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#37 ボリビアで過ごす3回目の一月

2023年1月15日 domingo
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新年明けましておめでとうございます。¡Feliz año nuevo!
の挨拶も遅すぎる時期です。クリスマス、年末年始とフェスティバルで浮かれていた雰囲気もグッと落ち着き、気づけば1月半ば。そういえば、私にとっては2020年、2022年、2023年3度目のラパスの一月だな、とすこし感傷的になりつつ、この年末年始を振り返る。

11月。ここでのワールドカップの盛り上がりについて。
ボリビアは、出場していないのにもかかわらず、めちゃくちゃ盛り上がっていて、職場でも連日オフィスでプロジェクター鑑賞。日本戦の時は、一緒に(形だけ)応援してくれた。

日本戦の時だけ、画面にかぶりつきで仕事をまったくしなかった私。

経営マネージャーはサッカーに詳しく、「Takefusa Kuboooo!」とやたら久保くんを応援。それくらいみんなサッカーが好きなのだな。
日本がスペインに勝った日は「アツコ、全員にピザを奢れー!」と言われたが、全然奢ってもいいくらい気分が盛り上がっていた。ボリビア人の同僚と日本の最終トーナメント進出の瞬間を共にできたのは、いい思い出。ワールドカップのおかげで職場の人たちと楽しく過ごすことができて、ありがとう、な気持ち。
決勝戦は、同僚教員の家に集まって鑑賞。アルゼンチンを応援するかと思いきや、みんなフランスを応援。「アルゼンチン人は自分のことしか考えない」と言い張る彼ら。近い国の方がやはり仲が悪くなるのか・・・
ピザを買ってから彼の家へ向かう。

やっぱりピザとビールでしょ!私の希望で。
アルゼンチンの局だったので、興奮が、、過ぎた・・・

今回のワールドカップ、ボリビアで同僚たちと楽しんだ思い出深い大会になった、個人的に。

そして11月には一年生を対象にしていた授業APPLEが終了。
約半年に渡って一緒に過ごした生徒たちともお別れ。なので、最後にアップルパイパーティをしよう、と呼びかけ、週末土曜日の午後、カフェに集合。

アップルパイを初めて食べる!という子もいた。

途中、アルゼンチン戦に夢中になってしまった私たちだが、最後は一人ずつメッセージを渡して解散。

みんな、かわいい顔してメッセージ読んでる♡

こんな感じで2022年内には活動がすこしずつ閉じていく。寂しくもあるが、ホッとする気持ちも。よくここまで持ってこれたなあ、というのが正直なところ。

クリスマスには去年も参加した、職場の Cena navideña[セナ・ナビデーニャ](=クリスマスディナー)があった。
去年は配属先に合流してまもなくだったので、同僚たちとの距離感も微妙で、スペイン語でのコミュニケーションも拙かったので、楽しめていたのかどうかあまり記憶にない、が、今年のディナーに誘われた日に経営マネージャーから「アツコ、今年はワイン飲むな!去年の罰だ。」というようなことを言われ、「へ?なんのこと?」と返したら、
「去年何したか覚えてないのか?酔っ払って、いつものアツコじゃなかった。喧嘩してたぞ笑」「え?誰と??」
冗談かなにかわからんが、そんなことを言われた。
ほんとに覚えてないなー・・・
当日はエンジニアの同僚たちと一緒にレストランまで歩く。私がクリスマスソングを鼻歌で歌っていると、それに合わせて口笛を吹く一人の同僚。ちょろちょろと雑談しながら会場まで。
席に着くも、食事が運ばれてくるまでかなり待つことに。その間、同僚が用意していたゲームで時間をつなぐ。結局食事が出てくるまでに一時間半くらい待った・・・!みんな腹ペコで、「Dónde está la comida?!」(ご飯はどこだ!!)と子どものように騒ぐ。

ようやく出てきたプレート。みんながっつくように食べる。

そして乾杯の言葉が順番に。私も名指しされたので、いい機会だなと、この三月に任期が終わり帰国することを伝えつつ、今までの感謝を述べた。と、いうのも、私の活動について情報共有が全くされていなく、さらに窓口となるカウンターパートすら、私が2023年もまだまだいると思っていたことがわかったので・・・ああ、こわい。

