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お正月の遊び

お正月の話題の鮮度は今日がぎりぎりという所。

普段、つつましく暮らしている私でも、お正月は、ぱあっと華やかにしたいと思う。
おせちは抜かりなく作り、梅の枝を活け、お菓子も沢山用意する。
お酒は皆様が貢いで下さるので買う必要がない。

年明けの2,3日前にまだ蕾の小さな梅の枝を選び、日向に置く。
年内には蕾のままで、元旦の光の中で開花してくれると嬉しい。
それから数日かけて一つまた一つと花が咲いていく移ろいは、新年の慶びが重なっていくのを見るようで愛らしい。
(何だか枕草子のような物言いである。)

昔々、私が子供の頃には、お正月に祖母の家で、姉と三人で花札をした。
花札は祖母が私と姉に教えてくれた遊びだった。
1円玉を掛札にして、一日中遊んでいたものである。
子供の頃の記憶というのは根強いもので、お正月に炬燵を囲んで延々と花札が出来たら最高だろうなという気がしてきた。
祖父の家には立派な碁盤があったことも思い出す。
囲碁は習得しないままだったが…
要するに、何にせよ、子供であれ大人であれ、遊び道具を持っていた。
今年の私はプレイステーション4だった訳だが。

古代中東の遺跡に、最古の双六(すごろく)があるという話を聞いた時、ただならぬ感銘を受けたものだった。
5000年もの前から、ずっと人は、日々の労働の傍ら遊んでいたのである。
当たり前と言えば当たり前のことだが、仕事と同じだけの歴史を遊びが持っているという事実は、とても意義深いことと思われた。

仕事と遊びはきっと、同じ「人間の営み」の表裏なのだろう。
あるいはそれは天秤に喩えても良いかもしれない。
片方があるから、もう片方がある。

お正月は大人も仕事をしていない。
そんな珍しい時間の中で、花札や碁盤がとりわけ子供心に何か強く訴えるものがあったのもかもしれない。
何事につけ、「どっちも大事」
これが最近の私の信念。
今年は、遊ぼうと考えている。

祖母の形見。久しぶりに取り出してみた。




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