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PandaShoujoの前身、CSノベル部に込められた“気合い” 『シオリノコトハ - Dark Reflections -』と原作ゲームとの差異、また両者の感想(ネタバレ&エロ要素有)


前書き

 サイバーステップのADVプラットフォームは現在こそPandaShoujoという名前ではあるが、以前は『CSノベル部』と言われていた。名前が違うくらいでやっている事は大きく変わってはおらず、エロゲーからエロを抜いてUIを共通化、多言語対応させて発売するというものだ。この記事ではそんなCSノベル部の記念すべき第一弾作品を取り上げたいと思う。
 今回紹介する作品は2022年2月24日に配信された『シオリノコトハ - Dark Reflections -』。原作はスワンブランド内でもハードコア描写に特化したレーベル、黒鳥(旧名はブラックスワン)から2013年11月29日に発売された『シオリノコトハ 〜密室図書館の生贄〜』(公式サイト。18禁なのでアクセス注意)だ。この記事を書いている段階で11年前の作品が原作である。原作の対応OSがWindows8までの時点で時代を感じる。いつものように元になったゲームを原作と表記するが、今回はPandaShoujo製ではないのでCyberStep版、ついでにCSノベル部版ということでCS版と表記させてもらいたい。ちなみにサイバーステップのADVで原作と移植版のメインタイトルが同じ作品はかなり少ないため、とても珍しい。

原作について

 原作のあらすじ
>深い森を抜けた先には、洋風建築の大きな図書館があった。
>東賢治(あずまけんじ)は暇を見つけてはその図書館に寄っている。
>普段余り本を読まない彼がそこまでするのは、図書館で働いている女の子が原因。
>朱鷺田栞(ときたしおり)
>彼女に一目惚れした賢治は今日も図書館に行き、栞の姿を眺めながら読書をしていた。
>そんなある日、読書中に居眠りをした彼は、けたたましい非常ベルの音で目を覚ます…
>辺りは真っ暗になり、扉も開かず…図書館は完全な密室へと変貌する。
>彼女に関わった事で、賢治の人生は、大きく変わっていくのだった…

 外界から断絶された環境で起こる事件、ミステリー小説でいうところのクローズドサークルものだ。様々な事情で外部と連絡が取れなくなった図書館に閉じ込められた一行の間で起きる殺人事件と、舞台となる朱鷺田(ときた)図書館、そしてヒロイン栞に隠された秘密。追い詰められてむき出しになる人間の狂気と獣性。そういう要素がてんこ盛りになった作品である。フィクションでは、閉鎖環境というのはエロと暴力に結びつけやすいのだろう。
 本作はこれまで取り上げてきたPandaShoujo作品の原作とは違い、ただ選択肢を選んでいても望んだEDにはたどり着けない。適切なフラグ立てをしないと分岐しないADVだ。この辺は結構複雑なので、選択肢ごとにセーブデータを小分けにしておく必要がある。これはPandaShoujo原作に慣れているとなかなか難しいものがあった。
 ルート事にキャラクターの基本設定が微妙に異なる、キャラクターの立ち絵を動かすことで簡易なアニメーションにしているなどの点もある。

登場人物の紹介

 やや多いので個別に紹介していく。

  • 東賢治(あずま けんじ) 主人公。学生。勉強はそんなに得意ではないが運動神経抜群で、運動部からのスカウトが絶えない。偶然訪れた朱鷺田図書館で栞に一目惚れし、本に興味がないにも関わらず毎日のように通っている。割と常識人だが、状況に流されやすかったりその場しのぎで適当な事を言ってしまったりとやや軽率なところがある。

  • 朱鷺田栞(ときた しおり CV:立花かのん) 町外れにある私設図書館『朱鷺田図書館』で働く少女。賢治と同年齢。儚いイメージの美少女。病弱で幼い頃から学校に通えず、主治医の如月美智の手によって勉強を教えられてきた。読書家で、図書館内の本を非常に大事にしている。人見知りで口数が少ない。

