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ツールドおきなわ2023市民200 62位

はじめに

ツールドおきなわ市民200kmのレースに参加。その際のレース記録です。
今回は終始雨かつ暴風の中のレースであり、通常の体力技術に加え、寒さ耐性や雨走行スキルも求められるコンディションだった。なので自分の感覚ではレースした選手たちのレベルを下記認識でいる。
DNS:勇気ある撤退として英断
DNF:勇敢なチャレンジャーとして誇るべきレベル
完走:超人レベル
上位ゴール:神レベル
参加した選手の皆さん本当にお疲れ様でした。

自分は62位完走であり無事終えた安堵と順位だけを見れば不本意な結果に終わった。
今回のレポは今後の自分の為の備忘録としては勿論、またシード権争い目指す走りのレベルとして参考にどうぞ。

先に要点

・Top20以内に入ることを目標にして練習し、結果62位
・2回目の普久川ダムの登りで先頭集団から脱落
・学校坂以降は脚の合うメンバーで羽地の登りまで行き、以降は残りの力を振り絞った
・今回良かったと思う機材はミシュランPowercup、イオンのメッシュインナー、サンボルト袖なしのジレ、オークリースートロ

9~10月の練習

おきなわに向けた本格的なトレーニングは9月から開始。7月後半にコロナではないが肺炎にかかり8月のシマノ鈴鹿や乗鞍HCをDNS。20min走が3.9倍という惨状から体作りが始まった。9月は病み上がり+酷暑すぎて長距離は乗れず細切れながらもボリュームを稼ぎ10月からは毎週150~170kmライドを入れた。後半に負荷が高くなるコースを選定し17分程度の登りや5~10分の登りで負荷かける練習を実施した。平日はzwiftでZwift Racing Leagueで世界の猛者zwifterにしごかれ、ワークアウトも実施。例えばepic komを使ってクリスクロスで登り少し休んでradio tower5分走でVO2maxを意識。これは普久川ダムの登り2回目の直後に学校坂を想定したトレーニングである。下記のようなワークアウトをやった。

クリスクロス+5分走
クリスクロス+VO2~無酸素域
クリスクロス計45分

9~10月でzwift含むので参考距離だが5000km、時間は142hくらいになった。

前年よりもVO2max滞在時間を意識して増やした

11月初旬にはスズカエンデューロ4hへ出場しソロ3位となり、勝てなかったものの8月のどん底状態からは確実に復調を感じていた。
そしてレース前週は負荷を落とし調整期に入り金曜日に沖縄へ。レースを迎えることになった。

レース当日スタートまで

レース当日の朝は5時前に起床。おにぎり2つに小さめのパンを2つ、アミノバイタルジェル1つとスポドリ。実は沖縄に上陸してから胃腸の調子を崩して思うように食べられず。原因はカーボローディングによる胃腸負担、レースへの緊張、旅疲労、あと地味に落車の影響。レース3日前に機材&体の最終調整の際、タイヤグリップ確認のつもりがコーナーでバイクを倒し過ぎてしまいスリップダウン、肩肘太もも(左側)に擦過傷を負った。ヘルメットも凹みtrek 新型ballistaも使用不能に。幸いクラッシュリプレイスメントで無償交換申請出来ましたが本番では使えず。ホントにアホな事したと後悔。その後後遺症的に軽く頭痛がしたり睡眠の質が落ちて(garminのHRVステータスはガクッと落ちた)体調管理に影響を及ぼした。
話は当日に戻り、天気予報を見るとゴール1時間前まで雨、風速8m/s。外は風で窓からビューっと音が聞こえてる状況。

「これホントにやるの?俺出走するの?」

そんな独り言を何度も呟いて本当にDNSするか迷う。こんな悪天候で長距離レースした事ない上に沖縄の路面は本州より滑る。スタート40分前まで迷い、まず出走して本部半島回って50kmで止めるもありかと考え準備開始、防寒用にメッシュインナーと袖無しジレ、アームウォーマーを装着、スタート地点へ急いだ。シード権貰っているので前方に並ばさせて貰い7:23スタート。

