平床 はるか

テラスハウス、落語、万葉集に関する記事を書いていく予定です。

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最近の記事

【万葉集】おますらをと~

大伴旅人の歌ますらをと 思へるわれや 水茎の 水城の上に 涙拭はむ   ~大伴旅人~ 私は自分のことを強くて立派な男だと思っているけれど 別れがつらくて水城の上で涙を拭ってしまったよ。 現代と比較すると自分は他の人よりも我慢強いと思っていても、 意外と簡単にくじけてしまうことはないでしょうか。 普段はあまり笑うことがなく、威勢の良い男性が 実はジェットコースターが苦手だったり、恋愛ドラマを見て泣いてしまったり。 そういうギャップはプラスにもなるしマイナスにもなりますよ

    • 【万葉集】若ければ~

      山上憶良の歌若ければ 道行き知らじ 幣はせむ したへの使ひ 負ひて通らせ   ~山上憶良~ 私の子はまだ幼いので、あの世への行き方を知らないだろう。 贈り物はたくさん差し上げますので冥土の使いよ、 どうか私の子を背負って行ってやってください。 現代と比較すると幼い我が子が命を落としたときの歌だそうです。 人間だけでなく、他の動物たちにも親子愛というのはあるものですが、 愛しいという感情を持つだけでなく、このように離れ離れになった先でも 我が子を想い続けるのは人間特有なの

      • 【万葉集】士やも~

        山上憶良の歌士やも 空しくあるべき 万代に 語り継ぐねき 名は立てずして   ~山上憶良~ 男たるもの、何もないまま朽ち果ててしまってもよいものだろうか。 後世に語り継がれるような名声を立てることもなく。 現代と比較すると「男性たるもの~」という表現、今普通に使ってしまうと少し問題になりそうですよね。 昭和時代までは 男性はバリバリ仕事をして家族を養い、 女性は家事も育児も行い、旦那の帰りを待つものだ という考えが浸透していたかもしれません。 ですが現代では、育メンと

        • 【万葉集】世の中を~

          山上憶良の歌世の中を 憂しとやさしと 思へども 飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば   ~山上憶良~ 世の中を、つらい・耐え難いと思うけれど、 どこかへ飛んでいくことはできない。鳥ではないのだから。 現代と比較すると現代でも、現実逃避したいけれどできなくてモヤモヤすることはあるのではないでしょうか。 例えば仕事で残業が続き、自分の時間がどんどんなくなり今すぐにでも辞めたいけれど、辞めるわけにはいかないとき。 部活動がしんどくて退部したいけれど、自分は戦力なのでそう簡単には逃

        【万葉集】おますらをと~

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          【万葉集】妹が見し~

          山上憶良の歌妹が見し 楝の花は 散りぬべし わが泣く涙 いまだ干なくに   ~山上憶良~ 亡くなった妻が好きだったセンダンの花は今にも散ってしまいそうだ。 私が泣きながら流す涙も、まだ乾いてないというのに。 現代と比較すると大切な人が亡くなったとき、人はどういう状態になるのか。 山上憶良の場合は、センダンの花が散ってしまう頃になっても 涙が乾かないくらい、泣き続けています。 現代だとどうでしょう。 突然の出来事で、悲しくても涙が不思議と一滴も流れなかった ということ

          【万葉集】妹が見し~

          【万葉集】世の中は~

          大伴旅人の歌世の中は 虚しきものと 知るときし いよよますます 悲しかりけり   ~大伴旅人~ 世の中は虚しいものだと思い知ると、 ますます悲しくなってくるよ。 現代と比較すると「生ける者~」の歌では楽観的かつ前向きな歌を詠んでいた大伴旅人が、 この歌ではずいぶん悲観的ですね。 今でも社会人になると社会の裏側が見えたり、大人の事情を知ったりすることで「世の中はこんなものか」と悲しくなることがあるのではないでしょうか。 いつも前向きに、楽しく生きようと思っていたとしても

          【万葉集】世の中は~

          表現上達へのステップ

          ライターとして意識すべきこと本日、日経BPの品田英雄さんのセミナーを受講しました。 そこでいくつか気づきがあったので書き留めます。 まずメディアパーソンの3原則として、以下要素を上げていました。 むずかしい  ⇒ わかりやすく わかりやすい ⇒ おもしろく おもしろく  ⇒ より深く これは意識しないとなかなかできないことです。 例えば「かわいい私が飼っている犬」という文章があるとします。 この文章だと、「かわいい」という形容詞が「私」と「犬」のどちらを修飾しているのか

          表現上達へのステップ

          【万葉集】来むといふも~

          大伴坂上郎女の歌来むといふも 来ぬ時あるを 来じといふを 来むとは待たじ 来じといふものを   ~大伴坂上郎女~ 来れるだろうと言っていても来ない時があるのに、 来れないと言うのを来るだろうかと待ったりはしません。 来れないと言っているのだから。 現代と比較すると相手が来るか来ないかわからず、イライラしている様子が 思い浮かびます。 恋人と待ち合わせをしていたのに急に「来れなくなった」ということが何回かあると、 その後の待ち合わせでも「今日は本当に来るのかな?」と不安に

