”はすごくある。

青磁が行動する理由を作ってるのは朱里だし。意味を与えてるのも朱里。枷ではあるけど、動けないっていうよりむしろ、必要以上に動かないようにしてるっていうか。

実は青磁の秘密知ってるんじゃない?秘密と思ってるの青磁だけじゃない?ということまで考えるときりがないのだけど、知ってて約束をしてるんだとしたら、一番……、えげつない。まあ、青磁は知らないっていってるから知らないと思うんですけど。


あとタイトルね。秘密を最果てに。最果てって死ぬまでってことかな?死んだ後も…かな。青磁は、絶対に朱里に秘密をいわないし悟らせない、ってことかなあ。

……っていうか、みんなの死も(それに関することも)秘密として持っていくような、そんな気もした。


ーーー

つらつらと書いてきましたが、ほんとに一個人の感想なので、「君はそう考えるのね!オッケー!」くらいのゆるい感じでとらえてください。


これは私が普段からエグいのばっかりインプット・アウトプットしてるせいだと思うんですが、衝撃は受けたものの、あまり重くは感じませんでした。人の心がないのか。(ないんだろうな)

この作品を重い、辛いと感じる人は優しい人だと思います。耐えられなかったらどうしようと思っていたので、聴けて良かった。

逆に今の私が耐えられないほどとなると相当暗い作品になってしまって聴く人を選びそうだけど、この作品は聴く人を選ぶことはなさそう。と思ったものの、私が耐性あるだけな可能性もあるし、人によって感じ方って違うので、とりあえず聴いてくれとしかいえない。(もしこれ見て「自分は平気だ!」って思って聴いた人がうちのめされたら大変なので予防線をはるズルい人です)

だから、ストーリーがというより、キャラクターそれぞれの抱える闇深さが怖いなと思いました。

たぶん、重く感じなかった理由は、どれだけ人が死んでても主人公の青磁はこの先も絶対死なないと思える説得力のある演技とストーリーだったからだと思うし(主人公が物語の最後に生きてる限り、その物語は終わっても世界は続くので“未来”を感じさせる)、最初のほうがわりと爽やかだったからってのもあるのかなぁ、と。部分部分で闇を見せてるけど、そういうところ(上述箇所)の影響が大きいかな。


青磁、泣いてないもん。茶奈みたいに泣いたり怒ったり感情を出して、悲しんでるってのが出てると、こっちも引きずられるかもしれないけど、青磁は泣いてない。動揺してるのを白莉は見抜いてたけど、それくらい。黒波との約束を守り、悲しそうな雰囲気すら見せない。淡々と始まった物語が淡々と終わったようなかんじで、だから引きずられるってこともないのかな〜と思いました。私はね。想像力足りないところもあると思うので、見えてないだけなところもあるでしょうけど。(見えてる人とか知ってる人ほど重く感じるのかな…)


編集面でいえば、体術訓練のシーンは大変だっただろうなぁと思います。聴いてる側としては楽しいんですけど、作る側となるとね…、効果音がね…。勢いついてて良かったです。

あと相変わらず聴きやすい音量で、どうやったらその域にたどり着けるのか知りたい……適切な音量、私も身につけたい……。


思ってたより長くなっちゃいましたが、このあたりで終わります!

いやほんと、紫苑と露仁のシーンが結構インパクト大きかったのに立て続けにインパクト大なシーンがきたから、「そ、そんなに聴く人の情緒を乱してどうしたいんだ~!」と思ってたけど、普段自作品でやってる可能性。ごめんなさい。(作ってるときは楽しいんだけどね…)

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