  • 如月美智(きさらぎ みち CV:小田切みかん) 栞の主治医兼朱鷺田図書館の管理人。非常に聡明な女医。普段は図書館に常駐しつつ栞の体調管理や図書館の仕事をしているが、週に一度町の総合病院へ行って外来の仕事もしている。栞に対して過保護とも言える態度を取る。

  • 君島エリカ(きみしま えりか CV:後藤いちか) 賢治のクラスメート。派手な服装をしたギャル。賢治に対して執拗なアプローチを試みているが、賢治は栞に夢中なので相手にされていない。友人の白木柚那をまるで手下のように扱っている。今作屈指のモンスターであり、尋常でない存在感(と嫌悪感・不快感)を放つキャラクター。

  • 白木柚那(しらき ゆな CV:藤こより) 賢治のクラスメートでエリカの友人。眼鏡をかけた大人しい少女。成績優秀だがややどんくさい面がある。強く言われると反対出来ないタイプで、強引なエリカにいつも振り回されている。親の紹介で、朱鷺田図書館でアルバイトをしている。そのため栞や美智とも顔見知り。

  • 遠藤章子(えんどう しょうこ CV:菟田乃みる) 美智が外来に行く病院のナース。美智に頼まれていた薬を朱鷺田図書館に届けに来た際巻き込まれた。非常に要領が悪く、何かというとドジを踏んでは美智に呆れられている。

  • 高木太(たかぎ ふとし) モブA。栞目当てに朱鷺田図書館に通う学生。賢治たちとは別の学校。肥満体で常にチョコレートバーを囓っている。過剰なほどステレオタイプなオタクであり、語尾には「~だお」、男性の名前には「◯◯氏」、女性の名前には「○○タン」と付けて呼ぶなどの典型的なしゃべり方をする。

  • 細川信人(ほそかわ のぶと) モブB。朱鷺田図書館に通う大学生。医学部らしい。ガリガリに痩せている。やたらと神経質で厭味ったらしく、自分の言いたいことだけを一方的にまくしたてるタイプ。美智に対して何かとアプローチをしているが、ほとんど相手にされていない。重度のピーナッツアレルギーがある。

 あえて詳しくは書かなかったが、出てくるメンツは正直一癖も二癖もある人間ばかりである。その中でもぶっちぎりにトップでヤバイキャラクターがいる。君島エリカだ。

君島エリカという怪物

 原作をプレイしていてあまりにもあまりなその言動に驚いてしまい、エリカ一人のために一項目を割くことにした。作中通してすさまじい傍若無人っぷりを見せつけてくる上、反省らしい反省を全くしないトガリっぷりだ。
 公式サイトには「天真爛漫(ちょっとオバカ傾向)で、いつも自信たっぷり」と可愛らしい紹介がされているが、これは大嘘と言っていい。まず私設とはいえ図書館内では静かにするという行動が取れない時点でだいぶおかしい。エリカの暴挙は挙げ始めるとキリが無い。

  • 初めて来た朱鷺田図書館が珍しいのかギャーギャー騒ぐ。賢治たちに複数回注意されてもなかなかやめない

  • 初対面の高木と細川に対して「キモイ」を連呼。確かに高木や細川の態度はキモオタそのものなのだが、他の人物が波風を立てないよう振る舞っているにも関わらず遠慮なしに連呼する。挙句の果てに「オタクやガリ勉よりスポーツマンの賢治のほうがいい」と高木たちの眼の前で賢治と比べ始める

  • 朱鷺田図書館の蔵書は閲覧のみ可能で持ち出し不可なのだが、勝手に本を持って帰ってくる。規則を知らなかったとは言うものの、許可を得たり手続きを経て借りたりといった行動は取らず、無断で持ち帰っている

  • 朱鷺田図書館内に価値のある物を収めた宝物庫があると聞き、館内のセキュリティと連動している電子ロックのかかったドアを勝手に開けて中を見ようとする。柚那をけしかけてカードキー式のドアを手持ちのカードで明けようとして失敗、非常ベルを鳴らしてしまう。これが結果的に全員を図書館に閉じ込める原因となる

