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ミジンコの屋内飼育方法【飼育水の検討と検証】

今回はミジンコ Daphnia pulexの飼育水について、
書いていこうと思います。
家庭用飼育水が知りたい場合は、研究機関における飼育及び試験に適した水の箇所は読み飛ばしてください!

研究機関で用いられるミジンコ Daphnia pulex の試験用水はご存じですか?

国立環境研究所におけるミジンコ急性遊泳阻害試験では
ミジンコの飼育及び試験に適した水として
①天然水(表流水又は地下水)
②脱塩素した水道水
③人工調整水
この3つが使用されています。

研究機関における ミジンコ Daphnia pulex 飼育及び試験に適した水

①天然水(表流水又は地下水)

表流水とは、河川湖沼の水のように完全に地表面に存在している水のことで、特に停滞していない水流れを確認することが可能である水)のことをいいます。

地下水とは、広い意味でいうと地表面より下にある水の総称
狭義では、特に地下水面より深い場所では帯水層と呼ばれる地層
水が満たされて飽和している水だけが「地層水」「地下水」と呼ばれます。

②脱塩素した水道水

研究機関で使われる、脱塩素した水道水とは、水道水活性炭処理し、残留塩素等を除去したもので、十分通気したものを表します。

日本では昔、自らの食中毒や集団感染が流行したため、
安全に水が飲める環境にするため、各都道府県で水道法に基づき
残留塩素(殺菌後に残っている塩素の量)
水1Lに0.1㎎ から1mgで塩素の量を調整しています。

各都道府県で塩素の量を0.1mg ~ 1g の間で決めることができるため、
塩素の風味が出にくい0.4mgを採用している場合が多いです。

「カルキ = 塩素」は間違い

水生生物を飼育した経験がある方なら聞いたことがある
「カルキ抜き」カルキって何かわかりますか?
意外と説明できないんですよね。私も調べるまでよくわからず
使っている言葉でした。

カルキとは、
次亜塩素酸カルシウム 化学式 CaCl(ClO)・H2O またはCa(ClO)2 
水酸化カルシウム
を含有する次亜塩素酸カルシウムの製品を
さらし粉と呼びます

さらし粉消石灰(水酸化カルシウム、Ca(OH)2)塩素吸収させて製造されており、ドイツ語クロールカルキ(Chlorkalk)
略してカルキ、あるいは訳して塩化石灰ともいう。

なので、水槽の飼育水でカルキ抜きをするために入れる薬剤は水酸化カルシウムを含有する次亜塩素酸カルシウムおよび塩素を取り除くためにいれるものなのです。

③人工調整水(飼育水)

研究機関の人工調整水(飼育水)は解説すると、かなり長文になるので、かなり端折りますし、よくわからんので読み飛ばしてかまいません。

(1)ISO試験水
(a)塩化カルシウム溶液
塩化カルシウムニ水和物11.76gを希釈水に溶かし1Lとする。
(b)硫化マグネシウム溶液
硫化マグネシウム七水和物4.93gを希釈水に溶かし1Lとする。
(c)炭酸水素ナトリウム溶液
炭酸水素ナトリウム2.59gを希釈水に溶かし1Lとする。
(d)塩化カリウム溶液
塩化カリウム0.23gを希釈水に溶かし1Lとする。

(a)~(d)の溶液各々25mLを混合し、希釈水で全量を1Lとする。
※希釈水には適切な純粋(例:イオン交換水、蒸留水または逆浸透水)を用いることとする。希釈水の電導度は10μS/cmを超えてはならない。

この他にもElendt M4 や M7 などの飼育水がありますが、端折ります。

家庭用ミジンコ簡易飼育水の作り方

①めだかの飼育水

めだかを飼育している方であれば、すでにめだかが泳いでいる水槽があると思います。なので、それを使えばいいと思います。

②汲み置きの水

バケツに水道水を入れて、6時間以上日光に当ててください。
この6時間以上というのが重要で、塩素や次亜塩素酸カルシウムなどが抜くことができます。よくあるカルキ抜きの方法ですね。

③煮沸した水道水

水道水を鍋に入れて、沸騰してから10分程度時間おいてください。
デメリットとしては、1度沸騰させているので、ミジンコが住める温度まで下げるのに時間がかかるという点です。

おすすめのミジンコ飼育水

①グリーンウォーター

グリーンウォーター

めだかを飼育している人であればお馴染みの飼育水ですね。
植物プランクトンの発生により緑色になった水のことです。
植物プランクトンはミジンコのエサとなるので、飼育水としてもエサとしても使えます。

②生茶を希釈した飼育水

汲み置きをした水にキリンビバレッジの「生茶」を100倍もしくは、200倍に希釈したものを使用することです。
兵庫教育大学2020年の研究で、「生茶」「綾鷹」「伊右衛門」の3種類で
ミジンコ Daphnia pulex の飼育水を検討したところ、一番適したお茶として「生茶」希釈200倍が適していたそうです。

汲み置き水1Lに対して、5mL入れるのがいいそうです。参考文献にリンクを掲載していますので、詳しくはそちらをご覧ください。

以下引用参考文献
①ミジンコ急性遊泳阻害試験
text3-2.pdf (nies.go.jp)
②ミジンコ簡易飼育法に関する研究 -飼育水および餌の検討-
https://hyogo-u.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1483&item_no=1&page_id=13&block_id=21

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