時代遅れの鼻つまみ者/時代が求めた■■■#パルプアドベントカレンダー2023
1 街から離れた真夜中の雪原で、一人で歩いているのはエンストした車を捨てたドライバーか幽霊だけだ。“なら、僕は幽霊か”昔、友人から聞いた冗談を思い出し、唾を吐き捨てニコは雪原を進み続ける。積もった雪は、ニコの膝まであり、一歩進むだけでも体力が奪われてゆく。弱音を吐くのが許されるならば、こんな場所を歩くのは御免だとニコの眉間に皴が生じる。
だが、進むべき道はこちらであると見下ろした雪に残されていた。雪の上に、血と茶色の毛の混合物が童話のパン屑のように落ちている。雪が少しでも降