経営管理部のみんなに三月の帰国を周知できホッとしてから、ゆっくり食事をして、おそろしい名指し飲み(指名された人と指名した人が同じ量のお酒を飲む、というやつ)の時間に突入してから

何度も「アツコ、グラスを空けろ!」と言われるが、頑として「無理」と断る。

その後、カラオケへ移動。後半はカラオケというより、ディスコ。みんな踊る。私は「歌え!踊れ!」と煽られるがままに、歌って踊る。同僚曰く、いつもはカラオケに行かない人や踊らない同僚も踊ってたらしく、「アツコがいたから」と。これが最後の機会だ、と気づいたからだな、うん。
とにかく夜中まで踊りまくって、同僚たちの違う一面が見られた。最後にして。

このディナーの後、クリスマスイヴからお正月まで私は休暇をとっていた。
ずっと行きたいと思っていた「オキナワ」に行きたく、そして「サマイパタ」と呼ばれるちょっとしたリゾート避暑地へ、他のボランティア仲間と合流し、自然の中でゆっくりお正月を過ごすプラン。が、ちょうどこの時期、サンタクルスの知事が逮捕されるという、ボリビア国内全土に影響しうる事件が発生。(オキナワもサマイパタもサンタクルス県。)これによって、急遽ラパスから出られなくなった私は、31日は家で友達と年越しそば、からのディスコ。

2021年12月31日もお蕎麦作ったな、そういえば。
今回は大勢くるので巻き寿司も。
大家のエリカさんから春巻きと餃子!は、みんなが来る前に食す。
年が明けてから踊りに出かける。
日本からのバックパッカーの男の子も一緒に過ごした年越し。


そして、お正月は市内の5つ星ホテルでゆっくり気分転換することに。

ラパスの山並みの街をぼーっと眺める夜
ベッドが快適すぎて久々に熟睡
夕食はホテルのレストランで
朝食ブッフェ
マッサージを受けたあと。体スッキリで眠い。

プールとサウナがついているので、連日ゆらゆらと水の中で遊び、サウナで体を温める。そして念願のマッサージ。そんなボリビア最後のお正月。なんだかんだで満喫できた。

今週から職場に戻り、いよいよ全ての仕事をまとめていく段階に入ったな、と噛み締めている。同僚や生徒も「あとちょっとしかない」と、みんな「No te vayas, quédate aquí.」(行かないで、ここにいて。)と、ことあるごとに言ってくる。別れはいつもつらい。

帰国に向けて荷物をできるだけ少なくしたいので、服や文房具、生活雑貨、身の回りのものいろいろを、あげたい人に名指しで連絡したり、処分市を開こうとアナウンスしたりしていると「どうしたの?」「服いらないの?」とか聞かれる。ボリビア人に。
昨日も生徒を招いてカレーパーティをした際、同じことを聞かれた。

エビカレーと日本酒を振る舞う

「Lo ideal es tener mis cosas en solo una maleta. Si tengo menos, puedo viajar libremente para conseguir más experiencia.」(理想はスーツケース一個分だけの荷物を持つこと。荷物が少なかったら、自由に動けて多くの経験ができるから)と答えると、
「旅で?」と生徒。
「人生で。」と答える私に、「あー・・・」と、拍手をくれた。
障害者とのデザインプロジェクトメンバーの彼らは、距離が一番近く感じる存在。私がボリビアに留まれるよう「もし帰国のフライトに乗り遅れたら、どうなるの?」「前日にカラオケでずっと遊んで、お別れ会やってたら乗り遅れました。とかできない?笑」なんて、かわいい作戦を考えてくれたり。
うーん、前日にはホテルに泊まってちゃんと空港まで運ばれてしまうのだけどね、私。とか思いながら、心が温かくなった。
昨晩、みんなが帰った後、
「私たちはアツコを愛してる」「#NoTeVayas」
と、みんなからメッセージが連投され、泣きそうになった。。。

これは玉ねぎで。昨日の玉ねぎは史上最高、目に痛かった・・・

これはお別れがやばいなー・・・・・

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ATSUKINO(アツキーノ)

2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。現在は南米のボリビア、ラパスにてJICAボランティア活動中。デザイン教育環境の改善にあたっている。
http://nakanoatsuko.com/
https://shadow-candle.com/

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