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稽留流産 自然排出の記録

タイトルと似つかないヘッダー写真は新婚旅行で行ったイタリア・フィレンツェのポンテベッキオ。妊娠発覚までの経緯と流産が疑われるところまでの記事は下記で。

流産確定と旅行行きの思案

流産の可能性が高いと伝えられてから一週間後の診察は、夫も来れると言うので一緒に行った。エコーの結果、流産が確定。この1週間で流産に対する気持ちの整理はついて、覚悟していたので、淡々と事実を受け入れられた。流産は流産として、次は旅行へ行けるのかどうかが関心事だった。不謹慎かもしれないがそれが正直な気持ちだった。

前回の診察時には、流産確定後にすぐ手術をした方がいいのかと思っていた。ただ前回とは先生も違い、改めて落ち着いて話を聞くと、手術よりも自然排出を勧められた。自然に出てきて、身体へのダメージも少ないならそれがいいと思うけど、いつ出てくるかわからない胎嚢を抱えて、知らない土地へ海外旅行に行くのはかなりリスクがある。旅行を諦めきれなかった私は、すぐに手術して旅行へ行く選択肢はあるのかも聞いてみたけど、それはそれで時間がなさすぎてリスクは残ると言われた。短時間で終わる処置とはいえ、手術は手術。麻酔もするし、それなりに身体のダメージも受ける。術後数日で身体がどんな状況になっているかわからないし、旅行に行けるなんて言えないのは理解できる。自分がどうしたいか、旅行に行くために何ができるかは、こちらで考えるしかない事なので、その場では、勧められた通りに自然排出を待つことにして、二週間後に提携先病院でのフォローアップ検診の予約を入れた。私が通っていた産院は、流産の手術ができないため、今後何かあったときは提携先の方へ行ってくれとのことだった。

流産の事実自体は受け入れていたが、どうにか旅行へ行けないかを思案したり、自然排出について調べたりで、その日は何も手につかなかった。その時点ではまだ全く出血もなく、痛みもなく、つわり症状もなくなった身体はいたって普通だった。ひたすら体験談を検索していろんなケースを読んで、出血が大量に来たらどうしようなどと考えていた。本当に自分勝手ではあるが、早く出てきてくれるか、旅行から帰ってくるまで出てこないかどちらかにならないかなと願っていた。

自然排出が始まる

確定診断から3日後、ほんの少しの出血。おりものに血が混じっているところから始まるような体験談を多く読んだけど、私の場合は最初から生理のような出血だった。出血は外出時に確認したため、さっさと家に帰ったけど、その後はほぼ出血もなく、腹痛もなかった。夜までそんな感じで、「今日は何もなさそうだな」と思ったけど、念の為、多いの日用のナプキンをつけて寝た。

翌朝。起きてトイレでナプキンを確認するも出血はほんの少し。痛みも全くなかった。朝食を食べて、少し家でゆっくりしていても特に変化はなし。身体のコンディションも悪くなかったため、走りに行くことにした。出血の気配もなかったので、ナプキンもタンポンもせずに。1時間くらい走ろうかと思っていたけど、なんだかんだで15km、1時間半ほど走った。途中で出血来たら危険だったと思うけど、特に何もなかった。シャワーを浴びて、昼食を食べて、出かけたくなって、カフェに行く。カフェの後にスーパーで買い物していたら、出血を感じた。家に帰って大きめのナプキンをして備える。少しだけど下腹部に痛みを感じ始めた。夕方まではそんな感じだった。

甘いものが食べたい気分だった。夕方になってバナナケーキを焼いて、夕飯の準備を始めたあたりで、そこそこ強めの痛みを感じ始める。立って作業しているのが段々つらくなってきた。重めの生理痛くらいの感じ。食欲はあったから、大量出血があっても大丈夫なように、食べられるうちに食べようと思ってしっかり食べた。

痛みが強くなってきて、何もする気が起きなくなる。テレビで映画を適当に流しながら、ソファに座って休む。出血はそこそこあったけど、多い日用のナプキンを半分くらい満たしたかなという程度。出血は生理1-2日目くらいの量。多い日用のナプキンをしていればとりあえず安心な感じ。時折ドロッとした塊が出てたけど、経験談でよく目にした「レバー状の塊」というほどの大きなものは特になかった。

