プロの脚本家にストーリーテリングを学んでわかったこと
ギラギラ照りつける太陽の下に広がる砂漠をトボトボと歩くスーツ姿の堺雅人。
次の瞬間、砂に足を取られて転がり落ちる彼に罵声を浴びせるもう一人の堺雅人。
2023年に話題となったドラマ『VIVANT』の冒頭シーンです。
「え、何、いったいどういうこと?」
以前の私なら動揺しながらドラマの世界に入り込んでいったことでしょう。
でも、プロの脚本家にストーリーテリングを学んだ私は
「なるほど、走り出しているストーリーで始まるのね。ログラインはなんだろう」
なんて知った風な顔をしてテレビを見ていました。
今日は大のドラマ好きな私の意識を変えた「ストーリーカレッジ」での学びについて、振り返りながら書いていきたいと思います。
人の心を動かす文章を書きたい
どうして説明的な文章になるのだろう。
薄っぺらい文章だなあ。
ライティングを学び始めて1年余り。
noteの毎日更新を100日続けたり、X(旧Twitter)の投稿を毎日続けたりしていましたが、あまり文章を読まれている気配がありません。
読まれる文章にするためには自分の体験談を書くと良いと聞きますが、私が書くと単なる作文になって、それこそこんなの誰が読むの? 恥ずかしいだけの文章になってしまいます。
もっと人の心を動かす文章を書きたい! と思ったときに見つけたのがプロの脚本家である永妻優一先生の講座「ストーリーカレッジ」です。
もともと永妻先生のファンでしたので、迷うことなく受講を即決。
2023年5月から3ヶ月間、ストーリーテリングについて学ぶことにしました。
脚本家直伝テクニックの尊さ
永妻先生の講義はストーリーテリングの基礎だけではなく「脚本家直伝テクニック」やお芝居や映画の制作裏話まで教えてくださり、情報が満載です。
途中で入るワークも映画やアニメが題材になっているので楽しくて、受講生たちが答えを書き込むチャット欄はいつも大盛り上がり。
チャットに流れる細かい字を必死に読もうとパソコンの画面を前のめりで見ているので2時間の講義が終わるともうクタクタ。椅子に座ったまま天井を見つめて放心状態になりました。
でも、たぶん顔はニヤつき、ぐふふと変な声を出していたことでしょう。
だって楽しかったんですもの。
永妻先生曰く「新人作家が何年もかけないと手に入れられない」ほどの直伝テクニックは本当に驚くほどの情報量で、アーカイブで2回見直しましたが、まだ消化し切れていない状態です。
ストーリーテリングは奥が深いものでした。
2冊目の電子書籍出版に向けて
講座の最終目標は電子書籍出版です。
2022年12月に1冊目を出版し、2冊目もそのうちに出そうと思っていたのでこれは絶好のチャンス。永妻先生に添削していただけるなんて夢のようでした。
絶対に出すぞ! と意気込んで原稿を書き出したのですが、途中で失速。
それでも何が何でも提出しなくてはと思い、なんとか完成させて、10月上旬に先生に提出することができたのです。
1週間後、先生が添削してくださった原稿を見てびっくりしました。信じられないほどのコメントが書いてあったからです。
なにしろ私が書いた「はじめに」の部分約2,000文字に対して550文字のコメント!
全部で6章、2万字の原稿に対してどれほどのコメントをしてくださっているのだろう。私はパソコンを前で姿勢を正して座り直しました。
次々と現れる先生のコメント。どれもやさしくて温かい言葉ばかり。7割はほめ言葉です。だからかえってポツポツと出てくる修正を促す言葉やアドバイスが響いてきます。
そして、失速してなかなか書けなかった後半部分について先生はすべてをお見通しだったようです。やさしいながらも再考するようなお言葉が書いてあります。
思わず私はパソコンに向かって「やっつけで書いてすみません」とつぶやいてしまいました。
完成までの遠い道のり
先生に添削していただいてから3ヶ月。
残念なことにまだ原稿の修正が終わっていません。
何度も何度も修正を繰り返し第3章までは完成しました。
でも、第4章の修正が終わらないのです。
そして今日2024年1月31日。課題提出期限です。
さあ、どうしましょう。
「ストーリーで大切なのは読者に映像を思い浮かばせること」
どうしても第4章が説明的になって映像で描けません。第1章から第3章まではそれなりに情景が浮かぶような描写が書けているのに……。
なぜだろう。
理由を考えているうちにわかってきました。第4章は私の頭の中で考えたことが中心のパートだからです。
実体験をもとに書いているのですが、記憶があいまいなところが多く、ノウハウや説明で話を進めようとしたのですが、それでは人に読んでもらえる文章にはなりません。
「ストーリーは人と人との交流を描く」
まさにストーリーに大切な要素が抜けていました。
「自分のストーリーを書いて人前にさらすことがストーリーテリングが上達する秘訣ですよ」
講座内で先生がおっしゃった言葉が頭の中に響きます。
もっともっとストーリーを書いて人前にさらさないといけないですね。
原稿の修正は終わりませんでしたが、原因がわかってスッキリしました。
提出期限直前に思うこと
ですので、提出期限直前の今、こうして電子書籍の原稿ではなく、最後の課題、卒業論文を書いています。
電子書籍の原稿はあらためて検討し直して、別の形になったとしてもいつか公開できたら…… いえ、きっと完成させます。
教えていただいた「プロの脚本家直伝のストーリーテクニック」を余すことなく使いこなすためにもアーカイブをあと5回見て、ストーリーも数多く書いて、人の心を動かす文章を書けるようになる、これが私の卒業にあたっての決意表明です。
最後になりましたが、永妻先生、素晴らしい講義と心のこもった添削をしてくださり、本当にありがとうございました。
※永妻優一先生のXのアカウントはこちら
永妻優一|脚本家(@appleApple721)さん / X (twitter.com)
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