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パンのための学問? 法学部法律学科で学ぶ学生が思うこと。2019年5月5日

自己紹介をするときに、「〇〇大学の法学部法律学科〇年です。」と言うと、

「頭いいんだね」とか「弁護士になるの?」とか言われることがほとんどです。


確かに、法学部は他の(経営とか経済、文学、国際系、社会系といった)文系学部よりも偏差値が高いし、弁護士や裁判官などの法曹(法学系の職業)になりたい人もいるでしょう。

でも、法学部の将来の可能性は普通に広いです。

高学歴大学だと現状は変わるかもしれないと思いますが、医学部の人が医療系に進むのとは若干違うと思います。


大学生なら分かると思うけれど、法学部の就職先を見ると裁判所や弁護士事務所もありますが、民間企業も多いです。

でも公務員志望の人は他学部より多いと思います(ここが低学歴大学だからかもしれない…)。

刑法を学ぶ人は警察官志望かな、とか、行政法を学ぶ人は(地方)公務員目指してるのかな、とか、民訴法専攻してる人は法職?とか、なんとなく思うけれど、ただ単にその学問が面白くて専攻している人もいると思います。

とはいえ、これはどこの学部の人も同じで、例えば、商学部(経営学部)の人で国際会計を学んでいるからと言って国際関係の企業に就職しないでしょう。


法学部もそうです。

リーガルハイに憧れてる子多いけど(笑)



タイトルのパンのための学問とは、パン=食事、

つまり、学ぶことが(安定した高収入な)職業に就くことに直結するというか、

すなわち、将来の安定のため(にその学問を学ぶ人)の学問

みたいなニュアンスです。

法学を皮肉った言葉です。


しかし、法学を学ぶ人は、「パンのため」なばかりではありません。

それは先ほど述べたとおりで、法学が法律家になるためだけの学問ではないからです。

とういうことで、法学部生は六法を暗記しているだけではありません(笑)




話が変わりますが、

法学部の良さは、悪い言葉になってしまうけれど伝統とか古臭さとか堅苦しさだと思います。


法学という学問はとても歴史があります。

中世ヨーロッパの四つの学問は「法学・神学・哲学・医学」です。

これらの学問が揃っていない大学は(正式には)英語でuniversityとは言いません(college)。

そんな風に、法学の重要さは最近できた学問(国際関係学とか社会情報学とか)とは比べ物になりません(名指しですみません…)。


あと、

法学部は地味な生徒の割合が圧倒的に高いと思います。

眼鏡かけてる人多いし、垢抜けないインキャラ風学生が多い(例外多)。

学部を選ぶときに、その学部の雰囲気に合うかどうか見極める必要があるとよく言われますが、その通りで、インキャラな人には在籍しやすい学部だと思います。(法学部にも陽キャラの人もいるけど、陽キャラになりたい人は自分のなりたい人が多そうな学部(国際学部系、社会学部系)に進学することを勧めます。)



法学の良さですが、やはり

法学を学ぶことで、法律(憲法なら政治、刑法なら犯罪とかそんな風に)に詳しくなることはもちろんできるし、論理的思考、批判的視座を養うことができます。

言葉の厳密さも身に付いた気がします。



また、法学部は留年率が高いです。

法学が難しいというより、試験が原因と思われます。

法学部は他の学部と比べて定期試験だけで成績評価がされる科目が多いです。

定期試験も、他の科目だと主流の、択一問題や一問一答、語群などは珍しく、論述形式が一般的です。

一行問題(試験用紙の上に一行だけ問題文があって、その下はずっと解答欄の罫線)という言葉もあるくらい。

例えば、「責任主義について論じよ」とかそんな感じ。

とはいえ、最近は事例問題が多いので難易度は昔と比べて優しいのだと思います。

事例問題は、例えば

「道路で自動車を運転していたAは、同じ車線の真正面から自動車Bが暴走してこちらへ来ているのに気が付いた。避けようとしたが反対車線は家族連れが乗る自動車Cが走行しており、歩道は老人Dが一人で歩いており、停車すると自動車Bと衝突してしまうため仕方なく歩道へ乗り上げてDを轢いて重傷を負わせ、Dは二日後に死亡した。この時Aに犯罪は成立するか。」

こんな感じ(事例は適当に創作したので不備がある可能性があります)で、

結局どっちも論述だけど書きやすさは事例問題のほうが上です。

難しそうだけど訓練すれば書けます。


こういう風に法学部で学ぶと論述問題に対応する力を身につけることができます。


私自身、(試験期間以外は)法学部に入って本当によかったなと思います。

法学といっても、憲法、刑法、民法とかだけじゃなくて商法・会社法、労働法、社会保障法…といった様にいろいろな知識が得られるし、その幅は広いです。

法制史や法理学・法哲学、法社会学などの基礎法学も面白いし、教養になります。


この記事を読んだ高校生がいたら、法学部に入って人生が変わる経験をしてほしいと思います。

自分の興味に従って選ぶと言われても難しいからじっくり考えてください。

入った学部が思ってたのと違っても、夢中になって勉強すればその学問に自ずと興味がわいているもんだと思います。

やってみなくちゃわからないけど、どこへ行っても自分に合う領域はあると思います。

そのくらい、いろいろな学問に興味・関心がないと大学生活は厳しいと思います。


不安になったとしても大丈夫です、私は高校生までは強制されて勉強をしていましたが大学ではちゃんと自らの興味がある学問・分野にたくさん出会えました。

人生が変わる(講義や同級生、教授)出会いもたくさんありました。


今までのすべてが自分の人生に直接的に資するものではありません。
たくさん影響を受けて、自己を形成するのです。

成功者というのは、経験の良かった部分だけをピックアップするので、自分が霞んでしまうのです。

逆算の人生はそうですが、よく分からないのに目標や夢から逆算して、不要な経験を排除して求められることだけをするなんて人はわずかだと思います。


ですから、何事も躊躇わずに興味を信じて行動しましょう。

興味なんて言葉もよくないかもしれないですね、やりたいことをやりましょうということです。

やるべきこともやる必要がありますが、したいことをしてたら案外後からそのことでおいしい思いをするかもしれません。



以上。

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