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うまく真似をする

上手に真似をする,というのはとても大切な能力であり技術です。クラスでもモノマネが上手な子は必ずいますよね。モノマネの上手さは,「そのまま演じる」のではなく,特徴を捉えて抜き出し,そこを強調する,という点にあると思います。

この特徴を上手く捉える,というところを上手くできる人とできない人がいるように思うのですが,その差は何にあるのでしょうか。

学生のレポートや卒論などでも,上手く真似をしている学生のものと,あまり上手くない学生のものがあります。

それは,剽窃(パクリ)をすることとは違います。表面的に文章をそのままコピペするのではなく,たとえばフォーマットを真似たり,文章の構造を真似たりする,といった内容の話です。

真似ることとコピー

学生が書いたものを見ていると,他の本や論文の文体,書き方,表現方法を上手く真似ることができている学生から,全然真似ようとしない学生まで,さまざまいることがわかります。そして,上手く真似をすることができる学生は,たいていよくできる印象を持ちます。

真面目な学生なのに「あれ?」と思うこともあります。フォーマットや文章の構造といったことが見えていないのでしょうか。もしかしたら,「そういう真似も良いことではない」と思っている人がいるかもしれません。

でも確かにその境界線は曖昧で,どこまで真似ると「コピーしている」と判断されるかは微妙なところもあります。

型破りと形無し

ただ,自分独自の書き方で書いて,それがすばらしいものになることは,なかなか難しいように思います。もちろん,独自のやり方で上手くやれる人がいないわけではありませんが,その場合も基本的な真似はできた上であえて崩すから「ちょうど良さ」が出てくるようにも思うのです。「基礎と応用」とか「型があるから型破りになって,型がなければ形無しになる」とか,そういう言葉に近いものでしょうか。

最初に書いたように,真似をするというのはコピーとは違うのですよね。形式だけうまく真似をするので,それはとても高度なことだと思うのです。

皆が認めれば

知能検査の問題に,ルールを見つけ出すものがあります。図形が並んでいて,次にどの図形が来るかを当てるような問題です。フォーマットや構造を見つけるというのは,そういう問題に近いのかもしれないな,と思うことはあります。

もしかしたらそういう課題と似たところがあるからこそ,フォーマットや構造を抜き出して真似をすることができる人を見たときに,「すごい」と思うのかもしれません。多くの人が「それはすごい能力だ」と認めることこそが,その特性を「良い」と価値判断することにつながるのだと思います。

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