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高校3年 冬② 東京受験

京都から戻ってすぐ。

落ち着く間も無く今度は都内の私立大学の受験。

今回も2日間。

僕は人生で一度でいいから泊まってみたかったカプセルホテルに泊まりたいと親に言って、秋葉原のカプセルホテルに宿泊することにした。

東京に来て思ったのだけど、なんか京都に来た時よりも気持ちが乗らなかった。

ぜーんぜん。

なんか校舎も暗いし雰囲気的になんか違うなと思った。

東京はすごい都会だけど、京都の方が向いてそうだなとか考えて1日目の試験を淡々とこなした。

そして夜は念願のカプセルホテル。

なんかテレビで観たカプセルホテルは宇宙船みたいにスタイリッシュなイメージだったけど、実物はもうちょっとなんか昭和っぽくて、思ってたんと違った笑

でも、カプセルスペースに身体を潜り込ませると、中は意外と広いし映画も観れるのには感動した。

大浴場のあるフロアもあって、でかい湯船に浸かる。

なかなか悪くない。

たっぷり温まって、ホカホカの身体でカプセルに戻ってぐっすり休んだ。


翌日。

京都に比べるとだいぶ暖かいなと思った。

朝は駅の近くにあったドトールでモーニングセットを頼んだ。

実はこれまで、朝はミルクティーでコーヒーがなんとも苦手だった僕。

しかし、京都に続いて東京と、2度の一人旅をしていることでちょっと大人の仲間入りをしてさた気になった僕は、珍しくコーヒーを頼んだ。

硬めのパンでビーフを挟んだ肉肉しいものを口に入れる。

美味しい。

それをコーヒーで流し込む。

めちゃくちゃ美味しい!

ここで初めてブラックコーヒーを美味しいと感じた。

これが大人の仲間入りかぁ〜。

おれ、やるやーん。

そんなことを考えながら受験会場に向かう。

こちらの校舎も、やはり京都フィルターがかかりまくってる僕にはあまり魅力には見えなかった。

行くなら京都だなぁ。

そんなことを考えながら試験をこなす。

案外あっという間に1日を終える。

そのまま、どこに寄るでもなく僕はそのまま帰路に着いた。

東京に出たら、芸能系の会社も多いし舞台のチャンスなんてめちゃくちゃあるんだろう。

もしかして芸能界デビューとかもあるのかも!そんな淡い期待も浮かびつつ、でもそこまで芸能人になりたいわけでもないのにミーハーさを浮かべてニヤけてしまった自分がなんとなく恥ずかしくなって新幹線ではなにをするでもなく目を瞑った。


夢を叶えるなら東京なんだろうな。

でも、夢がなんなのかわかんないしな。


東京や京都に行ったらアリは付いてくるんだろうか。

アリは卒業したら付いてきそうだな。

そーゆー子だ。

ふと、アリはなにがしたいのかがとても気になった。

僕のくだらない話をいつもうんうんと聞いてくれて、すべてを受け入れてくれるアリ。

僕が地元を離れた時、ただ僕のためだけに僕を追いかけてきて欲しくはないと伝えてはいた。

自分のやりたいことのためにやれることを一生懸命やりなよ、と。

じゃあアリの理想的な生活はどんなもんで、

僕の理想的な生活はなんなんだろう。

段々とよくわからなくなっていった。

僕もアリも演劇部で、お互いに演劇は好きだ。

でも、それで生活しようとまでは思っていない。

というか、そこまでの覚悟はまだない。

大学に行ってなにしたいのかもわからない。

アリには偉そうなことを言っておいて、受験が始まった今でも自分はなにをしていいのかもわかっていないのだ。

なんにもない人間だなぁと改めて自分のことを思う。

中身のない人間だということを実感して、悲しくなることが増えていった。

はやく新しいステージに行きたい。

そんなことを思うことが増えた。

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