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2023年一級建築士製図試験課題「図書館」

割引あり

はじめに

今年の課題が発表になりました。例年通り「所感」をまとめたいと思います。
念のため、内容は完全に個人的な見解であって資格学校等により客観的な妥当性が保証されているものではないことご承知おきください。

発表内容

まずは発表内容についてですが、ここ数年同様大きな変更点は見られません
ただ【要求図書】に記載のあった(注)が全くなくなりました。(注)は元々課題用途を補足する「ヒント」の意味合いが強かったのですが一昨年より「ヒント」の意味合いは薄れ法令遵守を意識付けるようなものなっていました。それが全くなくなった一方、最下部【注意事項】の文言が変わっています

なお、建築基準法等の関係法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不適合又は不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。

令和5年度 一級建築士試験 「設計製図の試験」の課題 より

太文字部が変わっている所ですが元々は「建築基準法令」であったものが「建築基準法等の関係法令」に変わり、「不十分な場合」であったものが「不適合又は不十分な場合」に変わっています。

なくなった(注)の昨年の内容は省略して書くと①「法令に適合した計画とする」と②「バリアフリー法を満たす計画とする」でした。

①の内容については「不十分な場合」→「不適合又は不十分な場合」と文言を変えることでここ数年同様「法令不適合」は不合格とするということを表現していると考えて差し支えないと思います。

また②について、昨年の「事務所ビル」はバリアフリー法の特別特定建築物にあたらないために「バリアフリー適合」を指定していました。今年の「図書館」は特別特定建築物であるので新しく足された「関係法令」という文言で「バリアフリー法」適合を指定していると考えられます(これは最低でも規模が2000㎡以上になることも示唆しておりR1年再試験のような規模にはならないと考えられます)。

つまり「書かれ方」が変わっただけで要求内容が変化したわけではありません。試験元としても法令遵守が浸透した今、あえて(注)によって注意喚起する必要もなくなったと判断しているのではないかと思います。

久しぶりのゾーニングタイプ

純粋な「ゾーニングタイプ」と呼べるものはR1年「美術館の分館」以来でR2年の「高齢者介護施設」以降、2年続けて予想されていた「ゾーニングタイプ」ではなく「基準階タイプ」が続きました(R3「集合住宅」、R4「事務所ビル」)。
つまり3年続けて「基準階タイプ」系が続いたわけですが近年の製図試験ではそもそも3平面の作図が求められており「基準階タイプ」でも「ゾーニングタイプ」同様のエスキス思考が必要となっており以前ほど大きな違いは無いと言えます。また試験元発表内容の要求図面は「各階平面図」であり、「図書館」であっても高層の「基準階タイプ」になる可能性は非常に低いと考えられるものの排除されていません
「ゾーニングタイプ」「基準階タイプ」という単純な傾向分けが出来ない中、それでも「図書館」であることで昨年までと異なってくる具体的な部分は何かを考えてみたいと思います。

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