  • 警報が作動しても「やったのは柚那であって自分は見ていただけ」と開き直る。その上「宝が見たかったのにケチケチして鍵を掛ける方が悪い」とまで言い出す。このシーンの逆ギレはすさまじく、自己正当化と自分勝手な台詞のオンパレードだ。そして美智に警察を呼ぶと言われるほどキツく叱られても「ごめ…なさ…」だけで、正式な謝罪はしなかった

  • 地下の倉庫の中にある値打ちのありそうな物を、閉じ込められた慰謝料代わりにもらって帰ろうとする

  • 栞が大切にしている祖父の銅像に傷を付けてしまう。激昂する栞に対して「はいはい、ごめんちゃ~い」とまともな謝罪もしなければ反省もしない

 これでもほんの一角で、些細なことから重大なことまで全編に渡ってエリカは大暴れする。わがままやトラブルメーカーといった言葉では言い表すことが出来ない、度を越した身勝手さだ。プレイして最初の方で、賢治がエリカの事を「明るくて賑やかで、悪い奴ではないけれど……」と言っているが、これも公式サイトの紹介と同じく大嘘でエリカは悪い奴である。原作のレビューをしているサイトでもエリカの行動に不快な印象を抱いているユーザーが結構いた。
 彼女を大人しくさせるにはどうすればいいのか。答えは暴力である。

原作の主な流れ

 簡単に原作のストーリーについて書いていきたい。エリカのいたずら心で電子ロックを開けようとしたところ非常ベルが鳴り、朱鷺田図書館のセキュリティが起動して玄関と窓にシャッターが下ろされる。外部と遮断された上、セキュリティルームが何者かに破壊され固定電話が使用不可能に。また、図書館に入る際に預けていた個人のスマートフォンや携帯電話が保管場所から消えてしまう。外との連絡手段が無くなった賢治たち7人(遠藤章子は後で合流するので事件発生時は7人だ)は、電気が止まって空調が効かなくなった真冬の図書館に閉じ込められてしまった。
 図書館内に残されていた非常食で食いつなぎながら救助を待つ賢治たちだったが、閉じ込められて3日目に高木が何者かの手によって刺殺されてしまう。事件発生時に事故にあって気絶していた章子が目を覚まして合流してくる。
 食料は残り少なくなり、風呂にも入れず不潔になっていくことにストレスを感じ始める一同。5日目には細川も不審な死を遂げる。殺人犯は一体誰なのか、どうやったらここから脱出出来るのか。一同のストレスは限界に達しようとしていた。

 実際はもっと長いのだが、共通ルートと呼べる部分としてはこんな感じだ。EDは7つあり、そこに至るまでの選択肢で分岐する。一応、真犯人の正体に関しては触れないでおこうと思う。どのEDでも真犯人は同じ人物である、とだけは言っておく。

 各EDについても簡単に触れておく。実際にはEDにタイトルがあるのだが、ここでばらしてしまっても興ざめなので仮の名前としておく。

  • 脱出ED 真犯人を突き止めて図書館から脱出する賢治たち。ハッピーエンドを迎えたと思っていたが、賢治の未来には暗雲が立ちこめていた。

  • 行方不明ED 真犯人との対決で致命的なミスを犯した賢治。皆が脱出した後警察と一緒に実況見分をするが、そこに賢治の姿はなかった。

  • 全滅ED 残っていた人間が次々に殺害されていく。錯乱した仲間を誤って殺してしまう賢治。そして賢治も何者かに背後から襲われる。

  • 汚物ED わがまま放題のエリカにキレた賢治は殴って黙らせる。この場で一番強いのは自分だと考えた賢治は暴力の中毒になり、女たちを支配下において暴君として君臨する。

  • ダイイングメッセージED 新たな被害者が死に際に書き残した文字を巡って揉める一同。全ての謎を知った賢治は罪を被せようととある人物を手にかける。しかしそんな賢治の背後から真犯人が襲いかかる。

  • 共犯者ED 死者が増えていく中、ついに図書館の秘密を知った賢治。手を組む事にしたとある仲間と共に脱出を試みるが、彼女は黒幕の共犯者だった。裏切られ襲われる賢治。

  • 消失ED 無茶な手段を使って脱出した賢治たち。しかし脱出した後に平穏は訪れなかった。いつの間にか自分たちは『窃盗目的で朱鷺田図書館に侵入し、来館者を殺した』ことにされていた。長い取り調べが始まる。

