チャット小説を書くときに説明的なセリフを回避する方法
こんにちは、あとーすです。
チャット小説と呼ばれるものを皆さんはご存じですか?
米国では2015年頃から流行しはじめ、今やアプリストアのブックカテゴリランキングトップ10は「HOOKED」や「TAP」といったチャット小説アプリが席巻しています。ちなみに、このブックカテゴリランキング、日本だと漫画アプリや電子書籍アプリなどがトップ10に入っています。
日本でもpixiv chatstoryやDMM TELLER、Balloon、peepなどのチャット小説アプリがリリースされており、流行の兆しが見え始めています。
チャット小説とは、文字通りチャット風の画面で物語が進んでいく小説のこと。日本でいうと、いわゆる「ト書き小説」や「台本小説」と呼ばれるものがちょっと豪華に表現できる、といった方がイメージが湧きやすいかもしれません。小説に比べるとリズムよくサクサク読めますし、サービスによってはアイコンも表示されるので、小説とは違った体験ができるのが特徴です。
さて、このチャット小説。読むのは簡単で良いのですが、実際に面白い作品をつくろうと思うとなかなか難しい! 特にこれまで小説を書いてきた人たちにとっては、地の文を封じられることでキャラクターの説明や描写ができず、苦労することが多いようです。
僕もpixiv chatstoryでディレクターをしており、たくさんの作品に触れるのですが、どうしても「説明的なセリフ」が多いように思います。今回は、この説明的なセリフをいかにして回避するのか、という方法を紹介いたします。
「説明的なセリフ」の例
説明的なセリフとは、たとえば以下のようなものです。
上記は極端な例ですが、全く見ないわけではありません。このような説明的なセリフを書くと物語からリアリティが失われ、読者の没入感を削いでしまいます。
では、どうすれば説明的なセリフを回避することができるのでしょうか?
情報の差を作る
上記の例では、なぜ説明的なセリフになってしまったのか。その理由は「情報の差」にあります。
貴志と花子は姉弟です。そしてここは、読者に「両親は事故で死んで、今は二人で暮らしている」ということを伝えたい場面です。
しかし、両親が死んだという情報は、貴志も花子も当然ながら持っています。ゆえに、読者に伝えようとすると不自然に説明するしかなくなってしまうのです。
人間は、情報を交換するために会話を行います。だから、お互いに知っていることは会話の話題になりえないわけですね。
それでは、どうすれば良いのか。答えは簡単で、「情報の差」を作り出してしまえば良いのです。
たとえば、花子が語る相手が「小学校のときの先生」だったらどうでしょうか。たとえば、こんな具合に
という風に会話を繋げると、花子が過去を語り出すのにふさわしい状況を作りだすことができます。
おすすめの本
実は上記のテクニックは、劇作家・演出家の平田オリザんさんの本『演劇入門』に書いてあったことを応用したものです。
チャット小説と戯曲は、基本的に会話文のみで書かれたテキストという共通点があり、戯曲の書き方はチャット小説を書く上でも大いに参考になります。
興味のある方は、ぜひこちらも読んでみてくださいね!
チャット小説を書いてみよう!
この記事を読んでチャット小説に興味が出たという方は、ぜひpixiv chatstoryでチャット小説作りに挑戦してみてくださいね!
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