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回避型愛着スタイルを持つパートナーとの付き合い方とは?

感情的な葛藤が嫌で、パートナーが話し合いに応じてくれない。もしくは感情的に距離が近づくことを本能的に避ける。そんなことはないだろうか?

もしそうならば、その人は「回避型」愛着スタイルかもしれない。どうやって夫婦として付き合えばいいのか?

今回のニュースレターでは、「回避型愛着スタイルのパートナーとの向き合い方」を詳しく解説する。

今回のアツの夫婦関係学ラジオのリンクはこちら。ぜひ、ニュースレターと合わせて聴いて欲しい。

人の愛着スタイルは大きく分けると四つある。自己肯定感が高く社会適応力がある「安定型」、見捨てられ不安の強い「不安型」、感情的な親密性を避ける「回避型」、そして「不安型」と「回避型」両方の特徴を持つ「恐れ・回避型(混乱型や無秩序型とも呼ばれる)」。そして、さらに愛着の傷を引きずる未解決型と呼ばれるものもある。安定型以外は、対人関係や感情的な問題を抱え込みやすいと言われている。


安定型の割合は2割から3割と言われ、その割合は減少傾向にあるそうだ。

大阪国際大学が2020年に大学生を対象に行った調査では、安定型は39.7%だった。


https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpnjschhealth/61/6/61_331/_pdf

つまり、安定した愛着を持つ愛着型は世の中に3割から4割しかおらず、残りの6割から7割は愛着が不安定な人間だということだ。愛着が不安定であるならば夫婦間の葛藤をうまく扱うことはできない。世の中から夫婦の悩みがなくならないのはこれが原因だと僕は思っている。

では、パートナーが回避型もしくは不安定の愛着スタイルを持つ場合、夫婦問題を解決することはできないのだろうか?実はそれぞれの愛着スタイルに合わせたコミュニケーション方法が存在する。コミュニケーション方法を学ぶことによって、パートナーと向き合いやすくなるはずだ。

回避型愛着スタイルを持つパートナーとの向き合い方

回避型愛着スタイルを持つ人間は、人類の約10%にあたる。10人に1人は回避型なわけで、自分のパートナーがそうである可能性も高い。ちなみに愛着スタイルは複数のものが混じり合うケースがあり、僕の場合は安定・回避型だ。回避型には感情的な親密性を避け、葛藤や感情的問題から距離を置こうとする傾向があるという。

回避型愛着スタイルの最大の特徴は、他人との間に親密な関係を求めようとしないという点にある。回避型の人は、自分の心中を明かさず、相手が親しみや好意を示してきても、そっけない反応をしがちである。他人といっしょに過ごすことよりも、基本的に一人で何かすることの方が気楽に楽しめる。他人と一緒に過ごすことにまったく興味がないわけではないし、その気になればできないことはないが、そこには苦痛と努力を伴うのである。

回避性愛着障害 絆が希薄な人たち

なぜ彼らは親密な関係を求めないのか?「回避性愛着障害 絆が希薄な人たち」の著者、岡田尊司氏は本書でこう書いている。

回避型の本質は、不安が強いとか消極的ということではなく、親密な信頼関係や、それに伴う持続的な責任を避ける点にこそあるということだ。

回避性愛着障害 絆が希薄な人たち


人と親密な関係を作るということは責任を持つということでもある。例えば結婚し、子供が生まれれば僕らは子供に対する責任が生まれる。彼らが幸せな人生を歩むためにあらゆる努力を惜しまない。オキシトシンの分泌が促すこの行動は、僕ら親にとっては当たり前だが、回避型にとってはそうではない。家族であっても他者と関わり続けることには責任が生じ、その責任を重荷と受け取ってしまうのだ。

だから、回避型の人間はその重荷から自由になるために、親密さを避ける傾向がある。

しかし、情緒的な愛着が生まれることは、そこに持続的な責任が生まれることを意味する。責任から逃れるためには、愛着は足枷となる。愛着を希薄にしかもたないことは、親密な関係を避けるとともに、持続的な責任に縛られるのを避けることでもある。その意味で、回避型の適応戦略は、親密さを避けることで、情緒的な束縛や責任からも自由でいようとする生き方だと言えるだろう。

回避性愛着障害 絆が希薄な人たち


回避型が親密さを避けることは、彼らが生きやすくなるための生存戦略でもある。なぜ、彼らは回避型となったのか?前回の記事を元におさらいしよう。

愛着は幼少期に「不安表現」「応答」「探索活動」をグルグル回すことによって形成されるようになる。不安を感じ泣き、親が抱きしめあやしてくれる応答で気持ちを安定させ、遠くへと探索に行けるようになる。そして、探索先で不安なことがあった際に、また親の元に戻り応答(抱きしめる、あやす)してもらうことで、自分の心の中に親という存在を内在化させ、親がいなくても安定した愛着を持てるようになっていく。


不安表現に対して親が応答してくれないと、幼児は親密性を期待しなくなり、大人になってから情緒的な親密性を避けるようになる。これが回避型だ。性格は生まれ持ったものであると思いがちだが、幼少期の親からの「応答」によって規定されてしまう部分が多いという。

「回避性愛着障害 絆が希薄な人たち」では、こんな例が紹介されている。

オランダで行われた実験だ。生まれたばかりの赤ん坊から気難しい子たちを100人選ぶ。それを半分ずつ二つのグループに分け、一つのグループには特に変わったことはせず、片方のグループには生後6ヶ月から3ヶ月間、赤ん坊への反応を積極的に増やすよう早親に指導した。結果、通常の対応しかしなかったグループの子どもたちは回避型となり、積極的に母親が反応したグループの子どもはほとんどが安定型となったのだ。

安定型の傾向は2歳になっても認められ、2歳の時点での愛着スタイルは三分の二の人が大人になっても変わらないとされている。つまり、幼少期の親の対応(応答)次第で、子どもの愛着スタイルは規定される可能性が高いということなのだ。

では、一度規定された愛着スタイルは生涯変わらないのか?そうではない。周りの人との関わりの質によって変わることもあるという。ある研究によると、うつ病患者に対し、対人関係療法、認知行動療法、投薬など様々な治療が施され、何が効くのか調べたところ、もっとも効果があったものは治療法そのものではなく、「治療者と患者との関係の質」であったそうだ。

すなわち、患者の気持ちを正確に汲み取り、どんなときも患者を肯定的にみて、居心地の良い関係を保つとき、うつが改善し良好な状態が維持されたのだ。

回避性愛着障害 絆が希薄な人たち

僕が参加したコンパッショネイト・マインド・トレーニングの中でも、患者の精神状態を安定させるものはどの治療法を選ぶかではなく、治療者自身の共感性や思いやりであったと先生から聞いた。なんともファジーで非論理的だと感じるかもしれないが、人の心理というものは元々そういうものなのかもしれない。

では、回避型愛着スタイルを持つパートナーと、僕らはどのように向き合ったらいいのか?重要なことはその人の安全基地となり、共感の態度を取ることだ。具体的にどうすればいいのか、詳しく見ていこう。

回避型には圧迫感を与えず、安心感を提供する必要がある。いきなり感情に触れるのではなく、論理的で具体的なコミュニケーションからスタートさせることで徐々に信頼関係を築き、その上で感情的な側面にフォーカスをするのが有効だ。

まずやるべき「論理的で具体的なコミュニケーション」はこの3つ。

1. 日常のタスクや計画の共有

2. 感情ではなく事実に基づいた問題解決

3. 小さな成功や進歩の認識

それぞれ順番に見ていこう。

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