 どのEDを迎えても誰かしらは犠牲になる上、解決したとは言い切れないオチがついている。唯一トゥルーエンドっぽい脱出EDも高木と細川以外に2人死んでいるし、ゲーム内の描写の通りならいずれ賢治も殺されてしまう。それ以外はほぼバッドエンドか解決したとはいえないエンディングであり、モヤモヤした気分が残される。

原作の感想

 ミステリーとしてみた場合、このストーリーでは少々厳しいなと思ったのが正直なところだ。ノックスの十戒のようなメジャーなお約束を用いるまでもなく、事件の真犯人が実はあいつでこうこうこういう手段で殺していました、はお話として無理がある。しかもたちの悪い事に、真犯人に繋がる伏線が出てきた瞬間に「ああ、これもしかしてアレかな」とピンと来てしまう。さらにその「ピンときた」内容が正解なのだからどうしようもない。予想が裏切られたり覆されたりする気持ちのよさのはなかった。
 ではアドベンチャーゲームとしてはどうなのか。前述の通りどのEDも後味がよい物ではないため、これははっきりと好き嫌いの分かれる作風だと思う。登場人物も軒並み癖が強く感情移入しづらいため、好みに合えば行けるが逆に合わなければまるで駄目ということになりかねない。万人におすすめできるゲームではないな、という印象だった。
 汚物EDでは何日も風呂に入っていない賢治たちがまるで乱交パーティのようなことをするのだが、やっていることが本当に汚い。食糧が尽きてろくに飯も食っていないのにアソコだけは立つお盛んな賢治には変な笑いが出た。行方不明EDは明らかに不審な物があるのだから鑑識が調べたり実況見分で生存者が報告すれば一発で分かるだろうし、消失EDでも遺体のDNAを調べて事件関係者のものと照合すれば身元が分かるし犯人も分かるはずだ。賢治たちに容疑を着せるのも無理筋と言える。
 そもそも朱鷺田家の財産の管理は美智が行っているようだが、栞の両親は本当に何をしているのか(いくら何でも薄情どころの話ではない、鬼のような両親である。朱鷺田家当主が亡くなったのだから財産の分与の話もあるだろうに全く出てこない)。脱出方法はあれでいいのか、町外れなのに事態に気づいてから救助が来るまで早すぎないかとか、突っ込みどころはいくらでも出てくる。細かい事はいいんだよ、で済ませるには少々辛いゲームだった。

CS版について

 CS版のあらすじは原作とほぼ同じなので割愛させてもらう。移植に際し、主に以下の点が変更されている。

・キャラグラフィックの一新
 サイバーステップ製ADVではよくある事だが、キャラクターのグラフィックが修正されている。しかし本作は『完全に違うデザイナーによる全キャラ新規書き下ろし』が行われている。これはサイバーステップのノベルゲームとしては非常に珍しい。以下に各キャラクターの原作とCS版を載せる。

原作栞
CS版栞
原作美智
CS版美智
原作エリカ
CS版エリカ
原作柚那
CS版柚那
原作章子
CS版章子
原作にはなかった高木と細川の立ち絵も追加された。
左が高木、右が細川

 原作はさすがに10年以上前の絵ということもあり、今見るとどうしても線の太さや色の塗りに古さを感じてしまう。この辺りはCS版で最近のトレンドに近い形にリメイクされた。栞はより病弱そうな見た目となり、髪の色が独特な柚那と章子も比較的現実にいそうな色合いに変更。特に柚那はイメージが大きく変わり、全体的に別人となっている。ちなみに高木と細川の立ち絵も追加されたが、女性陣に比べてあからさまにやる気のない絵で笑ってしまった。モブだから仕方ないのだが。

・キャストの変更
 CS版では原作からキャストが完全に一新された。全員Vtuberであり、シオリノコトハリメイクのゲームニュースがメディアに載った際にはメーカーもそれを売りにしていた。

具体的なCVを挙げておく。

  • 朱鷺田栞 CV:朝ノ瑠璃(朝ノ姉妹プロジェクト)

