社会人として演劇を続けるために必要なあれこれ

大学生から演劇をはじめて6年、社会人として演劇をやって3年となりました。役者をほとんどやらなくなって制作方面にシフトしたり、住んでいるところが熊本から福岡に変わったりしましたが、こんなに一つのことを長く続けられるなんて思ってもみませんでした。

さて、ところで社会人として演劇をしている皆さんにとって、演劇は「趣味」でしょうか、それとも「仕事」でしょうか。

演劇公演や俳優業などで生計を立てている人は、それを「仕事」と呼ぶことができるでしょう。しかし、そんな人は日本にそう何人もいるわけではありません。お客さんをそれなりに呼んでも公演費用に相殺され、誰の手元にもお金は残らず、主宰は何なら持ち出し……なんてことも多々あるのではないでしょうか。

僕も演劇で稼げているのかというと全くそんなことはなく、他の人から見れば完全に「趣味」として演劇をやっていると捉えられるかと思います。

僕も別に演劇を「仕事」と捉えているわけではありません。でも、「趣味」と思っていると絶対に続けられない活動でしょう。

学生として3年、社会人として3年演劇を続けてきた経験から、社会人が演劇をするときには何に気をつければ良いのか、ということについて書いてみたいと思います。

これまで学生演劇をやっていて今後も社会人として演劇をやっていきたい方、あるいは社会人から演劇をやってみたいと思っている方の参考になれば幸いです。

覚悟を決めろ

社会人として演劇を続ける場合は、本当に覚悟を決めた方が良いと思います。

他の仕事をせずに、演劇だけて食っていくと決めた場合。これが最も大変な道になるかと思います。自分の公演をしようと思えば持ち出しの方が多くなるし、役者や演出、書き物の仕事がそんなに大量にあるわけではありません。あったとしても、実績のない人のところには仕事が回ってきません。確実にお金は無くなっていきますし、どうやったら実家に居続けられるかを考える生活になるでしょう。

就職せずに演劇を続けるというのは、自由人ぽくて楽しそうではありますが、将来の人生設計を考えると不安がいっぱいになりますし、今をどう生きるのかということで頭がいっぱいになるかと思います。これはもう、絶対に覚悟を決める必要があります。

では仕事をしながら演劇を続けるのに覚悟がいらないかというと、そんなことはありません。別に仕事を持っていると、それはそれで覚悟が必要です。

まず、正社員などでフルタイムで働く場合。この場合は、1日8時間、週40時間働くことが必要になります。演劇活動は残った時間でやらなければならないので、体力的にも精神的にもキツイ部分が出てくると思います。

学生演劇をやったことのある方ならご存じかと思いますが、演劇づくりには途方もなく時間がかかります。脚本を書き、出来上がったらそれを元にセリフを覚えて、稽古を行う。平日の昼が仕事であれば、平日の夜か休日にしか稽古ができません。調整も大変です。また、演劇公演を成功させるためには、衣装・小道具なども必要ですし、制作仕事も大量にあります。

自分のプライベートな時間はどんどん溶けてなくなっていきます。もちろん、演劇にはそれだけ自分の使う価値はあると思います。ただ、その価値を実現するためには、ある程度自分の時間を捧げる覚悟は無くてはならないなと思います。

バイトなど、ある程度融通の効く仕事をする場合。これはこれで、生活できるくらいのお金を得ようと思えば、バイトとしてそれなりの時間働かなくてはなりません。正社員の場合は、演劇から「逃げる」という選択肢が取りやすいです。つらくなってしまったら、演劇をやめれば、後は職もお金もプライベートな時間もある生活を続けることができるでしょう。

しかしバイトをしながら生活している場合は、演劇をやめると不安定な生活だけが残ります。どんな仕事をしてどんな生活をするかは自由ですが、演劇を続けるためにバイト生活を選んだとするならば、演劇をやめたときに、後に残るのが不安定な生活だけになってしまいます。

どういう仕事をするにしろ、社会人として演劇を続けるためには覚悟が必要です!

土日休みの仕事が良い

ここからは主に正社員で働きながら演劇をやりたい方向けの話。これは、間違いなく土日休みの仕事が良いです。

小劇場の演劇公演は土日に行われることがほとんどです。演者のことを考えてもお客さんのことを考えても、効率の良いことが多いからです。

だから土日休みじゃない仕事の人は大変です。平日は一生懸命稽古に行っているのに、土日の本番には全く出られない……というようなことが起こってしまいます。本番に出演できてこその演劇ですので、本当の本当に土日休みの仕事を選んだ方が良いです。

定時上がりできる仕事が良い

演劇の稽古は、平日の夜にやることも多いです。故に、定時上がりできる仕事が絶対に良いです。

いや、定時上がりできる仕事が良いのはあらゆる場面でそうだとは思うのですが……。しかし、残業が多めの仕事だと他の人と稽古時間を調整するのが難しく、しかも夜10時くらいから初めて夜中の3時までやるみたいなことになってしまいます。経験談です。

まとめ

書き始めると、とりあえず覚悟決めとけば大体どうにでもなる気がしてきました。中途半端な感じでやると、プライベートをゴリゴリに削られ、心身共に消耗し、演劇をやめたところで特にちゃんとした仕事も残ってない……みたいな状況になってしまうので。

どのような環境を選んでも良いけど、それに責任を取るのは自分次第です。ずるずると続けずにきっぱりやめる、というのも勇気だと思います。

でも演劇は本当に楽しいので、みんなも演劇やりましょうね!よろしくお願いします!!

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