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テクノロジーと社会

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#コト消費

《連続投稿481日目》サブスクとは何か?~時間を買う~

 日経電子版の記事【サブスクで曇る「経済の鏡」 揺らぐ統計、政策に影も】は、所有から利用へと『コト消費』の潮流が進行する中、サブスクリプションとは何なのか、その本質を問い直すきっかけを与えてくれる骨太のリポートだと思います。  消費のあり方の所有から利用への変化について考えるには、まず、そもそも『所有』とは何なのか押さえておく必要がありそうです――人は何故所有するのか?――。  そこには、おおむね2つのニーズがあるのではないでしょうか―― ▶『所有』する事のニーズ(1)

《連続投稿470日目》コロナ後のシェアリングとオンライン化

 日経電子版の記事【コロナ禍、移動シェアサービス直撃 終了や休止相次ぐ】では、新型コロナウイルス感染拡大の直撃を受け、終了・休止が相次ぐ移動のシェアリングサービスがリポートされています。  オリパラ延期・ロックダウン(都市封鎖)・需要消滅・サプライチェーン混乱・インバウンド消滅・無観客試合・無観客ライブ・医療崩壊リスク……新型コロナウイルスの感染拡大によって、年の初めには想像だにしていなかった事態が次々と起きています。  そんな中、この記事が取り上げている『シェアリング』

消費財にこそアジャイル開発

 日経電子版の記事【消費財も「アジャイル」開発 P&Gやユニリーバ】は、消費財の世界にも、ユーザーと密なコミュニケーションの取れるエコシステムの下で、短期間で実装とテストのイテレーション(反復)を回す『アジャイル開発』が広がりつつある状況をリポートした好リポートだと思います。  そもそも、消費財、消耗品の価値は、モノそのものというより、そのモノによってもたらされるコト=使い勝手・使い易さ・使い心地・使用効果といった体験価値にある、と考えられます。――消費財はモノですが、その

目立つためのメソッド

 日経電子版の記事【黄金のトイレ、海外の人々魅了(古今東西万博考)】は、2010年上海万博で「日本産業館」に出展され話題をさらった「黄金のトイレ」に関するリポートです。  この記事、「へぇ~、黄金のトイレか……」と思っただけで、あやうくスルーする所でしたが、よくよく考えてみると、高品質な日本製品を売り込むために⇨「黄金のトイレ」で話題をさらい⇨日本のトイレへの関心を高めるというメソッド、『目立つためのメソッド』は、きわめて卓越したプロ―モーション、「黄金」という人類共通と言

モノからサービスへのシフトが成長の鍵

 日経電子版の記事【10年前の装置を最新型に ASMLが磨いたサービス力】は、半導体露光装置でシェア9割のオランダ「ASML」のポテンシャルの秘密をそのサービス力にあると読み解くリポートです。  記事では、様々な視点から強さの秘密が解き明かされますが、なかでも、故障対応などの保守点検から、部品交換などによって旧型を最新型のスペックに近付ける改造まで、幅広いサービスを充実させている事がクローズアップされます。  確かに、サービスが充実していれば、需要変動が上向きな時には設備

『DX』が先か、『DX』が先か?

 日経電子版の記事【2つのDXでデジタル化を】は、近年かまびすしい『DX(デジタルトランスフォーメーション)』ではなく、もう一つの『DX(デベロッパーエクスペリエンス)』に注目したリポートです。     確かに、技術者が気持ちよくストレスレスに、そのスキルを発揮しやすい環境の中で、ソフトウエアの開発ができるような体験=『DX(デベロッパーエクスペリエンス)』の実現は、きわめて重要なはずです。 ▶『DX(デベロッパーエクスペリエンス)』が  最大化されると……① ソフト(

最適化経済・消費者余剰・経済成長~変化する『豊かさ』の所在~

 日経電子版の記事【先進国が患う長期停滞に克つには(大論戦)】は、今再び注目されている『長期停滞論』、需要不足などの要因で潜在成長率が下がり、低成長が常態化する『長期停滞論』についての、各界の識者による見立てを紹介しています。    この記事を通読して改めて痛感するのは、「モノ・サービスの生産・提供を通して生み出される付加価値の額」である『GDP(国内総生産)』では、今の時代、第4次産業革命の時代の『豊かさ』は測れないのではないか、という事です。  そもそも、第4次産業

