旅と移動は、そっくりだ。
旅は移動ではないし、移動を旅とは呼べないかもしれないが、2つはいつもそばにいる。
誰かがスイッチを入れ忘れたかのように、急に秋へと変わってしまった道を歩いていると、道端に転げ落ちた落葉が、高速で通過するクルマによって巻き上がり、思い思いの方角へ分散した。
偶然クルマにくっついた葉はそのまま何キロも何百キロも共に移動し、気の向いた場所で離れ、新しい場所で新しい時間が待っている。
きっと同じようなことは空の上でも、海の中でも起きているのだろうと思った。
さっきまで葉があったその場所には僅かな痕跡が残るが、時が経てばそこに何も残らない。
目的地へ向かう瞬間は移動だが、貴方が過ぎ去った直後が旅になっていく。
旅の思い出や記録も大切だが、
ほんの少しだけ、前への移動を感じること
ほんの少しだけ、後ろで消えゆく自分の軌跡を見ること
旅とは、そういうことなんじゃないかと思った。
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