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揺れる


白のひだが静かに
音も立てずに波打つように

大きいものも小さいものも
小さく静かに静かに揺れる


外の木漏れ日がチラチラと眩しすぎて
そっと目を閉じる午後に
懸命に泣く小さき生き物の声は
あと僅かな季節の終わりを伝えている



ふと頭に浮かんだ上石神井駅の
長い階段を見つめる自分
今はもう懐かしい気持ちで感じる友に
あの夏は楽しかったねと話せる日は来るのだろうか



暑さで溶けるようなアスファルトのぬるい匂い
君らと笑ったその季節は思い出だけになって
それでも一緒に食べたスイカの味は
今でも美味かったと言い切れるけれど


なんどもなんども巡る春夏秋冬
過ぎていく1つの季節の中に
あとどれだけ色々なものを詰め込めるのか


そんな風に思えるようになったのが
今頃なんて
もっと早くに知っていたら
いろんなことが変わっていたのに


それでも人は先にしか生きられない


さようなら 今年の夏
また来年会いましょう








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