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須田一政

僕的には「エグい」写真を撮る人である。
アサカメに掲載されたこの辺の写真はミノックスを使っていたらしい。

僕はその辺りから彼を知った。
「エグい」と書いたが、別段これに定義がある訳ではない。
エグいは「刳み」から来ている言葉だと思うが、食べ物などの灰汁から感じる苦みを表す言葉である。
彼の撮る写真は日常的ではあるが、非常に「間の悪い」日常だと思う。
これはあくまで例えの話だが、ハービー山口さんの撮る日常が、その対局にある気がする。
被写体になった人、あるいは物に内在する物までは透かして見る事はできないが、それらが最大に陽極に振れているのがハービーさんの写真で、その反対の陰極に振れているのが須田さんの写真ではないだろうか。
もちろん良いとか悪いの話ではない。
陰陽あって、初めて成り立つのが世界なのだから。
とても好きな写真家ではあるが、僕自身はそこまで「刳み」を感じる所まで気持ちが行かない。
つくづくと人の感覚というのは、気持ちの有り様で違ってくるのだな、と感じている。
かつて何とか写真の上に醸し出そうとしていたのが、紛う事なく「刳み」そのものだったのだから。

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