見出し画像

ひとりで青柏祭① #おうちで祭しよう

朝山の時間に祭りを想う編。

毎年5月3日から5日の3日間、石川県七尾市の街中では、1000年前から続いている大地主(オオトコヌシ)神社の春の例大祭”青柏祭(セイハクサイ)”が開催され、山町(ヤマチョウ)と呼ばれる鍛冶町・府中町・魚町の3つの町から、3台の”でか山”という高さ12m重さ20tの日本一大きい曳山(ヒキヤマ)が、夜中から朝まで、そして朝から夜まで、1日中曳き回される。

毎年10万人以上が訪れる青柏祭、今年は、例によりコロナの影響で、神事は執り行われるものの、でか山の運行は中止になった。

本来であれば、5月4日の午前1時ごろから午前7時ごろまで、3台のでか山のうちの1台、府中町のでか山が運行される。
この時間に運行される府中町のでか山は、朝山(アサヤマ)と呼ばれる。

無論、朝山も中止なわけだが、青柏祭が好きで、七尾に移住したと言っても過言ではない私にとっては、この時間、寝れるわけがない。

と言うことで、夜な夜な一人で朝山ということで、noteで青柏祭について記事を書くことにしました。
(でか山期間中にいくつか記事をかければと思ってます◎)

まずは、ちょっと小難しいかもしれませんが、青柏祭の歴史と伝説をば。

■歴史
青柏祭は、能登国の国府(国の中心都市)である七尾の地で、平安時代の981年に、当時の国守・源順(ミナモトノシタゴウ)により能登国の祭りとして始められたと言われている。

“青柏祭”というのは、神饌(シンセン:神様に備える酒のこと)を青い柏の葉に盛って備えることにちなんでその名となった。
ちなみに、秋には”赤柏祭(セキハクサイ)”が行われる。赤柏祭は、青柏祭ほど盛大なものではない。

でか山は、室町時代の1487年ごろに京都の祇園祭の山鉾にならって、日本五大山城の一つでもある七尾城の3代藩士畠山義統が始めたとされている。

江戸時代のでか山は、高さ18mにも及んだと言われている。なぜそこまで大きい曳山を作ることができたかというと、一つは、七尾は港町であるため、造船の技術があったことが挙げられる。

”でか山”というのは、曳山が”でっかい”ので、でか山という。ちなみに、でか山に対して”ちょんこ山”(ちょんこ:七尾弁で小さい)もある。ちょんこ山は、4月の第1週に行われる氣多本宮曳山奉弊祭の曳山のことである。

■伝説
猿による人身御供の言い伝えがある。昔、3匹の悪いことをする猿がおり、そのうちの2匹は殺されたものの、1匹は行方をくらましていた。その1匹の猿が、七尾の大地主神社に身をひそめており、毎年町から1人の娘を人身御供として差し出させていたのである。
毎年行われるその習わしに自分の娘を差し出すこととなった

父親が、命をかけて神社に事実を調べに行ったところ、丑三つ時に、何やら「娘を喰らう祭りの日が近づいているが、まさか越後のしゅけん(強くて白い犬)が、能登のこの地まで知る由もないだろう」という声が聞こえた。

父親は娘を助けるために、すがる思いで、しゅけんを越後まで探しに行った。そして、しゅけんの居場所を見つけ、この事を話すと、しゅけんは「まさか、能登の地で隠れているとは思わなかった、退治しに行こう。」といい、娘の父親を背中に乗せ、大地主神社に向かった。
そして、しゅけんは、娘を差し出すために用意されていた唐櫃(カラビツ)に潜んだ。

暴風雨のなか、執り行われた祭り当日の夜、唐櫃が供えられ、まんまと娘を喰えると思っていた猿は、しゅけんと戦うこととなり、雨風の音をかき消すほどの勢いで夜通し戦いが続いた。

翌朝、町人たちが恐る恐る戦いの行われた神社に行くと、そこには猿、そしてしゅけんが亡骸となって倒れていた。つまり、今後人身御供の習わしが無くなるという事であり、町人は喜んだとともに、
「しゅけん」を厚く葬り、人身御供が続かない事を願い、3匹の猿にちなみ、3台のでか山を大地主神社に奉納するようになったのである。

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、この「しゅけん」は、おそらく狼。狼が相討ちになる姿、「もののけ姫」を思い出します。もののけ姫で狼が相討ちになったのは、猪ですが。

ちなみに、これに似た伝説は、日本各地にあり、実は私の地元丹波地域でも、人身御供をしゅけんのような犬が退治したことが言い伝えとして残っています。ちなみに、相手は狸らしいです。

この歴史と伝説を知るだけでも、
青柏祭を、でか山を、より楽しむことができますかな◎

次は、超主観的なでか山の魅力の記事を書きます。お楽しみに。

出典 :
・私の周りの青柏祭命の方々
・でか山保存会HP
 https://www.nanao-cci.or.jp/dekayama/
・でか山パンフレット 
・霊犬伝説「しゅけん」
   https://jiyodan.exblog.jp/8845420/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?