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猫学(ニャンコロジー)「猫とAIMの未来像」で宮崎徹先生の講演を拝聴してきました

先日(2024/1/28)よみうりカルチャー公開講座にて宮崎先生の講演を拝聴してきました。今回もまたAIM創薬に関する最新の情報を伺えたのでまとめておきますね。

AIMについての基本的な機能については前回講演と同じですのでそちらをご参照ください。

会場は満席で、zoomでのオンライン視聴も出来ました。私は友人と直接講演に参加したのですが、AIMに関してまだまだ高い関心を持っていらっしゃる方が多いのだなと思いました。今回も宮崎先生のお話は分かりやすくとても面白かったです。

宮崎先生は「いままで治せなかった病気を治す」というシンプルかつ壮大なモチベーションを一貫して持ち続けていらっしゃるのですが、友人の死をご経験されたことによる「病気に対するリベンジ」という思いもお持ちなのだそうです。AIM開発にあたっては、腎臓の専門医・専門獣医の方からの攻撃(専門医ほど受け入れられないプライドがあるのかも)に心が折れそうになったこともあるそうなのですが、現在までそのモチベーションを絶やすことなく研究・開発に励んでいらっしゃいます。モチベーションは一番当てにならないと行動分析学で言われているのですが(なので習慣化にはモチベーションをあてにしてはいけない)、ここまでの情熱をAIMの研究に長年燃やし続ける先生の意志の強さは相当なものなのだと思います。

また、基礎研究についてもそんなことまだやっているのかという心無い批判があるそうなのですが(何でそんな酷いことが言えるの!)、基礎研究は創薬後に適用を拡大していくことに役立つので開発と両輪で行っているとのことです。猫AIMについてもまずは腎臓病に対する薬を上市して、その後他の疾患にも適用できるようにしていきたいとのことでした。緑内障はなんとAIM目薬で水晶体の濁りが解消されるとのことでしたよ!昨年末にはAIMがリウマチにも効果があるという発表もありましたよね。

今回は既に非臨床試験が始まっているとのことで、猫AIM創薬の具体的なマイルストーンを伺うことができました。

【猫AIM創薬のマイルストーン】
2024.1~非臨床試験(既に開始している)
2025.1~臨床試験(この途中で農水省に申請を出す)
2026.1~農水省の承認審査
2027.1前後 承認・上市

平行してヒトAIMの創薬も進んでおり(猫AIMの1年後くらい)、なんと2027年には人での200~300人規模Phase2Aという治験を行う予定なのだそうです。こちらは国からの研究費も出ているそうです。実際にヒトAIMが完成すれば、透析の必要性を低下出来る可能性が高く、歳費も大幅に抑えられるようになるのではないかとのことでした。

宮崎先生も薬としては完成しているし、治験が成功することにも全く不安は無いそうなのですが、どうしても薬を世の中に出すには手続きが必要で、それに時間が掛かってしまうともどかしそうでした。

ファシリテーターとして読売新聞社科学部次長の宮沢輝夫さんがいらしたのですが、この方は父島から野猫を保護した愛猫家だそうで、宮崎先生の講演後、凄く的確な質問で宮崎先生に聞きたいことを引き出してくださいました。聴講者から広く質問を募るより専門的な知識を持つ愛猫家がズバリと聞いて下さったのは本当に良かったです。宮沢さんは「日本を猫と暮らす先進国にしたい!」という思いをお持ちなのだそうです。以下は宮沢さんと宮崎先生の問答をまとめたものです。

Q 実際AIMを愛猫に使えるようになるのはいつか?
A 2027年1月前後からとなりそう。農水省の承認を早めるためには愛猫家の皆さんの強い世論の後押しが必要。

Q どこの病院でもAIMが打てるのか?
A タンパク薬のため管理の専門的な知識が必要(杜撰な管理では効果が無くなってしまう)。よって最初は限定された病院でしっかり管理したAIMを獣医師が注射として打つことを検討している。ただいつまでも限定するわけではなく、その後1~2年で打てる病院を拡大していきたい。

Q 既に腎不全を患っている愛猫を治験に参加させたい場合はどうすればいいのか?
A 治験は広く募集する予定。出来るだけ多くの子に参加して欲しい。ただし治験はステージを限定して行うため、全ての子が治験対象になるわけではない。
※AIM医学研究所のHPをマメにチェックしておけば来年には治験のお知らせなども出るのではないかと思います。また、対象ステージについては前回講演ではステージ4に行く手前のステージ3を予定していると宮崎先生が仰っていました。既に腎不全を患っているねこさんについては掛かりつけの病院でも治験が行われる際は参加したいなどと伝えて情報を広く集めるようにしておくと良いかもしれません。

Q AIMで治療する場合金額はどれくらいになりそうか?
A 一回打つのに1万円を切るくらいで提供したい。愛猫家の皆さんの寄付のおかげもありとても良いレシピが出来た。

前回拝聴した宮崎先生の講演が10月だったので、この3か月くらいでかなり具体的なマイルストーンが示されたなあと感じました。既に非臨床試験は始まっているとのことですし、とにかく宮崎先生には心も体も健康でいていただいて、スムーズに農水省の承認まで終わると良いなと思います。もちろんその後のヒトAIM創薬も絶対に成し遂げていただきたいです。

人類はこれまでウィルス・細菌といった外部から来たものとの闘いをしてきたが、これからは人類が敵だと認識できない内部の生体ゴミの蓄積を解決していくフェーズにあるのではないかと宮崎先生は仰っていました。
生体ゴミの蓄積こそが、腎臓病、ガン、自己免疫疾患、認知症、肥満といった「いままで治せなかった病気」の要因になっているからだそうです。

AIM創薬を待ちわびる愛猫家の皆さん、どうかこれからもAIMに対して高い関心を持ち続け、必要なときは世論を動かすために声を上げていただければと思います。私もAIM医学研究所への寄付を継続し、SNSを使って微力ながら情報を発信していこうと思っています。

既に腎不全を患うねこさんと暮らしている方は、2027年と聞いて正直がっかりしたかもしれません。ですが今後2025年からの治験に参加できる可能性もありますし、宮崎先生の情熱と行動力は本当に信頼の置けるものです。実際もう既に非臨床試験は始まっていますので、どうか宮崎先生を信じて、少しでも腎不全の進行を遅くする治療を継続していただければと思います。

私は今後も機会があれば宮崎先生の講演を拝聴しに行く予定です。

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