見出し画像

外国で戦う、ゴルフ日本人男子プロ達

 来年、外国の男子ツアーに出場する権利をかけた予選会が一段落しました。ここで、来年外国のツアー出場権を得られた選手をまとめます。


1.各ツアー、リーグに出場する選手一覧

〇PGAツアー

・松山英樹(21年マスターズ優勝、26年まで)
・久常涼 (DPワールドツアーでの資格、24年まで)
・小平智(過去のPGAツアー優勝者での資格)

〇コーンフェリーツアー(PGAツアー下部)

・大西魁人(昨年125位以内で全試合出場、24年まで)
・小平智(開幕から12試合限定的出場、24年まで)
・中島啓太(開幕から8試合限定的出場、24年まで)

〇DPワールドツアー

・川村昌弘(昨年117位以内で全試合出場、24年まで)
・久常涼(昨年DPワールドツアー優勝、25年まで)
・星野陸也(昨年117位以内で全試合出場、24年まで)
・比嘉一貴(昨年118位から131位までの選手に該当し、限定的出場)
・小平智(PGAツアー126位から200位までの選手に該当し、限定的出場)
・中島啓太(ジャパンゴルフツアー賞金王、24年まで)
・蟬川泰果(ジャパンゴルフツアー賞金ランク2位、24年まで)
・金谷拓実(ジャパンゴルフツアー賞金ランク3位、24年まで)

〇LIVゴルフリーグ

・香妻陣一朗(LIVゴルフ予選会上位3選手、チーム未定)

2.DPワールドツアー、今シーズンから”大所帯”

DPワールドツアー、出場権拡大

 ジャパンゴルフツアーは今年から、前年の賞金ランク上位3選手に翌シーズンのDPワールドツアー出場権が与えられるようになりました。
 昨年の上位3選手である比嘉一貴、星野陸也、そして岩崎亜久竜が今シーズン欧州を中心に中東、アジアなどを転戦してきました。
 そこには当時、日本のアジアツアー共催試合でもあったパナソニックオープン(2013年)で優勝しアジアツアーの出場権を手にし、アジアツアーを主戦場にする中、欧州ツアー(現DPワールドツアー)との共催試合などで結果を残し、そして欧州ツアーの出場権を手にした”旅人ゴルファー”・川村昌弘と、DPワールドツアー予選会を勝ち上がった久常涼もいました。
 世界各国を旅回った川村の「経験」を後輩に伝授してゆく、こういった図式の今年でした。

結果が出なかった比嘉と岩崎、それでも収穫があった

 なかなか結果が出なかった比嘉と岩崎。2人とも一旦仕切り直しとなりましたが、比嘉は今年最終戦のモーリシャスで少し光が見えはじめました。
 岩崎も夏の終わりまで苦悩の連続でしたが、そこでの経験が生きたのか日本に戻ってからしばらくして、最高峰の日本オープンでツアー初優勝。
 この優勝を手にして、捲土重来の来シーズンを迎えます。

久常の”快挙”が、他の選手を奮い立たせた

 そんな中9月のプランスオープン、久常涼が最終日の猛チャージで見事DPワールドツアー初優勝。このニュースは外国志向の選手達をザワつかせました。
 一緒に面倒を見てくれた”恩人”川村は勿論祝福の輪に入り一緒にシャンパンファイトをしましたし、日本に帰国していた星野、そして今年日本を中心にしていた中島、金谷、蟬川などに”刺激”を与えました。
 当然松山も、久常を祝福していました。

 そこから日本人選手による、世界ランク争いも少し激しくなってきました。

3.世界ランクの算出方法変更

 男子世界ランキングは、2022年8月14日付で発表されるランキングから、新たな仕組みで算出されることになる。8日以降に行われるゴルフトーナメントからポイント算出方法が変更。各大会に付与されるポイントは原則として、“フィールドの強さ”のみによって決められる。
 世界ランキングは原則的に過去2年で得た合計ポイントを出場試合数で割った数値の大きさで順位がつけられている。

 各トーナメントのポイントは、世界ランキング200位までに振られているワールドレーティングと各ツアーの上位選手に割り振られているホームレーティングの合計値により算出されていた。また各ツアーではそれぞれ優勝者が獲得する“最低ポイント”(日本ツアーは16ポイント、日本オープンのみ32ポイント)が設定され、フィールドの強さによってポイントが上乗せされていた。

