嗅覚が壊れてしまった

7月の半ばに海釣りへ行った。夜中の3時に起きて、5時に釣り場へ到着。そのまま朝の10時くらいまで釣りをした。

とにかく暑い日だった。まだ陽が昇りきっていないのに、僕は熱中症気味になってしまった。アイスをじゃりじゃりと食べ、スポーツドリンクを飲み、帰りの車の中で少しだけ眠った。

自宅には13時頃に着いた。少し体が怠かったが、打ち合わせの用事などもあったので2時間ほど仕事をした。しかし体調は悪化するばかりで、夕方には仕事の手を休めて布団に入った。

そこから、もうてきめんに体調が悪くなった。

まず寒気が止まらない。そのまま意識があるのか無いのか分からないまま夜を明かすと、今度は体を起こすのがつらい。トイレに行くのもつらい。体が全く縦にならない。そのまま1週間ほど寝込み、友人に3度ほど差し入れをしてもらった。体を縦に出来ないということは外へ買い物へ行けないということなので、この差し入れは本当に助かった。これが無ければ僕はもう力尽きていたかもしれない。

そんなこんなで寝て暮らしていると、体調は段々と良くなっていった。それと入れ替わりに咳が出るようになってしまったけど、体を縦に出来ないつらさに比べれば何てことはない。徐々に仕事の量を増やしていき、今はフルタイムに近い感じで働いている。

ただ、ひとつ困ったことがある。ここ数日で気づいたのだけど、なんと鼻が全く利かなくなってしまった。少しも匂いがしないのである。

ここまで聞いて、僕がどのような病気だったのかを察した人もいるだろう。診察を受けていないので、本当のところは分からない。療養中はずっと自宅にいたし、仕事もリモートなので特段誰とも会っていないので誰かに迷惑をかけている可能性は低そうだが、まさか自分がこのような事態になるとは思いもしなかった。

この病気で嗅覚障害が起こるという話は僕も聞いていた。しかしその「匂いのしなさ」は予想以上のものだった。

匂いがしないことに気づいてから、僕は色々なものの匂いを嗅いで回った。シャンプーの匂いは全くしない。醤油の匂いも全くしない。手当たり次第に匂いを嗅いでいったが、本当に何の匂いもしない。無臭。

一番びっくりしたのが、アンメルツヨコヨコを鼻に近づけても何の匂いもしないことだった。あなたは想像できますか、アンメルツヨコヨコの匂いが全くしないところを。今もアンメルツヨコヨコを鼻の穴に塗って匂いを確かめながらこの記事を書いているけれど、一切何の匂いもしない。ただ鼻の穴がスースーするだけだ。

何の匂いもしないのは少し悲しい気もするけれど、実はこの状況を少し楽しんでもいる。五感のうちのひとつが失われたとて、人間は生きていけるんだという喜びを噛み締めている。とはいえ、嗅覚は五感の中では最弱なような気もするけど。耳が聞こえなくなったり目が見えなくなったりしたら、こうはいかないんだろうなあ。

あと、匂いが全くしないのは悪いことばかりではない。僕は生ゴミの処理が下手くそなので夏場は台所からひどい匂いがするのだが、今年は全くそれがない。いや、本当は凄い匂いが発せられていると思うんだけど、鼻が利かないので何の匂いもしない。本当にこれで良いのだろうか。なんだか駄目な気がしてきた。とりあえず、鼻が利かないうちに生ゴミはまとめて燃えるゴミの日に出しました。

匂いが全くしなくなったことについて慌てても仕方がないので、そのうち何とかなるだろうと考えている。何とかならなくても、まあ嗅覚は五感のうちで最弱だし……。できれば戻ってきてほしいけど、あんまり期待しない感じでこの匂いのしなさと共に生きていきたいと思う。


ちなみに、冒頭で話した釣りでは40cmくらいのチヌを釣りました。チヌを釣ったのは初めてだったので嬉しかったです。

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