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ひろった剣に連れられて

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1-2-2 幕間

慣れない喧騒に、目が覚めた。

10人規模ではない話し声は、小さな声でも反響し、大きな音を作り出す。

この街に来て二日目の朝だ。

いつもならばもっと早くに起きだし活動を開始しているのだが、今日は特別。

日課の狩猟もなく、買い物は昨日のうちに済ませてある。

何をするでもない一日と言うのは手持無沙汰なものでのろのろと起きだし、道具の手入れを始める。

そう言えば、昨日買った服を着て、街に出てみ

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1-2 日常の中の非日常

 いつもの景色を離れ、石造りの街の中を歩く。

これも日常と言ってしまえば日常なのかもしれないが、なかなか珍しいことだ。

 今日はガゼルではなく、お気に入りの服や、装飾品に狙いをさだめる。

無駄遣いはできないが、街に来ることもそうそうないので、色々なものが欲しくなってしまう

「これ、高くない?少しまけてよ」

言ってはみたものの、日ごろの暮らしを考えると、物の値段なんてよくわからない。しぶい

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1-1 まず始めの日常

見渡す限りの緑の草原。

遠くに見える草食動物を狩るために、弓を持って出かける準備をする。

キャラバンの男衆にまじり、今日の狩りの時間だ。

両親を流行り病で早くになくし、独りで生きていくために、いろんなことを学んだ。

このキャラバンでは、狩猟が主な活動だ。

草原の動物を狩り、肉を食べ、皮や骨を加工して、近くの村に売りにいく。

そして仕入れた物を、また違う村へと売りにいくのだ。

たまには

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