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父が死ぬかと思った話

2日前に救急搬送された父は、コロナと診断され、うちから15kmほど離れた病院に現在入院している。

最初に搬送された病院までの距離を調べてみると、8.8km。そんなにも歩いたのか!今日は足のすねが若干筋肉痛気味。ふくらはぎじゃなくすねってなかなかないかも。この詳しい経緯はひとつ前の記事をご覧ください。

昨日、入院先の看護師さんと主治医の先生から電話があり、父は熱はまだあるものの軽症とのこと。10日ほど入院予定で、なにかあれば電話するので、電話がなかったら何も問題ないと思ってくださいと言われる。オンライン面会もできるのでその場合は予約してくださいとのことだった。オンライン面会はいいやーと思ってたけど、やっぱりしとこと明日の予約を入れた。

父の様子がいつもと違った2日前を振り返ってみようと思う。

その日の朝から父の様子がいつもと違っていた。いつもは自分で替えるおむつをなかなか替えず、替える気がないと思っていたけど、替える力がなかったようで、初めてオムツを履き替えるのを手伝った。

その後、朝ご飯はいつも通り完食した。

私はその後、近所のスタバへ。

3時頃帰宅すると、父のお昼ご飯用のおかずがなくなってたので、食べたんやなと。炊飯ジャーのご飯がなくなってたので、自分のお昼のために炊く。ご飯が炊き上がる頃に見に行くと、炊けてたので、ジャーをあける。あれ?すでに食べた形跡が。おとーさんお昼ご飯が足らずでご飯だけまた食べたんかな。

私が、台所でご飯を食べていると、父の部屋からご飯を食べているような食器の音が聞こえてくる。父はいつも自分の部屋でご飯を食べる。いつもとなんら変わらぬ日常。

夜7時頃かな、私は台所でおかずを作っていた。
父は夜ご飯を8時と決めている。

その間に父がトイレに行き、部屋に戻る父の後ろ姿を見ると、お尻は濡れてないが、オムツがだいぶ下にきてるように見えた。パッドもしてるし朝変えたからいけるかなと思いつつ、調子悪いからたくさんしてて重みで落ちてきてるのかもと父の部屋に行き、それを伝えた。

壁につけてあるベッドの脇に座るのが、父の定位置で、いつもそこに座り、テレビを見たり、ご飯もベッドに腰掛けて食べる。
いつものその場所で、オムツの確認のために父に立ち上がってもらったけど、ふらふらだ。

大丈夫?
年齢と身体の細さのわりによく食べる父。いつも同じようなおかずやし、量も全然足りんかった?しかもこないだまでご飯作り半ボイコット状態やったし。

慌てて、「お父さん、もしかしてお腹空いてる?」と聞くと、「うん、空いたなぁ」と苦笑いする。ひゃーやっぱり!ごめん!「何食べたい?なんか食べたいもん買ってくるわ!」でも、父は何も言わない。「お父さん、お寿司好きやもんなあ。お寿司でいい?」なにかというと魚ばっかりでお肉料理をほぼしない私。ほんまは何が食べたいんやろ?私は慌てているが、父は苦笑いのまま。

その後、すぐ父はまたベッドに座りこんだ。顔を見てると、どう見てもいつもより疲れている。しんどい?と聞くと、しんどいなあと言う。父はよっぽどじゃないとそうゆうことは言わないから怖くなる。

明日病院いく?と聞くと、いやいいわと言う。
先生に来てもらう?と聞くも、いいわと言う。

その後座った状態の父をそばで見守る。

座ったまま、目を閉じる父。
眠たいんかな?
「横にならへんの?」といつもならすぐ横になる父に聞くと、このままでいいと言う。

しばらく目をつむっている父をみていたら、寝入りそうで、もしかしてこのまま死ぬんでは?!と思い、「お父さん!」と体をたたく。
寝たら死ぬ!との思い込みは、雪山だけのことなんだろうか。寝たらあかんと思い慌てる。

父は眠そうな目で顔を上げる。
「そのままあの世に行ってまうんかとおもたー」と思わず口から出る。笑う父。

その後、お腹が痛いとお腹を押さえ始めた。
「え?どんな痛さ?」聞くと、下痢みたいやと答えるので、若干ホッとする。
でも、お腹あたるようなもの食べてへんし、私同じもの食べててなんともないし。

トイレ行くか聞くと大丈夫やと言う。

しばらく様子を見てたけど、たまにくる痛みらしい。下痢のときあるあるやな。

その後もずっとそんな感じで、横になったら?と聞くけど、頑なに座ったままの父。もしかしたら、寝ると死んでしまうのがわかってるから、座ってるんかもと私の頭ん中は、父が死ぬ妄想でいっぱい。

お腹の痛みはなくなってきたのか、頭をだらんとして、目をつむっている父の顔を下から覗き込んだら、目をつむってるんじゃなく、うっすらあいてて、その目の感じが異様やった。死んでまう!