名護スタートで本部半島を回り北上、8の字を描いて北部を回り、東海岸を南下して名護へ戻る200kmのコース

スタート〜普久川ダム登り1回目

まずこの天候で走るリズムを掴む事に集中する。集団後方ヒラヒラで行こうと決めていたので多少抜かれても気にしない。この時点で先頭のアタック合戦はよく分からないですねと今回15位フィニッシュした猛者小林さんとお話し。操作感覚やスピード感慣れてきた頃、本部大橋手前の道幅狭まる所で落車発生。元々危険箇所なので落ち着いて対処。最初のスピード区間である水族館の下りで下り感覚チェック、問題ない。今帰仁越えた平坦で横風区間に遭遇。プロなら全開で踏まれて集団バラバラ分断する所だが、今回は伸びるだけで終わる。そして本部半島周回が終わった。この時点でもう少し走ってみようと思った。

その後ダムの登りに向けて北上開始。ここで再び風雨が強まる。視界は数百mという感覚。平衡感覚も鈍った時もあった。補給に関してはかなり積極的に摂った。去年は後半にエネルギー切れになったので、胃腸が比較的元気な前半にしっかり摂る。前半はスポーツ羊羹3本摂り切って後半にジェル系と事前に決めていた。一度トイレストップした後からは後方ヒラヒラは止めて前へ上がる。登り口は前方から入りたい。国頭の道の駅を通過して2本トンネルを超えるとすぐ登りが始まる。しかし結局登り口は70-80番手くらいになってしまった。
登りに入ると負荷が上がる。この登りは決して一定負荷ではなくインターバルトレーニングのような負荷になる。時には400Wを軽く越える。前方は結構踏んでいる印象。例年の1回目登りよりも速い。頂上で千切れかけながら何とか通過。
ログでは例年の登りよりも速くて17:47 306W。

普久川ダム下り〜普久川ダム登り2回目

1回目の登りを終えて下りを開始。ここは細心注意ポイントの1つ。とにかく安全マージンを十分取り下る。多少先頭から離れても脚を使えば後で合流できる。下りを無事に終えて1回目のボトル補給はパス。元々ボトル3本でスタートしたが低温のため想定よりも消費せず。
バラバラとした追走組が少しずつまとまって先頭を追いかけて合流。その後細かいアップダウンを繰り返し、2回目のトイレストップ。ここでジレを羽織る。奥へ到達する直前に少し長めの下りがあり、そこで集団とギャップを作ってしまう

そのまま奥へ到達して登りへ突入。ドラフティングの恩恵ないまま登りで追う。中腹あたりでやっと復帰。今回は遅れかけて復帰を終始繰り返していた。
北端を回り南下開始。今度は追い風になる。集団のスピードが時折上がり安定しない。

あっという間に2回目の登り口に到達して30〜40番手くらいで登坂開始した。
正直ここまでかなり無駄足を使っており、この登りで自分は千切れると思ってしまっていた。勾配が上がると負荷が上がる。すぐにキツくなる。ジワジワ離れていく。でもレッドゾーンまで入れれば追い付くと思う一方、この後ゴールまでの体力と相談している自分がいた。去年は最後ヘロヘロで酷い目に遭ったのでそれは避けたい上にこの天候である。カッコよく言えば戦略的撤退、一方で振り絞れば追い付くので気持ちで負けた瞬間でもあった。その後はペースで登る。そして頂上通過。
19:49 279W

学校坂〜羽地

学校坂は本来勝負所だが、今の自分はそういう場面にいない。ペースで登る。ここで勝負するために17~8分の登りの直後に5分全開の練習をしてきたが、場面がなかったのは虚しい(でも自分がその状況を選択した気持ちの弱さでもある)。
学校坂で集団に合流してその後も数を増やしながらゴールに向けて消化していく。一応補給は終始意識しており取れる場面でどんどん摂る。集団は大きくなるほど前でローテーションする者と後ろでくっつく者と別れる。そうなるとギクシャクする。そして慶佐次や有銘などの登りに入ると集団がバラけて足が揃う選手達だけに絞られる。一度は雨が止んだがこの辺で再び雨が強まる。路面状況が複雑に変わるのでグリップの効きが本当に難しい。
登りに入るたびにリアタイヤからキュッキュッと音が鳴る。荷重がかかるリアはグリップが限界に近いのだろうか、はたまたスローパンクしているのだろうか気になる(結局してなかった)。羽地に着く頃には7~8名の集団で最後の登りに突入した。

