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日本史と世界史と自己正当化と私

高校3年生の夏、僕は進路について悩んでいた。別に勉強が出来るわけではなかったけど、かといって勉強以外の何かが出来るわけでもない。小学生の頃のテストでは100点ばかり取っていたから自然と自分は頭が良いものだと思っていたけど、中学、高校と進むにつれて、本当に頭が良い人たちと自分の差はみるみる開いていった。高校も市内では2番手の学校に入り、行きたいと思っていた九州大学の模試判定はいつだってCだった。

中途半端に勉強が出来たから、僕の中には大学への進学という道以外無かった。実家もあまり裕福ではなかったから、国公立を目指そうというところまでは決まっていた。

しかし、大学で学びたいことがあったわけではない。強いて言えば、国語が得意科目だったので漠然と「文学を勉強してみたいかもしれない……」という気持ちはあった。しかし、インターネットで文学部文学科の評判を調べてみると、「役に立たない」「潰しが利かない」「就職に不利」といったネガティブなものばかりだ。

結局、僕は熊本大学の文学部文学科に進学した。その顛末は、2年前に以下の記事にも書いたのでよければ読んでみてほしい。

結果的に文学部文学科(東アジア言語文学コース 日本語日本文学研究室)で学んだことは役に立っているなあと未だに思うわけだけど、高校生の頃の自分を思い出してみれば、やっぱり純粋に「文学が学びたい!」という気持ちで進学をしたわけではなかった。

当時僕は九州大学を志望していたわけだけど、受験する学部には文学部と法学部の2つの選択肢があった。何だか就職に強そう、という理由で当時は法学部を受験することも結構真剣に考えていたのだ。

しかし、あるひとつの事実が僕の鼻柱を折った。九州大学の法学部は、二次試験で日本史と世界史の二科目を受験しなければならなかったのだ。

日本史だけでも覚えるのに手一杯なのに、加えて世界史を勉強するなんて……。暗記科目が苦手な僕にとって、その挑戦は無謀に思えた。

当時の僕は、「まあ就職に不利でも、やっぱり国語とか好きなわけだし、文学とか勉強してみたいよね〜」と自分の選択を正当化していたけど、今振り返ってみて考えれば、あれはどう考えても日本史・世界史の二教科を勉強することから逃げていた。

まあしかし、高校生の意思決定というのはそれくらいゆるふわなものなんだと思う。というか30歳を目前にしてそのゆるふわ加減は僕の場合あんまり変わっていなくて、ちゃんと考えて人生の意思決定なんて出来た試しがない。

結局、僕は九州大学の文学部を受験して不合格となった。その後、後期試験で熊本大学の文学部に合格することになる。法学部を目指していたら、あるいは九大の文学部に合格出来ていたらなあと思うことがなくはないけれど、そうなると今生きているこの人生は存在しないわけで、いやいやそんな悲しいこと言うなよ〜となってしまうのだ。明日からも強く生きていこうね。

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