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ISHIGAKI KUMIKO/東京、北京を経て現在、関西在住のライターです。 htt…

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ISHIGAKI KUMIKO/東京、北京を経て現在、関西在住のライターです。 https://ishigakikumiko.com/

最近の記事

3月に見たい展覧会について【京都】

3月に入ってから、展覧会のお知らせを頂いたり、面白そうなアートイベントの情報を見つけたりする機会が続いたので、忘れないようにメモしておこうと思います。 ARTISTS' FAIR KYOTO 2024メイン会場での催しは3月3日に終了しているのですが、アドバイザリーボード展覧会が3月10日まで清水寺で行われています。 ミヤケマイさん、ヤノベケンジさん、やんツーさん、やなぎみわさんなどなど、好きなアーティストさんが参加されているので、チケットも買っているのでぜひ見に行きたい。

    • 倉敷ぶらぶら歩き。玉野~倉敷美観地区へ

      その昔、倉敷は海だったという。 夫の祖父母がかつて住んでいたという岡山県玉野市は、倉敷美観地区まで車で30分ほどの街だ。 直島行きのフェリーの発着所がある港町で、瀬戸大橋ができるまでは岡山から四国へ向かうにはこの街でフェリーに乗るしか術がなく、行き交う人々でそれは賑わっていたらしい。 倉敷は、いつか行ってみたいなと思いながら、きっかけがなかった街だ。レトロ建築が好きな私にとって、とりわけ倉敷美観地区には憧れがあった。 今回、お墓参りで玉野を訪れることが決まってから、つ

      • 大阪のブルックリン「十三」で岡本太郎と出会った話

        大阪に十三という街がある。淀川をはさんで梅田のちょうど対岸にあるのだが、ショッピングビルや高層ビルが林立する梅田に比べて、十三は下町風情たっぷりの街だ。 駅前はいつも人で賑わって、生き生きとしている。 みたらし団子の老舗「喜八洲総本舗 本店」は十三駅前徒歩20秒。長蛇の列でもひるまず並んでほしい。手際が良すぎてすぐ買えるから。手土産はもちろん、焼きたてを頬張る贅沢も良い。 駅徒歩3分、十三サカエマチ商店街には、エッジのきいたドキュメンタリー映画ばかりを上映する「第七藝術

        • 井上結理さん個展「私への物語」

          7月2日から京都のギャラリー「KUNST ARZT(クンストアルツト)」にて、井上結理さんの個展「私への物語」が開催されています。 会場の真ん中に置かれた一冊の本には、A T G C の四文字がランダムで記されています。ページをめくってもめくっても、最初から最後までずっと。 この作品は、アーティストが脱ぎ捨てた衣服に付着した体液からDNAを抽出し、ATCGの組み合わせによる30億文字の塩基配列を、いわば作者自身の肖像として表現したもの。 展示されている本にはその一部

        3月に見たい展覧会について【京都】

          「友達は何人いますか?」と聞かれた話

          昨日、久しぶりにスマホのアドレス帳を整理した。 一度しか行ってないレストランやカフェ、仕事で連絡先を交換した人(今はもうつきあいがない)、以前住んでいたアパートの管理会社などなど、もう連絡を取ることもないだろうなという連絡先をポチポチ削除していった。 そのなかには、何年か前によく飲みに行ったり遊んだりしていた人もいたけれど、なんとなくもう会うことはないような気がして連絡先を消した。 *** わたしが友達について、はじめてまじまじと考えたのは小学5年生の頃。

          「友達は何人いますか?」と聞かれた話

          【展覧会】Study:大阪関西国際芸術祭/kioku手芸館「たんす」

          2021年の「東京ビエンナーレ」ではじめて西尾美也さんの作品を見た。 「装い」をテーマに作品やアートプロジェクトをされている方で、神田の海老原商店を会場に行われたプロジェクト《着がえる家》では、子ども時代に着ていた衣服を今の自分に合うサイズで再現した作品や、西尾さんのお子さんが実際に着ていた服を見本帳にまとめた作品など、衣服が記憶する家族の思い出に触れる作品が幾つも展示されていた。 子どもの服の見本帳なんてもう、一枚一枚めくるたびに、よそ様の家のことではあるれど、人の成長

          【展覧会】Study:大阪関西国際芸術祭/kioku手芸館「たんす」

          【展覧会】「二次元派展」(1/28~2/13)大阪府立中之島図書館

          展覧会を開こうと思い立ち、そして実際に開催させる人の胆力は計り知れない。 とくに現在、大阪府立中之島図書館で開催されている「二次元派展」のように、サブカルやエンタメの影響を強く感じさせるポップアートの展覧会は、美術史の中で評価が定まっていないがゆえの困難がありそうだ。 キュレーターの沓名美和さんの声がけにより集まった17名のアーティストたちは、20代~30代が中心らしい。 キャラクター表現で描かれる女の子の姿やSNSというモチーフ、自由で軽やかな表現はどれも、生々し

          【展覧会】「二次元派展」(1/28~2/13)大阪府立中之島図書館

          私とネコのけむり君

          猫への狂おしいあこがれは、ある日、唐突にやってきた。 もともと犬猫の類を飼いたいと思うたちではなく、どちらかというとうっすら苦手意識を抱いていたような気さえするのに、ある日、目の前を横切る野良猫の、黒いしっぽをふりふり歩く後ろ姿に心の臓を撃ち抜かれたわけだ。 かわいい。猛烈にかわいい。 そのころ私は20代半ば、ブラック企業の汚水に首までびたびたに浸かって、いま自分が何をしているのかもわからなくなるくらい窒息寸前で働いていた。社内の複雑な人間関係、適性無

          私とネコのけむり君