コト消費の時代のOEM(相手先ブランド名製造)

 日経電子版の記事【「私だけの化粧品」日本色材が演出 スモールマスの黒子】は、コト消費の時代におけるOEMの位置付けを改めて考えさせてくれます。  そもそも、消費者一人ひとりが各々の体験価値を追求するコト消費の時代は、それに応じて細分化されるスモールマスな市場に対応する必要があります。  そのような消費者のインサイトに肉薄したイノベーティブなプロダクトを作ろうとすれば―― (1)『カスタマイゼーション』・・・3Dプリンティングなどのテクノロジー   の進化によって出来る

芸を教えられる「aibo」~自分でプログラムできるプロダクトとは~

 日経電子版の記事【aiboに芸を教えよう ソニーがプログラム用ソフト】は、ITの専門知識がなくてもよい簡易なプログラミング環境で、「aibo」の動きを自由に設定できる、というものです。     最初この記事を読んだ時、「へえ~」と思いつつもスルーしてしまったのですが、よくよく考えてみると、『自分でプログラミングできるプロダクト(モノ・サービス)』というデザインには、相当大きなポテンシャルがありそうです。  そもそも、消費者が体験を重視する『コト消費』の流れは、3Dプリ

プロシューマーの時代の商品開発

 日経電子版の記事【西武鉄道 「常識」の枠超え、乗りたくなる電車】は、20代中心の社員6人を集め、次世代型通勤列車の開発で、デザインの中心的な役割を担わせた、というリポートです。  ベビーカー・車椅子の利用客がそのまま乗り降りできる座席のない空間「パートナーゾーン」、子供も車窓を楽しめるよう床までの距離が60センチの窓、子供を抱っこしている人・立ち上がるのが負担な高齢者・障害者のための簡易座席――トップダウン型ではない、若手のアイデアを活用したボトムアップ型の開発によって、

『モノ消費』の逆襲~所有の復権~

 日経電子版の記事【未来のクルマ続々 トヨタ、共有と所有の二正面作戦】は、記事の表現を借りるなら「シェアリング向けのクルマと、自分の好みに合わせて作り込むクルマを想定。それぞれ利用者を取り込む二正面作戦で臨む構え」のトヨタに関するリポートです。  そもそも、『モノ消費』から『コト消費』への変化が叫ばれる昨今ですが、もとより『モノ消費』、モノの所有が完全になくなってしまう、とは思えません。――例えば、個人が金融資産以外何ものも所有せず、企業があらゆるモノを所有し、消費者がそれ

コト消費への対応を迫られるネット通販~プロシューマーの時代のネット通販~

 日経電子版の記事【米ネット直販、アマゾンも揺るがす SNS駆使で台頭】は、①SNSを通じて消費者とコ・クリエーション(価値共創)しながら、②自社で企画・製造(ファブレスも)したプロダクトを、③中間流通をなくした自社サイトで直販する(販売価格を抑えられる)『D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)』に関するリポートです。  そもそも、消費者一人ひとりが各々の体験価値を追求するコト消費の時代に、細分化されるスモールマスな市場を見極め、ユーザーのインサイトに肉薄したイノベーテ

『機能性』へと回帰するアパレル

 日経電子版の記事【カジメイク、防水×カジュアルに進出 レインコートで成長】は、アパレル業界の今後の動向について改めて考えさせてくれます。  記事でリポートされるカジメイクやワークマンの躍進に見られるように、私達消費者が衣料品に求める体験価値は、『ファッション性(流行)』や『デザイン性』から『機能性』へと変化してきているように思えます。もちろん、衣料品は、私達の体という外面にまとうものですから、衣料品の体験価値の要素から『デザイン性』がなくなることはありえませんが、ここへ来

コト消費の時代のCSR(企業の社会的責任)

 日経電子版の記事【食品ロス減、製造現場から 大手各社が新法施行にらみ知恵】は、食べられるのに廃棄されてしまう『食品ロス問題』に取り組む企業に関するリポートです。  まず、記事などからロス削減に向けた施策の事例を整理してみると―― ▶ロス削減に向けた施策(1)鶏肉加工メーカー・・・X線検査では骨がないのにあるとの誤認の             多かったのを、AIによる識別で改善。 (2)菓子メーカー・・・製造工程を見直して賞味期限を延長。        ・・・賞味期限表