 だが新システムでは、ホームレーティングと最低ポイントが撤廃(ただし、メジャー4大会の100ポイント、プレーヤーズ選手権の80ポイントは継続)。各大会の付与ポイントは、出場全選手の各大会での成績やスコアに則ったレベルを数値化して新たに決められる『ストローク・ゲインド・ワールド・レーティング(SGWR)』に基づいて設定される。

 つまり、現在よりも各ツアーにおいてより適正なポイントを獲得できるということ。これにより、日本ツアーにおける獲得ポイントは大きく減ることが予想され、日本で世界ランキングを上げることが難しくなる。だが一方で、いままで上位選手のみが得ていたポイントは予選通過選手全員に付与される。これは良い改善点ともいえる。
 
 オフィシャルワールドゴルフランキング(OWGR)は新システム導入により、トップ10に大きな変化はないと判断し、トップ50については2〜5人ほど入れ替えの可能性があると予想。ただ、数字が完全に反映されるまでには2年を要するため、その変動推移は緩やかになると見通している。
(以上AlbaNetより)

PGAツアーで戦うのが、世界ランクのポイントを得られやすい

 出場選手の世界ランクが高ければ高いほど、その大会においてポイントが得られやすくなるということは、強豪選手が一番集まるメジャー大会、PGAツアーなどに集まりやすくなります。次はDPワールドツアーです。
 ただLIVゴルフリーグに関しては、競技方法が異なるスタイルになるため、現在でも世界ランクのポイントは得ることができません。
 LIVゴルフにもポイントが与えられるようにと、現在も協議中です。

日本だけで戦っているのでは、世界には出られない

 一昨年から世界ランク算出方法が変わり、これによりジャパンゴルフツアーだけでは世界ランクのポイントが稼ぎにくくなりました。
 世界ランクはその時点での”瞬間最大値”というのもありますが、それを指標にしてメジャー大会や五輪の出場権に関わってきます。
 2022年終了時点では、日本の最高位は松山の21位、次が賞金王になった比嘉で68位でした。
 8月の算出方法変更前まで、ジャパンゴルフツアーで2勝し最低ポイント32ポイントを獲得したのが大きかったです。
 しかしそれがなくなったことで、世界におけるジャパンゴルフツアーの地位が低下。最高峰の日本オープンですら6.6ポイントしかもらえません。DPワールドツアーと共催のISPS・HANDA選手権は、19.2ポイントもらえるのに対してです。
 メジャーに出たい、五輪に出たいと思っている外国志向の高い選手は、世界ランクのポイントを重ねていかないといけません。

 そんな中で起きた、久常のフランスオープン優勝です。獲得した世界ランクのポイントは20.7ポイント。当時166位だった世界ランクが一気に101位まで上昇しました。
 加えて残りのDPワールドツアーの大会にも上位に入り着実にポイントを稼ぎ、世界ランクも上昇。現在は79位につけています。松山に次ぐ日本人第2位です。

外国志向の選手達も、だんだん好成績を残すように

 これが発端になったのでしょうか、外国や国内でも好成績を残すようになりました。
 中島がジャパンゴルフツアーで1勝を挙げ賞金王に輝いて、世界ランクが88位まで上昇。そして星野はDPワールドツアー開幕シリーズ、豪州2連戦でともに単独2位に入り世界ランク92位に。
 そして単独2位で得たポイントで、昨年のシード権確定ラインを大幅に超え、来シーズン(2025年)の出場をほぼ確定しました。

 一時は算出方法が変更され、世界ランク100位内の日本人選手が松山のみという寂しい結果になることもありましたが、現段階で4人まで増えたことは、いい”副産物”となりました。

最新の日本人選手世界ランク

 ここで最新の日本人選手世界ランクを以下に示します。

・松山英樹  43位
・久常涼   79位
・中島啓太  88位
・星野陸也  92位
・蟬川泰果 112位
・金谷拓実 115位
・稲森佑貴 182位
・石川遼  189位
・今平周吾 196位

 以上、世界ランク200位までの日本人選手でした。

 来年のパリ五輪でゴルフ競技が開催されます。日本代表をめぐる出場権争いが混沌としているようです。
 この点について、後日説明します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?