イヌビエルラ

アメリカンコミック、映画、クラシック、歴史学、小説、アニメなどについて、駄文を投稿しま…

イヌビエルラ

アメリカンコミック、映画、クラシック、歴史学、小説、アニメなどについて、駄文を投稿します。推敲なんてしませんので、誤字脱字とか、文法の誤りは沢山あると思いますが、ご愛敬です。リンクにTwitterがありますが、2022年12月31日以降、現在運用しておりません

最近の記事

「西洋のドラゴンは悪で、東洋の龍は神様」とかいう雑語り

 今回は短めの呟き。とあるドラゴン好きの怒りの呟きです。  辰年、ドラゴンの干支なので、またぞろ方々から「西洋ではドラゴンは悪だが、東洋の龍は神」とかいう、いつもの文句が飛び出してきた。    これ、誰が言いだしたんだろうね?  実のところ、この言葉、一体何の根拠があって言っているのか、全くわからないというのが、私の本音である。  というのも「西洋ではドラゴンは悪だが、東洋の龍は神」という文言、徹頭徹尾「ふわっとした概念」しかないのが一番気になる点だ。  今回は別に参

    • 「ゴジラ-1.0は何がマイナスなのか」―ゴジラ-1.0感想・考察―

       ゴジラ-1.0、新作ゴジラとしては、日本産ではシン・ゴジラ(2016年)以来、モンスターバースのゴジラ作品の続編音沙汰無き今、ゴジラ不足に陥り始めたゴジラファンたちの欲望を満たすように、生み出されたゴジラ作品である。  多くの人の期待と不安、その一心を集められた作品、ゴジラファンの端くれである私も、公開日初日に見に行かざるを得なかった。  シン・ゴジラでも、モンスターバースも素晴らしいゴジラ作品だ。しかしそれらでさえ、私は何かが満たされなかった。  何が足りぬのか?  近

      • シュメールとポリティカル・コレクトネス

        はじめに「女優ではなく俳優」 「Womanではなくfemale」 「看護婦ではなく看護師」  昨今、ジェンダー平等の理念のもと、多くの「性差によって生じる言葉」について、「性の格差の無い言葉」への代替が推奨されている。男性と女性で区別する必要のない職名、あるいは「女性がする仕事」といった偏見を払しょくするため、例えば、看護婦や保母などは、看護師、保育士といった言葉に切り替わり、また女優もできる限り俳優と呼称することも増えてきた。  また、男性が優位で、女性が劣位であること

        • 性犯罪は、『性欲の問題』なのか? ―性暴力、性産業の歴史を俯瞰する―

          ※注意 本記事には、過去の歴史的史料や、研究を扱ううえで、非常に不快な、女性に対する性暴力、及びそれに関する表現を含みます。十分に注意をされたうえでご覧ください。また直接的ではありませんが、性表現も含んでいるため、未成年の閲覧も推奨しません。 はじめに 「男の性欲のはけ口が無くなれば、性被害に遭う女性は増える」  これはしばしば、女性の性被害と、性表現の是非について問われた際に、しばしば性表現の規制派に対して、常套句のように用いられるものだ。  しかし僕はしばしばこの表現

        「西洋のドラゴンは悪で、東洋の龍は神様」とかいう雑語り

          均衡レベル2で『模擬宇宙』の『第五世界』『第六世界』をクリアしよう!!/崩壊:スターレイル

          前書きホヨバが好きな人も、そうじゃない人もこんにちわ。崩壊スターレイル、楽しんでいますか? 私は、崩壊3rdからホヨバに触れた民ですが、崩壊スターレイルも楽しく遊んでおります。さて、このnoteを開いたということは、きっと多くの人が、初期の原神と同じ悩みを持っていることでしょう。 「くそ!聖遺物厳選が、聖遺物厳選がしてぇ!!けど均衡レベルが2から上がらねえ!!」  はい。その気持ち、大変よくわかります。最高レアの遺物を集めたい、しかし最高レベルの遺物は均衡レベル3からし

          均衡レベル2で『模擬宇宙』の『第五世界』『第六世界』をクリアしよう!!/崩壊:スターレイル

          「サルゴンの法則」"Sargon's Law"について、及び「地獄への道は善意で舗装されている」説の欺瞞

           私は、古代メソポタミア、特にアッカド王朝について興味があり、ある程度専門的な論文も、日曜研究者として読むくらいには精通している。  そんな私がある日、アッカド王朝の開祖でもある「サルゴン」について、少し論文でも探そうと思った時、検索のサジェストに"Sargon's Law"なるものが現れた。 「え!これ、もしかしてサルゴンの何かすげーテクストが見つかったんじゃね!?」  と学術の場から遠ざかって久しい私は、そんな最新の知見に触れられることに胸を躍らせながら、そのサジェス

          「サルゴンの法則」"Sargon's Law"について、及び「地獄への道は善意で舗装されている」説の欺瞞

          ディシアの育成論と評価について

          はじめに ディシアは、私が原神のスメール編で最も好きになったキャラであり、同時に原神においても最上位に来るくらい好きなキャラである。  スメールの魔神任務の比較的冒頭から登場し、更にPVでの顔見せの段階でも、そのヴィジュアルに惹かれ、私は、ディシアの実装を心待ちにしていた。  そして来る、ver 3.5、とうとう心待ちにしていたディシアが実装される。  しかし、ディシアは恒常キャラ、その性能も一般的な限定キャラと比すと、お世辞にも「優秀」とは言い難いものだった。  とはいえ、

