【日記】散歩と情緒

こんなご時世なので、以前よりも自宅にいる時間が増えました。元々引きこもりがちなのであまり関係ないかなと思っていたのですが、そんな生活が1ヶ月も続くと、さすがに少し気が滅入ってきますね。森見登美彦『四畳半神話大系』の中で、無限に続く四畳半迷宮に閉じ込められた「私」は次のように述べます。

それまでは四畳半に好きで籠もっていたが、いつでも外へ出ることができるという安心感があった。ドアを開ければ汚い廊下があり、汚い廊下を抜けて行けば、汚い便所があって、汚い靴箱があって、
この汚い下宿から外へ出ることができる。いつでもその気になれば外へ出ることができるからこそ、私は出なかったのである。

「外へ出ない」というのは「外へ出る」ということと対概念を為し、我々は「外へ出ない」の割合をできるだけ多くすることに重きを置いているのであって、「外へ出る」がゼロになてしまってはダメなわけです。そして、僕もまあ買い物したりなんだりで外へ出ることはあるのですが、やはりその回数も少なすぎては気が滅入ってくるようです。というわけで、昨日は気が滅入ったタイミングで近所を10分ほど散歩してみました。帰ってくると少し体がポカポカしているのを感じますし、心なしか肩こりも緩和されたような。生活の色々のおかげで、積極的に「外へ出る」という選択をしなくても外へ出れていたわけですが、今後は自分からそれを選び取らなければ、どんどんと不健康への道を突き進んでいくのだなあと実感した次第です。

しかし散歩とは危険なもので、その途中で寄ったコンビニで甘いお菓子と甘い飲み物を買ってしまいました。財布も持たずにふらっと歩き出したのですが、最近はスマホ一つあれば決済できますし、事実として現金を触ることなんて近所の自動販売機を使うときくらいのものですから、コンビニでも難なく決済することができました。ありがとう、文明社会。散歩と甘いものたちによって、再び情緒の安寧を取り戻すことができました。

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