精神疾患の診断基準を示すと，必ずといっていいほどよくある反応が，次のようなものです。

「私は診断基準に当てはまるのですが，ということは私は病気なのでしょうか」

さて，診断基準に当てはまれば病気だといえるのでしょうか。

 DSM-5

「精神疾患の分類と診断の手引」という文献があります。アメリカ精神医学会がまとめている，精神疾患の診断基準をまとめたマニュアルです。この本の中には，それぞれの疾患と判断するための基準が掲載されています。

この本の中から，診断基準をいくつか見てみましょう。すると，おそらく「自分にもどこか当てはまるのではないか」と思ってしまうと思います。でもそれは，はたして「病気」であることの証拠なのでしょうか。

演技性パーソナリティ障害

診断基準の中に，演技性パーソナリティ障害という項目があります。その診断基準を見てみましょう。