  • 如月美智 CV:モカ(Project ShoveL)

  • 君島エリカ CV:ヒヅキミウ(WACTOR)

  • 白木柚那 CV:戌千代ここな(星めぐり学園)

  • 遠藤章子 CV:ミツルギリア(WACTOR)

 名称、所属はCS版配信当時のものである。栞の声を担当しているのはアニメ『邪神ちゃんドロップキックX』のエキュートの声をやっていた方だ。全員演技に問題はなく、キャラクターのイメージも崩れていなかった。キャスティングとしては満点と言っていい。
 ちなみに高木・細川にもボイスが付いた。2人ともしっかりしたオタク演技をしているので必聴だ。

・新規EDの追加
 
CS版では前述の原作EDの中から、過激な暴力とエロがどうしても切り離せない汚物EDとコンプライアンス的に少々問題のありそうな消失EDはオミットされた。その代わりCS版オリジナルのEDが追加されて計6つになっている。追加EDは他の5つのEDを見た後で解放される。真犯人と完全にケリをつけ、これからも前を向いて歩いていくというはっきりとハッピーエンドと言える展開だ。ちなみに他のEDは原作とほぼ流れは同じであり、エロシーンをカットするかしないかくらいしか違いはない。直接的な描写こそないものの、どうも前後のテキストを読む限りやることはやっていたように見える。

CS版の感想

 基本的なシステムや話が原作と一緒であり、フラグを立ててきちんと分岐を把握しないと望んだEDにたどり着けないところは変わっていなかった。スキップした際のテンポが原作よりよくなっているため、周回プレイや巻戻ってのプレイには支障はない。ただバックログを見る際に画面切り替えがほんの一瞬だけもたつくのが地味に気になった。他の作品ではそんなことがなかったからだ。またテキスト内で名詞と動詞の“はなし”の単語の区別が付いておらず、全て『話し』で統一されていたのも些末な事ながら気になった。これは原作も同じで、「そんな話しがあるか」「本当の話し」みたいな書き方がされている。本当にどうでもいい事なのだが、移植に当たって修正を入れてもよかったのではないかと思った。誤字脱字も結構あるし、普段君付けのはずの美智が賢治をさん付けで呼んでいたりとミスも見られる。

どう読むんだこれ
両側覗お部屋を

 シナリオに関しては原作通りなので、ミステリーとしてみるとかなり厳しい。単純にADVとして見ても全体的に粗が多いところは変わっていないのでなかなか評価に困るところがあるのだが、それでも追加された新規EDのおかげでプレイ後に気持ちが曇ることもなくなった。ただ、エリカはリメイクされてもモンスターのままで、CS版でも相変わらず大暴れする。声を担当しているヒヅキミウ氏が上手いおかげで、原作とは少々イメージの違った非常に鬱陶しいエリカの姿を見る事が出来る。

そりゃ賢治もこんな言い方になる

 基本的に原作と流れが同じため、殺人犯と同じ場所に閉じ込められて食料がなくなっていく事で不和が起きるという展開も一緒だ。えげつない罵り合いや暴力沙汰、追加の殺人事件も起きる。これでよくレーティングがIARC12+「ののしり言葉(軽度)」で済んだものだと思う。

終わりに

 サイバーステップにとってこの『シオリノコトハ – Dark Reflections –』はエロゲーの移植作として2作目、CSノベル部としては第1作目の記念すべき作品となっている。そのためかなり気合いを入れて臨んだ事が分かる。キャラクターデザインの一新だったりCVにVtuberを起用したり、新規のEDを追加したり。また珍しくPSでも配信されている。力の入れようが分かるというものだ。

 ただ、この路線が成功したかというと疑問は残る。CSノベル部第2作目の『絶対君主!小夜様 ~バイト面接に行ったら小夜様の下僕だった件~』は現行のPandaShoujo作品とノリがほぼ同じになっている。何があったのかは知るよしもないが、力を入れてリメイクするよりはエロを取っぱらってテキスト修正をするくらいで移植した方が結果的に得になったのではないか、というのは邪推だろうか。サイバーステップにはいつかまた、こういった気合いを入れたリメイク作品を作ってもらいたいと願っている。


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