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ブックレビュー:「腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する」

「腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する」黒尾誠氏を読んだのでポイントをまとめておこうと思います。

黒尾先生は自治医科大で抗加齢医学研究部の教授を務めていらっしゃる方で、余分なリンを腎臓から排出させる「クロトー遺伝子」を発見し、腎臓とリンの関係から老化の仕組みを解明する研究をしていらっしゃいます。

ねこさんの腎不全でもリンのコントロールを重要視されている獣医さんは多く、コマさんは低リンの療法食は食べていませんが、リン吸着剤を使ったりしてコントロールに努めています。なぜリンのコントロールが重要なのか、こちらの書籍を読むとより理解できました。さらっと小一時間もあれば読めますので、気になったら是非実際の書籍をお読みください。2022年1月に出た書籍です。

図解もあるようです。


・動物の寿命は血液中のリン濃度が低ければ長く高ければ短い
・体内の余分なリンを排出する命令を出すのがFGF23ホルモンでそれを受容するのがクロトー遺伝子
・リンこそが老化を加速させる物質
・リンは血中で高濃度になると細胞毒のように働く
・尿毒症とはリンによっておこる早老症
・血中リンが高くなるとCPPというリン酸カルシウムのコロイドが体内に析出され、これが血管や臓器にこびりついて石灰化したり炎症を起こす
・血中リン濃度が高くなってから対処するのでは遅い(FGF23濃度の上昇の方が先)
・腎臓はすべての臓器を管理するパソコンのOSのような存在
・血中リンだけでなく尿中リンも問題でこれが高くなると尿細管がダメージを受けネフロンが減少してしまう
・添加物に多く含まれる無機リンはほぼ100%体内に吸収されるため注意が必要
・体を動かすことがリンを骨に閉じ込めることにつながる
・海から陸に上がるために体を支える丈夫なリン酸カルシウムの骨が必要となり、そのため陸上の脊椎動物はリンをシビアにコントロールするシステムを体内に備えることとなった
・骨と腎臓が老化を管理している

リン自体が悪いものではなく、血中のリン濃度が高くなると、リンとカルシウムが結合したCPPが体内の血管や内臓のいたるところにこびりついて石灰化や炎症を起こして病気になってしまうことが問題なのですね。

ねこさんの腎不全対策に応用できそうなこととしては以下3つでしょうか。

①クレアチニンや血中リンが上がってきたら腎不全と診断される前でも低リンのごはんに切り替えたりリン吸着剤を使っていく(腎不全と診断されてからリン対策をするのでは遅い)
②特に添加物は極力避ける(おやつなど特に注意が必要でしょうか 香料、乳化剤、PH調整剤などはリンと表記されていなくても無機リンが含まれていることがあります)
③毎日適度な運動時間を設ける(リンは骨に貯蔵されている分には問題ないので)

特に①はまだあまり一般的でないように思います。数値には表れていなくてもシニアに差し掛かったねこさんは体に入れるリンの量を減らしていった方が良いのでしょうね。添加物もねこさんの小さな体には人間よりずっと影響が大きいので注意してあげたいです。

人間も基本的には同じ対策なので、私も加工食品は減らし(ベーコンが好きだから辛い)、適度な運動を継続したい(今年こそは!)と思います。

漢方でも腎気は生命エネルギーそのもので不足すると様々な老化症状が現れ、骨を司るとされています。漢方で腎は先天的なものが大きいとのことなので、コマさんは先天的に腎の力が弱いのかもしれません。けれど漢方でも腎を補うものがあったり、日々やってあげられることも多いので、これからもコマとじろの腎気を上げるケアを続けていきたいと思います。

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