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収束したエンジニア35歳定年説から考えるエンジニアとしてのキャリア

株式会社メタップスホールディングスの釣りバカVPoE、阿夛(@ataboy86)です。

現在は、「re:shine」というフリーランスのマッチングプラットフォームの事業責任者をやりつつ、VPoEとして開発部門の統括をしています。

今回は「エンジニア35歳定年説」が通説となった背景や現在とのギャップ、これからのエンジニアとして求められることをまとめました。

かつてのIT業界において、エンジニアのキャリアは35歳で頂点に達し、その後は下降するという「35歳定年説」が存在しました。

そもそも、この考え方は、当時の労働環境とエンジニア職としての悲惨な人生を歩んだ人たちが提唱した通説でしかありません。


1、なぜ「エンジニア35歳定年説」という話が出てきたか

「エンジニア35歳定年説」は大きく下記の3つの考えから生まれたものだと言われています。

・学習機会の減少
・過酷な労働環境
・年下の上司と文化的背景

(1)技術進歩が早い中で学習機会の減少

エンジニア領域の技術進歩は著しく早く、常に新しい知識を習得し続けなければなりません。当時はネットで収集できる情報も少なく、勉強会の開催はあったもののオフラインがほとんどでした。
35歳前後で「結婚」などのライフイベントが発生すると、情報収集に投資できる時間も少なくなっていき、学習やスキルアップの時間がさらに減少する要因となります。

ライフステージによって学習機会が減ることも考慮して、スキルを伸ばすよりも経験を活かして管理職や、社内で求められる職種になったほうが給与が上がると言われていました。

(2)意外と体力勝負の一面(過酷な労働環境)

当時のエンジニア/プログラマーは、当然のように残業、泊まり込みなどの長時間労働も一般的で、休日出勤も珍しくありませんでした。
体力的にも厳しい職業な上、納期に追われることが多く、精神的・肉体的に負担が大きかったです。

35歳になると記憶力が落ち、ハードな仕事環境で体力を要するため35歳以上は厳しいと言われていました。

(3)年下の上司と文化的背景

年功序列の時代背景の中で、エンジニアとして35歳を迎える時点で、年下の上司に管理されることが「みっともない」とされる風潮がありました。

上記に挙げた要素を踏まえて、「35歳を超えてエンジニアを続けていくのは難しい」と言われていたことに加え、それ以上の年齢層のエンジニアがほぼほぼ存在していなかったこともあり、キャリアのイメージが湧かずに生まれたのが「エンジニア35歳定年説」です。

2、当時想定していた説と現在のギャップ

(1)学習機会の減少と現在のギャップ

ネットを見れば毎日のように勉強会が開催され、オンラインでの学習機会が増えたことで外出せずに自宅でインプットやスキルアップが可能になりました。
ライフイベントなどによって投資できる時間自体は少なくなることもありますが、効率よく学習することでインプット量は担保できるのが現代だと思います。

(2)過酷な労働環境と現在のギャップ

また、現在は、多くの企業が労働環境に配慮しているので、昔ほどの残業や泊まり込みなどの長時間労働は減少しています。
そういった環境は求めればすぐにでも見つかりますし、企業側としても長時間労働が慢性化していたら離職率が高くなるリスクもあります。

(3)年下の上司と文化的背景と現在のギャップ

現代の組織で上司が年下というケースも多くなってきており、当時ほどの違和感はなくなっています。

また、特定分野のスペシャリストは上司より給与をもらっているケースもありますし、価値が報酬に反映されているような組織も増えてきています。

また、〇〇ネイティブという言葉をよく耳にすると思います。
特定の分野における感性と言われる部分には、日常的に使ってきているものも変化があり、年下の上司というケースも多くありますし、若くして起業するような社長も多く出ている以上、そこまで気にすることではないと考えます。

💡まとめると・・・
・オンラインの活動が増えたことで学習機会を担保できる
・長時間労働は減少している
・現代の組織では、上司が年下は当時ほどの違和感がなくなっている

こういった背景もあり、35歳定年説は収束したと言えるでしょう。

3、これから必要とされるエンジニアの役割

年々、労働人口は減少しており、今までの仕事のあり方が通用しなくなってくるのは明らかです。

エンジニアもまた、従来と比べると「エンジニアリング」や「プログラミング」という技術的な面だけが求められる時代ではなくなってきています。
組織やプロダクトへのコミットメントが求められ、求められたスキルを持つ人は報酬が上がり、求められたスキルに満たない人は報酬が上がらないということです。

ただし、社会としてはプロフェッショナルを求める傾向があるのも事実です。特定分野でのスキルを最大化するというのも一つの手段だと思います。

自分に突出した技術が無いと思うエンジニアは、「エンジニアリング」や「プログラミング」以外に何ができるのか、それを考え、身につけ、自分の持つスキルを複合的に明示できないと厳しい時代になってきます。


まとめ

「エンジニア35歳定年説」を現代の視点で考えると、今の時代でも考えていないといけないことは多くありそうです。

プログラマーとして、「書ける人」としてだけ考えると、この説は今でも有力なのかもしれませんし、今後さらに環境が変わっていくかもしれません。

これからは単に技術的なスキルだけでなく、組織やプロダクトへのコミットメント、特定分野での専門性の追求が、より重要になってきます。
また、エンジニアリング以外の能力を身につけ、それらを組み合わせたマルチスキルを求められるようになるでしょう。

重要なのは、いつの時代、どんな職種でも、変化に対応する「柔軟性」と「危機感」を持つことかなと考えます。

エンジニアとしてのキャリアについては、「エンジニアとして見定める、キャリアの描き方」も書いているので、ぜひあわせてお読みください。


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