ご覧の通りトップと比べると負荷はかなり低いし心拍も低い

羽地の登り〜ゴール

羽地に入ると今まで一緒に走った選手達はバラバラになっていく。ここまで来れば落車などのトラブルなければゴール出来る。不本意はポジションで有るが一矢報いる登りをしようと思い、ここ数回の登りよりはペースを上げる。前の選手をどんどんパスして11分台で登りを終える。そしてオリオン坂の下りを慎重に下りゴール地点に到達。この時はこんな悪天候コンディションで無事ゴールまで辿り着けたことに安堵した。


ゴール後の振り返り

安堵感に包まれたゴール直後に対し、時間が立つと色々マズかった反省点や結果だけ見た時の不甲斐なさが込み上げてきた。

・無駄足の使い過ぎとタイヤの慣らし不足
悪天候な故にかなり慎重な走りになった。そして直前に落車したためそれに拍車をかけた。後で濡れたタイヤを擦ってPowercupのグリップ感に驚いた。相当粘れる感触だ。実は10月の走り込みの時はAgilest Light 28Cクリンチャーを使っていた。とても軽く、多少の雨レースや全日本マスターズでも使ったため信頼はあった。しかし今回の天気予報と沖縄の路面を考えてデータで非常に良いと出ているPowercup 25Cクリンチャーにスイッチした。確かに非常にグリップが良い。だが直前練習で落車。明らかに自分の攻め過ぎだと分かっていたので銘柄の変更はしなかったがどこか不安が残った。その状態でレースして慎重すぎて遅れてその度にダッシュすることを繰り返した。そして2回目のダムの登りで現状の体力を加味とその後の体力持たせる自信のなさから脱落した。「後ろ気味に加重する」「上体を屈める」「前の選手と同じライン同じ速度で入る」をちゃんと実践したらもう少しスムーズに走れたはずだ。

・後ろヒラヒラ
集団後方ヒラヒラは前方の落車や中切れに対処できれば非常に楽だ。密集度も高くない。でも勝負所では勝負に絡めない。不意に訪れるアタックには全く対応出来ない。ここ2年ほどこの形を取っているがスタイルを改めた方が良さそうだ。

・積極性がない、気持ちの面
上の課題と繋がるが後ろにいるので展開を作る動きは全く出来ない。そうなるとただ防戦するしかない。勝負所で上がってそこから積極的ならば全然問題ないが防戦し続けた挙句、力尽きる動きを繰り返している。消極的な走りはレースがつまらないものになるし、もっと図太く前線にいるスタイルになろうと思う。少なくともコロナ禍前のレースは前線張り付きこそが良いと思って一所懸命食い下がっていた。
レースに対する気持ちの持ち様もここ2年はだいぶ消極的だ。絶対ケガできないから無理しない気持ちがだいぶ強い。お陰で今回も無事完走したわけだが、一方で「お前もっと出来るだろ。何を出し渋っているんだ」という想いもある。本当にもっと出来るのかはやってみないと分からないが、そう思ってしまうほど消極的なレースをしている。

使って良かった機材

・ミシュランPowercup 25Cクリンチャー&TPUチューブ
グリップと転がり抵抗をバランスして、トラブルなく終えられた。コーナーやダンシングがかなり慎重だったためか滑る事もなかった。一方で後半低速での登りはキュッキュッと音鳴りがした。タイヤのグリップは路面状況、空気圧、温度湿度、吸水状況等多種のパラメータが随時タイヤ性能を変えると認識している。また一言グリップと言ってもコーナリングフォースと加減速のトラクションのそれぞれでグリップ力があると思う。レース後半で少し空気圧が抜けた状態、タイヤゴムがかなり吸水して慶佐次以降の路面、あの天候で低速…というようなコンディションではトラクションという意味でグリップ力が低かった可能性はある。踏み込むから回すペダリングに変えると加速入力の変化量が穏やかになるためか音鳴りはおさまった。タイヤはグリップはもちろん、乗り心地や速さ、そこからくる安心感などを大きく変えてしまうほど重要なパーツだとあとで振り返って思った。
またTPUチューブ(EXAR)を使用した。無事パンクなく終えられた。このチューブは9~10月練習でも使い続けておりパンクゼロ、信頼している。