          ディシアの育成論と評価について

          ネモにクソデカ感情を抱いた男/ポケモンSV感想

          ※本noteにはポケットモンスタースカーレット・バイオレット(以下SV)のストーリーに関するネタバレを多分に含みます。  さて、私は先日ポケモンSVをクリアした。元々ルビーサファイア以来、全くポケモンに触れていなかった僕だが、前作、通称「ポケモン剣盾」で、たまたま目にしたジムリーダーやライバル、四天王と、ほぼ全てのキャラのビジュアルがあまりに「好きすぎた」ため、十数年以来にポケモンシリーズに復帰した。SVは、剣盾と比べると特に魅力に感じるキャラクターが多いとは感じていなかっ

          ネモにクソデカ感情を抱いた男/ポケモンSV感想

          『太陽神としてのネルガル』ー現代創作物による古代神話の更新ー

          1:ネルガルについて調べようと思った経緯 もう五年も前だろうか。僕はある日、いつもプレイしているソーシャルゲーム(歴史や神話)で、「古代メソポタミアの神」の一つ、ネルガルが登場するストーリーを読んでいた。古代メソポタミアは僕が歴史学を大学で修めた際に、深く学んだ分野なので、大層楽しんでいた。  ネルガルは冥界神で、同じく冥界神エレシュキガルの配偶神である。彼の著名な神話も、このエレシュキガルとの関係の中で展開される。先のゲームのストーリーも、このエレシュキガルとネルガルの神話

          『太陽神としてのネルガル』ー現代創作物による古代神話の更新ー

          「シンウルトラマン」を円谷オタクが見た感想

           はい。というわけで久々にnoteで映画の感想を書きます。というわけでタイトル通り、シンウルトラマンを見たのでその感想となります。当然ネタバレを多分に含むため、未見の方は注意してください。  また正直ちょっと酷評よりです。賛否の賛を期待して開いた人は、僕に対して「お前の考えは間違ってる!!」と怒らないと約束してから、お読みください。というか感想と言っておきながら、その実は少し目的の違う記事です。先に謝っておきます。 ぼくのウルトラマン遍歴 感想に移る前に、先にやっときたいこ

          「シンウルトラマン」を円谷オタクが見た感想

          オタクとして、コンテンツのネガティブな話題との向き合い方について

           とてもお久しぶりのnote更新です。以前のnoteのような映画評でもなく、哲学、社会科学的視点も伴わない、ただの独り言みたいなものです。具体的で、論理的な話を期待している人は、ここでブラウザバックだぞ!!  はい。それで、何の話かといいますと、タイトルの通り、コンテンツとの付き合い方についての話です。僕自身の心がけであり、別に他人に押し付けようとか、これが正しい方法だ、とか言いたいわけではないんですが、少しでも共感して、この考え方が誰かの安らぎになればなと、筆を取りました

          オタクとして、コンテンツのネガティブな話題との向き合い方について

          「貴方のことは嫌いだが、貴方の権利は死んでも守る」と「正義の暴走」について

           昨今、多くの人間の関心を集めるために、過去の偉人の言葉や、芸能人の名言、果ては漫画の一コマさえ引用している人が見受けられる。Twitterは字数が制限されているため、だからこそわかりやすく、明快で、それでいて含蓄のある言葉が必要なんだろう。特に画像は、これといって言葉を添えずとも、強い情報量を含んでおり、そのためしばしばバズるツイートは、画像や漫画のキャラクターに自分の意見を代弁させることが多い。  しかし私が気になるのは、漫画にせよ小説にせよ、重要なのは文脈ではないか、

          「貴方のことは嫌いだが、貴方の権利は死んでも守る」と「正義の暴走」について

          ゴジラ/キング・オブ・モンスターズにおけるゴジラ、人、兵器、世界の描き方

          多様なゴジラ解釈 ゴジラはその長い歴史ゆえに設定にも数多くの変化があった怪獣である。戦争被害者の怨霊だったり、繰り返し進化を遂げる超生物であったり、生きた核兵器だったり、その力も設定も様々であった。  今回のキング・オブ・モンスターズ(以下KOM)でも、やはりゴジラの設定は大きく刷新されており、簡単に言えば「古代から生きてきた最初の地球の住人で、地球のエコシステムの循環者」と言える。さて、この設定に対してはファンの間でも議論がわかれるところだろうが、しかし私は非常に上手い設

          ゴジラ/キング・オブ・モンスターズにおけるゴジラ、人、兵器、世界の描き方

          MCUにおける「思想」としてのサノス

          ※「MCUシリーズ」及び「アベンジャーズ・エンドゲーム」の重大なネタバレが含まれています。 ・「思想としてのサノス」 アベンジャーズ・エンドゲーム(以下EG)は映画史に凛然と輝く傑作である。  という話はおそらく皆しているだろう。私はこの映画は今まで見てきた作品の中で一番好きだと断言できるほどだが、今ここで語りたいことは、作品の評論ではない。  思想としてのサノスとは、何者であったか。  そしてアベンジャーズ、及びルッソ兄弟は、この思想にいかに立ち向かおうとしたのかを論

          MCUにおける「思想」としてのサノス