段々痛みが強くなって、スマホをいじるのすら辛くなりながらも、ひたすら流産体験記などを読んでいた。経験談では、陣痛みたいに10分おきに痛みが強くなるみたいな話も読んだけど、特にそういう波はなくて持続的に痛かった。動けない程ではないけれど何もしたくない感じだった。ソファで寝てても出て来なそうだなと思って、重力がかかる方向に体勢移動してみたり、痛みが和らぐ方法を模索。お医者さんからは、痛み止めは飲まない方がいいと言われていたので、薬も全く飲んではいなかった。

「これはなかなか痛いなあ、きついなあ」と思っていると、生理が漏れたときのようなドバっとした感覚が走った。すぐにトイレに行くと、ナプキンにでっかい塊が出ていた。10cmを超えるくらいのまとまった塊。確信はなかったが、これが胎嚢かなと思い、お医者さんから指示された通りにジップロックに入れて保護。白っぽい組織も混じっていて、ただの血の塊とは明らかに違っていた。

その塊が出たあとは、痛みがだいぶ収まった。ここまで出血量は多い日用のナプキンを2つ使うくらいだった。様々な体験談を読んでいた私は、それなりの出血を覚悟していたため、割とあっさり出てきたことに対して、「これで終わりでいいのか?」と不安になった。インターネットで胎嚢の画像検索をしてみるも、いまいち確信は持てず。その日は、夜用のとても大きいナプキンをつけて寝た。痛みは少し残っていたし、出血も続いていたけど、睡眠は問題なし。朝になって確認すると、普通の日用のナプキンで十分に収まる量の出血があった。

胎嚢排出の確認

痛みはほぼなくなり、出血量も収まっていたので、やはり胎嚢は排出されているはずだと思って、流産後のフォロー検診の予約をしていた病院に問い合わせる。今日中に来れるかと聞かれたので、そのまま病院へ。病院で経膣エコーをして子宮の状態を確認すると、無事に胎嚢が排出されていたことがわかった。経過も問題なさそうで、出血はもう少し続くけど、数日で収まるだろうと言われた。2週間後にフォローアップ検診と排出された胎嚢の検査結果を聞くことにして終了。

残留物があったらどうしようと考えていた私は、診断を聞いてかなり安心した。痛みも出血もこれ以上増えることはなさそう。ならば旅行もこのまま行けるのではないかと。そしてなんとこの日の夜が新婚旅行出発予定だった。

新婚旅行とその後の経過

病院から戻って、やり残した仕事をした後、準備を始めて、その日の夜から新婚旅行へ出発した。旅行中は、常にナプキンはしていたものの、体調は安定していて、食事も観光もしっかり楽しめた。妊娠していたら楽しめなかったお酒も、コーヒーも存分に味わってきた。毎日アクティブに動いて、旅行先で2回ランニングもした。流産したことは残念だったが、4年ぶりの海外旅行、しかも大好きな夫と行けたことはとても良い思い出となった。

旅行から帰ってきて数日後に病院へ行ったけど、経過も問題なし。前回診察時に残っていた内膜などもきれいに排出されたようだ。排出物の検査結果がまだ出ていないということで、もう一回病院へ行く予定があるけれど、身体はすっかり妊娠前の状態に戻った。

いつ出てくるかわからない自然排出は、予定も組みづらいし、なかなかストレスではあるけれど、私くらい短時間で出血量もさほど多くないのであれば、手術よりも圧倒的に身体への負担は少ないと思う。今後、もし同じような稽留流産を経験しても、私は自然排出を選ぶだろう。ただ、スケジュールが読めないことが問題である場合は、手術の方が計画が立てやすいだろうし、自然排出もさまざまなケースがありそうだから、色々な要素を考慮して決めるしかない。もちろん流産にならないことが一番いいが。頭ではわかっていても実際に経験すると、妊娠から出産まで、どの過程も当たり前ではなく、無事に生まれてきて、生きていることの素晴らしさを実感する。私もまた妊娠して、次は無事に子供を産めることを願っている。無事に妊娠、出産ができたらその経験も書き留めたい。

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