・メッシュインナー
今回は沖縄らしからぬ寒さでサイコン表示で19度(いつも高め表示なので多分もっと低い)に加え爆風で体感温度は10度以下だろう。濡れたジャージと肌が直接触れていると気化熱であっという間に体温が奪われるがメッシュインナーを着るとジャージと肌を離してくれることに加え、間に空気層を設けて暖かくしてくれると思う。メッシュインナーは寒い時期の雨や汗かいた時に大活躍だ。イオンのインナーは安いので普段練習でも重宝している。

・袖なしジレ(アクセスジレ)
体の中心部を風雨から守ってくれる上に脱ぎ着が袖ありより簡単。バックポケットにもアクセスできる穴が空いているので使い勝手も良く、フィット感とバタつきも良い塩梅を保っている。極寒の時には使えないが10数度台の時は重宝する品である。

・オークリー スートロ プリズムローライトレンズ
沖縄のトンネルはとても暗いトンネルがあり、その際は周りとの距離感が見えなくてとても危ない。そこで透明度の高いレンズを使用した。去年もコスパ高い明るいレンズを使用して良い感触だったので今年はオークリー純正のスートロの明るいレンズを使用。レンズも大きいため風が目に入りにくくコンタクトが乾くリスクも低減してくれる。欠点はレンズと目が近いので(これは人による)曇りやすいこと。ただ高速走行中は曇ることはない。

使用した自転車、補給食

フレーム:Emonda SLR
コンポーネント:R9270 Fr:52-36 Rr:11-30 rotor Fr:160 Rr:140
ホイール:Bontrager Aeolus RSL51
タイヤ:ミシュラン Powercup 25Cクリンチャー(実測29mm)
    空気圧Fr:4.7bar, Rr:4.9bar
    (参考:普段はAgilest Light 28C(実測31mm) CLをFr5.2bar, Rr5.4bar)
チューブ:EXAR TPUチューブ
ハンドル:Aeolus RSL 380mm
サドル:S-WORKS POWER 143mm
サイコン:Garmin edge1040solar
パワーメータ:Favero assioma duo
車重:写真の状態で7.08kg

補給食は下記の通り
ACTIVIKEのスピードジェルはフラスクに入れてレース後半に摂取しやすい様に準備。スポーツ羊羹は3本を摂取。ジェルはレース中にほぼ摂取した。
ドリンクはACTIVIKEのグランフォンドウォーターを2本(750+500ml)とスピードウォーター1本(750ml)。プラスしてMag-on顆粒2包をボトル3本に入れた。

諸々データ

ave.34.6km/hは過去最遅ペース
ave.201Wの割にNP243Wは例年より高負荷に対応出来てなかった事を表す
去年はスタミナ4h付近で0%だが今年はゴールで9%残った。千切れた普久川2回目も出し切ってはない、身体的限界より遥かに先に安全担保の心理的ガードが強くかかったと思う
深部体温max.38.5℃。ホント暑いと39.5℃位になる。皮膚温も32℃以下。この差分が大きいほど排熱されやすく熱負荷が低い。今回は熱負荷は全く問題なかった。普久川2回で体温上がるのが確認できる。一方で山に入る前の皮膚温は低く寒かった事が分かる
署熱負荷指標。多いほど熱負荷が高い(実際キツくてパワーが出なくなる事を実感する)10月後半は署熱負荷トレーニングを意識したため負荷が上がり目。主に扇風機無しローラーを1回60分程度
深部体温分布でheat trainingゾーン以上15h滞在を目指した。15hの根拠は初夏である6月記録から同等目標に設定

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