「お父さん!!」と体をまた叩く。

ゆっくりと顔をあげる。
目がおかしいと私が言うと、なんとか開けようとしてこっちを見る。「な、大丈夫やろ」と。
でもやっぱり力を抜くと、目から完全に生気が失せている。

突然父が立ちあがろうとした。
トイレ行くん?と聞くと、うんと答えるが、なかなか思うように体が動かない。立ち上がることができない。両脇に手を入れて立ち上がらせようとするが、ものすごく手こずった。父はなんとかどこかにつかまろうとするのだが、それも力が入らない。

もうオムツでしたら?と聞くけど、それには答えず、なんとか立とうとする父。

ようやく私が体を支えて立ち上がることができた。いったん立ち上がると、なんとかトイレまで行くことができた。

そこからがまた大変だ。
私は両脇支えてるので、履いてるパッチやオムツを下げてあげられない。父も自分で下げられない。どうしようもなく、とりあえずそのまま便座に座った。そこからパンツを下げようとするも無理だった。

「結局オムツにしたかー」と表情のゆるんだ父に言うと父は笑ってたけど、実際どうだったのかわからない。

「このまま開けとく?」と聞くと、閉めてと言うのでトイレのドアを閉めた。
中の様子が気になる私は度々ドアをノックして大丈夫か聞く。その度に大丈夫やと答えるのでしばらくそのままでいた。

そういえば、人は死ぬ数日前から目に生気がなくなりぼーっとし始めるようなこと読んだことあることを思い出していた。

さらに、足腰弱ってきたらその後が早いのも聞いたことある!

頭ん中は、父が死ぬことでいっぱい。

そういえば、今朝早朝から父がやたらとトイレに行く音がするのを思い出した。

父がトイレに入ってる隙に、死ぬ前、兆候みたいなワードで縁起でもないことを検索し始める。完全に私の頭は父が死ぬ方向へいっていた。

おしっこについては、父の症状とは逆にだんだん少なくなってくると書いていた。でも、失禁、失便とも書いてあり、これに当てはまるのか?!

食べる量も少なくなってくると書いてある。
なんなら父は食欲旺盛だ。
これも違う笑。

普段と様子が全く違う父に何が起きてるのかわからない。弱りきった父を見てると、死ぬんじゃないかとそんなことばかり考えてしまった。

かなりの時間トイレにこもっていた父。
ようやくドアが開いた。トイレットペーパーは外れ、下に転がり、父は座ってはいるが、体が前のめりになり、ずり落ちそうになっていた。

父を起こそうとするが、狭いトイレで難しい。支えてくれるか?と言われるが、なかなか起こせない。なんとか両脇の下に手を入れれたが、トイレと外に段差があり、そのちょっとした段差がじゃまをする。父はもう全然立ち上がれない状態。どれだけてこずってただろう。かなりの時間かかった。もうだめだと、精一杯の力で、えいっ!となんとか外に父を出したけど、二人共力尽きて、父はその場で倒れこんでしまった。

目を閉じる父に、背中を叩きながら大丈夫か聞くと目をあけようとする。ちゃんと反応はある。救急車呼ぶ?と聞くと、大丈夫、いいと言う。

でもやっぱり目をつむりそのまま寝ようとする。寝たら死ぬ!とやっぱり思ってしまう私は、背中を叩き起こす。妹に電話してた方がいいのか考えだす。

何度か背中を叩いて起こすのを繰り返していくうちに、父の反応がどんどん弱くなっていった。救急車呼ぶ?と聞いたらついにうんと言った父。

すでに時間は9時をまわっていた。

その先が、一つ前の記事だ。


こんなことが2日前にあったけど、全く予期してなかったコロナであることが判明し、父が死んでしまう!との妄想から解放された。

今、軽症とはいえ、高齢なので突然何かあるかもしれない。その場合、延命措置をするかを入院先の病院から聞かれた。家族でそういう話はしたことあるか聞かれたけどないので、相談してまた答えることになっていた。昨日、妹と相談し、延命措置はしないと伝えた。

心臓マッサージも延命措置になることを初めて知った。マッサージで肋骨?が折れたりがあるらしい。

自然のままに。
父も同じ考えのはず。

ベランダに行くのに、父の部屋を通るのだが、父が不在の今、いつも父が座るか寝ているベッドに誰もいず、部屋が静まり返っているのはやっぱり寂しい。

一緒にいると腹が立つこともあるけど、いなくなるといてくれてるだけで安心してたことに気づく。

でも、それと同時に、父の身の回りの世話から完全に解放されてる自由も感じている。病院でみてもらっていると、何も心配しなくていい。

10日間完全なる自由。
父が帰ってきたら、美味しいものを作って一緒に食べよう。

サポートとってもありがたいです♡♡♡ おかげで生きてゆけます〜〜〜!!!