          【万葉集】来むといふも~

          【万葉集】山の端に~

          岡本天皇の歌山の端に あぢ群騒き 行くなれど 吾はさぶしゑ 君にしあらねば   ~岡本天皇~ 山の端に、あじ鴨の群れが騒ぎながら行くように 人が行き交うけれど、私はとても寂しい。 その人たちがあなたではないから。 現代と比較すると一人より二人、二人より三人、三人より大勢いたほうが 騒がしく楽しいような気がします。 ただその場に親しい人がいないと なんだか味気のないような気持ちになるはずです。 例えば久しぶりに地元の集まりに顔を出したけれど、 当時同じグループにいた、仲

          【万葉集】山の端に~

          【万葉集】生ける者~

          大伴旅人の歌生ける者 遂にも死ぬる 者にあれば この世なる間は 楽しくをあら   ~大伴旅人~ 生きている人でも、いつかは必ず死ぬのだから せめてこの世で生きている間は 面白おかしく、楽しく暮らしたいものだなあ。 現代と比較すると「人生一度きりだから、後悔のないよう楽しもう」 というような言葉は今でもよく聞きますよね。 私たちが生きていない、こんな昔から 大伴旅人は人生を俯瞰して捉えていたんですね。 「生きている人でも、いつかは必ず死ぬのだから」 これはいろんな場面で

          【万葉集】生ける者~

          なぜ働くか

          今日会社で「何のために働いているのか」という話になったときに、 即答ができませんでした。 学生にでも投げかけるようなこの質問、 果たして大人で何人が胸を張って答えられるでしょうか。 就職活動中に自己・他己分析を徹底して行い、 「働く」ということにあれだけ集中して向き合ってきたというのに、 社会人5年目にもなって答えがスッと出てきません。 この答えについて、周りで即答した人がいるのでご紹介します。 働く理由①家族を養うためこれは会社の男性上司の答えです。結婚し、子供が2

          【万葉集】この世にし~

          大伴旅人の歌この世にし 楽しくあらば 来む世には 虫にも鳥にも 吾は成りなむ   ~大伴旅人~ 現世が楽しいのなら、 来世は虫にでも鳥にでも、私はなってもいい。 現代と比較すると中学・高校の古典の授業でも大伴旅人の歌は詠みましたが、 まず私は「旅人」という名前にとても惹かれていました。 義務教育というものになぜか縛られているような、息苦しさを感じていた中で、ふらふらと気のままに暮らす旅人に憧れの念を抱いていたからでしょうか。 そんな大伴旅人の歌はやはりのびのびとしてい

          【万葉集】この世にし~

          表現をすること

          自分自身を知る本日、山田ズーニーさんの講義を受けてきました。 ズーニーさんの本は読んでいたので、お会いできただけでも感激でしたが、 それ以上に、ズーニーさんは想像以上に温かく、お母さんのような方でした。 私は今まで文章を書くときに、相手に伝わるように、多くの人の心に刺さるようにと意識してきました。 それはもちろん大事なのですが、「自分の思いを言葉にできているか」と言われたときにハッとしました。 自分がなくなっていたかもしれない 本気でそう思いました。 1人として同じ人は

          表現をすること

          【万葉集】しるしなき~

          大伴旅人の歌 しるしなき ものを思はずは 一杯の 濁れる酒を 飲むべくあるらし   ~大伴旅人~ 考えてもどうにもならないことを考え続けているくらいなら、 一杯の濁り酒でも飲んでいる方が良い。 現代と比較すると「お酒に逃げる」という言葉がありますが、 たまにはいいですよね。 お酒なんて飲まずに、とにかく頑張らなきゃいけないときも もちろんあると思います。 ただ、夜遅くまで仕事をしているけれどそれでも終わらないとき、 「遅くまでやっていても頭が働かないし、今日はお酒でも

          【万葉集】しるしなき~

          【万葉集】明日香河~

          山部赤人の歌明日香河 川淀さらず 立つ霧の 思ひ過ぐべき 恋にあらなくに   ~山部赤人~ 飛鳥川の川淀で、去らずに立っている霧のように、 私の恋心は消えてしまうようなものではないのです。 現代と比較するとずっと消えてくれない恋心の歌ですね。 モトカレマニアというドラマにもあったように、 心から好きだった人と別れてしまうと いくら年月が経っても忘れられないものです。 昔付き合っていた人たちを思い出すことは皆さんあると思いますが、 その中でも思い出すと胸が痛くなる人はい

          【万葉集】明日香河~

          【万葉集】人はよし~

          倭大后の歌人はよし 思ひ止むとも 玉鬘 影に見えつつ 忘らえぬかも   ~倭大后~ 他の人はいつか思いが止んだとしても、 私は天皇の面影が浮かんできて忘れることができない。 現代と比較するととても、とても胸がいたくなる歌です。 例えば大好きな恋人と別れたとき。 一緒に使っていたコップを見たり、一緒に使っていたソファに座ったりすると、恋人と楽しく笑い合っておしゃべりしていた日々がフラッシュバックしてきたことはないでしょうか。 一緒に出かけた場所、聞いた音楽、見たテレビ。

          【万葉集】人はよし~