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ゴルディロックス相場とは?

「ゴルディロックス相場」もしくは「ゴルディロックス経済」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?

これはゴルディロックスという小さな女の子が三匹のくまの家を訪れるというイギリスの有名な童話に由来します。

この話の中で、ゴルディロックスは3匹のくまが残していった3つのスープを見つけます。

彼女は最初のスープは熱すぎると感じ、2番目のスープは冷たすぎると感じます。しかし3番目のスープは熱すぎず冷たすぎず、「ちょうど良い」温度であったため、彼女はそのスープを選びます。

そのため、「ちょうど良い」という概念を経済において表す用語として「ゴルディロックス相場」が使われています。

これは熱すぎず寒すぎず、つまり、過熱も不況もしていない「ちょうど良い」市場状態を指します。

このゴルディロックス相場は、安定した経済成長、適度なインフレ、そして十分な雇用のバランスが取れている時(低失業率)に発生します。

投資家にとって、このような市場環境は理想的であり、リスクを抑えつつ持続可能なリターンを期待できる状態を示します。
本記事では、この興味深いゴルディロックス相場について解説していきたいと思います。

ゴルディロックス相場の定義とそのチェックポイント

ゴルディロックス相場とは、経済の成長が穏やかで、インフレが抑えられ、失業率が低い状態を指します。

具体的には、米国においては以下の経済指標でこの状態を判断します:

  • 成長率: GDPの成長率が年間2%から3%の範囲。

  • インフレ率: 年間2%程度の安定したインフレ率。

  • 失業率: 4%から5%の範囲の失業率。

  • 金利: 穏やかなレベルで安定した金利。

前回のFOMCにおける経済予想サマリーはこれらの基準をしっかり満たしていると言えます。

2024年末のGDP成長率予想が2.1%に引き上げられ、PCEインフレの予想は2%台前半にとどまっています(2024年末2.4%,2025年末2.2%)。

さらに2024年末の失業率予想は4%であり、インフレの完全な沈静化にはまだ時間を要するものの最近はFRBは金利を据え置くだけで対応できており政策金利は安定していると考えてよいでしょう。

*政策金利の「穏やかなレベルで安定した金利」という概念については後ほど改めて説明します。

ゴルディロックス相場の重要性

ゴルディロックス相場は、経済全体にとって望ましい状態です。

この経済状況下では、企業は安定した利益を上げ、投資家は過大なリスクを負うことなく良好なリターンを期待できます。
また、物価の安定は消費者の購買力を保ち、経済活動を促進します。

このバランスが、持続可能な経済成長を促し、以下に挙げるようなゴルディロックス相場では米国株式市場は長期にわたる強気相場を経験しました。

ゴルディロックス相場の例とその影響

過去におけるゴルディロックス市場の例として、1990年代後半の米国経済を挙げることができます。

この時期、米国経済は安定した成長を続け、同時にインフレ率は低く抑えられ、失業率も低い水準で維持されました。
この結果、2000年代初頭のITバブル崩壊に至るまでの間、株式市場は長期にわたる強気市場を経験し、多くの投資家に利益をもたらしました。

特筆すべきは、この時期の金利水準です。連邦準備金利は5%から6%の範囲に設定されており、これが経済活動を刺激しつつも、市場の過熱を防ぐのに役立っていました。
これは今日の状況と非常に似ているように思います。

この「ちょうど良い」金利水準が経済の各セクターに及ぼす影響のバランスが良好であったため、ゴルディロックス相場は安定し、長期にわたり続くことができました。

次に異なる金利水準のゴルディロックス相場の例として2010年代の米国経済を紹介しましょう。

この期間は2008年の金融危機からの回復期にあたり、低いインフレ率、安定した経済成長、そして比較的低い失業率が特徴でした。
特に、2010年代中盤から後半にかけては、連邦準備制度(FRB)による金利の低位安定、雇用市場の改善、そして企業業績の成長が見られました。

米国株式市場はこの期間に著しい成長を遂げ、S&P 500などの主要な株価指標は、歴史的な高値を更新し続けました。

この期間は低インフレが基調にあったため、政策金利が低めの水準で推移したことが特徴になります。

具体的には2010年代前半は金融危機後のゼロ金利政策が続けられていました。

その後2015年から0.5%へと金利が引き上げられると、緩やかな利上げが継続され2018年には政策金利は2.5%に達しました。

この期間の政策金利は、比較的穏やかな上昇を示しており、特に2015年以降の段階的な利上げは、穏やかで安定した金利環境を反映していると言えます。

これらの例から、それぞれの時代の背景に応じて「ちょうどよい」金利水準は異なっていることが分かります。

ちょうどよい金利水準とは?

ゴルディロックス相場におけるちょうどよい金利水準とはどのようなものでしょうか?

金利はゴルディロックス相場の重要なチェックポイントの一つですが、必ずしも特定の値が明確に決まっている訳ではありません。

「安定した金利水準」とは、現在の金利が経済成長を促進し、インフレを適切に管理し、そして失業率を低く保つのに貢献している状態を指します。
これらの条件を満たしていれば、ゴルディロックス相場の観点から見て、その金利は安定していると言えるでしょう。

そういう意味から「安定した金利水準」とは必ずしも低金利を指すわけではなく、その時の経済成長の勢いに応じた水準であることに注意が必要です。
むしろ、インフレ抑制のために1990年代や現在のように比較的高めの金利となっていることもあります。

FRBの利下げに対する慎重な姿勢もこの背景を考慮すると納得できます。
今日の力強い米国経済を考慮すると、年内に利下げが実施されたとしても、その後も金利がどんどん引き下げられるとは考えにくいです。

まとめ

ゴルディロックス相場は、経済の理想的な状態とされ、株式市場が強気相場となることが多く、投資家にとっては理想の環境と言えます。

そして、過去のゴルディロックス相場における「ちょうどよい」金利水準について考えることで、今後の政策金利の見通しについての手掛かりが得られました。

引き続き、経済指標(GDP、インフレ率、失業率、金利)に注目しながら、ゴルディロックス相場での米国株式投資を楽しみたいものですね!

力強い経済成長を示す環境下では、決算を手掛かりにした個別株投資もリターンを生みやすいと言えます。
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