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きたかぜとたいよう

J-B Oudry's illustration for the edition of La Fontaine's Fables executed 1729/34

あるひのこと、きたかぜが たいように ちからじまんをしています。
きたかぜが いいました。

「ぼくは どんなものでも かんたんに ふきとばすことが できるよ。
せかいで いちばんの つよいのは やっぱり ぼくだね。」

すると たいようは いいました。

「ふふん。たしかに きみは ちからもちだ。
でも、いちばん っていうのは どうかな?」

そこで ふたりは ちからくらべを することに しました。

「よし、それでは ちから くらべを してみよう。
あそこを あるいている たびびとの きている ふくを ぬがせたほうが かちだよ。」
「よし、いいだろう。さいしょは きたかぜくん、 きみの ばんだよ。」

きたかぜは ちからを こめて たびびとに かぜを ふきかけます。
たびびとのふくを ふきとばそうと いうのです。

ところが たびびとの ふくは ぬげません。

「ああ、なんて さむいひなんだ。」

きたかぜは さらに ちからを こめて かぜを ふきつけます。
「ぶうぉー! ぶうぉー!」

ところが ふくを ふきとばすどころか
たびびとは さむがって コートを まとってしまったのです。
「あー さむい さむい!」

きたかぜは とうとう あきらめてしまったのでした。

「ふふふ、どうやら だめなようだね。
さ、こんどは ぼくの ばんだよ。みていて ごらん」

たいようは そういうと さんさんと かがやきはじめたのです。
ひえきった そのばしょは みるみると あたたかく なっていったのでした。

「あー、あつい、あつい。きょうは なんという ひだ!
さむくなったり あつくなったり!もう、たまらん!」

そういうと たびびとは おもわず ふくを ぬぎ
かわに とびこんだのでした。

それをみた きたかぜは たいように いいました。

「なんでも ちからずくで すまそうとした ぼくが まちがっていたね。
ぼくの まけだよ。」

きたかぜは はんせいし それからというもの
じぶんの ちからを じまんすることは にどと なくなったのです。

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