餓狼

思考を留めるための箱

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最近の記事

性癖迷子~乳首舐め~

「身体のどこが感じやすいっすか?」 彼の性癖を紐解こうとインタビューした時、逆に彼は僕に聞いてきた。 人の快楽耽り方はひとそれぞれだ。僕の場合は「ミル」という行為に淫している。男は視覚野でセックスするというが、僕の場合はその極端な例のだろう。 「チンコオンリー」 「え~、それもったいなくないすか?」 「何が?」 「だって自分が気持ち良くなるためにセックスしてるのに一ヶ所しか感じないなんて」 「そうかな?別に今のセックスで満足してるけど」 「っていうか、踊ってんでしょ?体感

    • 性癖迷子~和姦~

      人にはそれぞれ理想のセクシャルファンタジーがある。でも僕自身のセクシャルファンタジーは未だによく分からない。強いてあげるとすれば「ミル」こと。自分の身体の下で欲情に狂った姿を眺めること程の興奮はない。それがどんな形態であれだ。 「私が一番興奮するのはセックスすることをおくびにも出さずにデートして、ドアから部屋に入った途端、男が豹変して私を後ろから強引に犯すこと。想像しただけでいつも濡らしてしまう。」 こう語ったのはUだった。Uと僕は踊り場で知り合った。その頃、僕には男女関

      • 性癖迷子~スワッピング~

        少年時代はとても牧歌的だった。河原で雨に濡れたエロ本を見つけては大興奮し、友達の父親が持っていた洋ピンのビデオをみんなで一緒に鑑賞し、外人の巨大なイチモツを見て気持ち悪くなったり、男の妄想が沢山詰まったエロ漫画にすら純粋に興奮することが出来た。 そんな普通の小学生だった僕が、思春期に性癖というものが出来る唯一のキッカケは、団鬼六の「檸檬婦人」と出逢ったことかもしれない。といってもSMという方向性ではなく、単にエロ小説を読んでオナニーするという、想像力を発達させる方法を知った

        • 性癖迷子~首絞め~

          これは少しだけモテるようになって、でもまだまだセックスが下手くそだった頃の僕のお話。 アプリナンパがまだ世の中の主流になる前。感度の高い人達がこぞって先行者利益を貪っていた頃、僕も真面目にアプリナンパに取り組んだ。仕事のプロジェクトみたいに高速でPDCAを回し、修正に次ぐ修正を重ねてある目的に邁進していた。ただマッチして、メッセージで仲良くなって、実際に会って、ご飯を食べて、口説いてセックスする。そんなことは何度か経験すればのめり込む程、面白いものでもない。これだったら普通

        性癖迷子~乳首舐め~

          性癖迷子~ロリコン~

          大学時代、現実逃避の果てに海外に身を置いていた時期がある。当時、日本人の海外指向が強かったこともあるが、それ以上に自分の居場所を見つることが出来ない、人と同質化することを受け入れ難い人達が逃げるように海外へ飛び出していった。そこで僕は彼と出逢う。 もし日本で彼と出逢っていたら、僕は決して友達はおろか、話しかけることもなかったであろう。金髪でひょろっとした長身。耳には数えきれない程の穴を空け、ジャラジャラと音が鳴るぐらい多くのピアスをはめていた。一番大きな穴になると指の数本は

          性癖迷子~ロリコン~

          性癖迷子~ソドミー~

          田舎で過ごしていた思春期の僕は、性に対して人並みに興味はあったのだが、赤面症だったので女の子と目を見て話せなかった。都会の大学に出て直ぐに出来た友達にそのことを話すと、 「人類の半分が苦手だなんて大変だなあ」 と何気なく言った一言が僕を変えた。極端から極端へ。今となっては自分らしいと思うが、友達の言葉を聞いてから一週間も経たない内に、僕は初キスから初セックスまで済ましてしまう。そして僕はロマンチックさの一片の欠片も無く、性に向かって一直線に走り出す。都会は男を変える。とい

          性癖迷子~ソドミー~

          性癖迷子~はじめに~

          前に性癖迷子という記事を書いた。 副題はつけてなかったが、今回改めてシリーズ化する為に、副題を添えた。 2年以上、Xでサブミッシブとドミナントの世界を眺め続けた。自分のより深い、より濃い性的エクスタシーを獲るための鍵を探していた。 でも今は違う。僕は単なるサピオロマンティックで、純粋なドミナントではないと分かった。当初はDSの人達が紡ぐ言葉にとても惹かれた。Xの世界では雑で、矮小で、手に取ることを躊躇うどころか、バグやゴミデータでしかなく、デフラグで一気に消去したい言葉

          性癖迷子~はじめに~

          空気を纏う②

          世界が変われば纏う空気も変わる。 ヤンキー至上主義が蔓延っていた世界から僕は突然卒業することになる。 僕が通うことになった高校は、田舎の狭い地域の中ではそこそこの学校だった。今まで毛嫌いしていた坊ちゃん嬢ちゃん達が通う場所。高校の自己紹介で出身中学を告げるとクラスがざわつき、そして直ぐに静かになった。突然、影で蔑視してた野蛮な部族が平和な村に突然押し掛けてきたから。 そこで僕は一計を図る。みんなに溶け込む為に僕はコツコツ貯めたエロ本とエロビデオをエロ図書館としてクラスメイ

          空気を纏う②

          空気を纏う①

          僕は田舎のシティボーイ。 小学生時代は冬でも短パンをはいて、外で元気よく遊び回っていた。学校の友達とサッカーに夢中になって日が暮れるまで走り回り、喉が渇けば100円を握りしめ近所の駄菓子屋でコーラと粉ラムネを買った。コーラに粉ラムネを入れ、ブクブクと泡が瓶から飛び出す瞬間にカプッと口で覆い、涙目で咽びながらも全部飲み切ることが最も格好いいヤツだという、今考えれば訳の分からない価値観の中で生きていた。 毎日同じようにキャプテン翼のキャラクターに成りきって、サッカーで遊んでい

          空気を纏う①

          失われた羞恥心を求めて

          「恥の多い生涯を送って来ました。」 太宰治の人間失格の冒頭。 人間失格を書き終えた太宰は、一ヶ月後、女と共に入水自殺した。時に太宰治38歳。 人間失格は表装を何度も何度も変えながら若い人に読み継がれている。恥を恥と感じることが出来る世代にとって、自分を恥じ入り、自分自身を虐め抜くこの小説は、生きることの恥ずかしさに消え入りたいと思っている羞恥心を失っていいない若者が、太宰と自分と重ね合わせ、人生のバイブルとして大切に本棚に飾りもするのだろう。 若い世代に支持される人の

          失われた羞恥心を求めて

          人は夢を見るためにJAZZを聴く

          録音技術がなかった頃。音楽を聴くという行為は全てライブだった。音楽を聴くために一部の特権階級達は、華やかな演奏場所へ向かい、プレイヤーが楽器を自由自在に奏でる大量の音に身を浸し、その限りある時間を楽しんでいた。 時間が流れ、やがてセンセーショナルな発明が生まれた。 1877年にエジソンが蓄音機「フォノグラフ」を作り、自信の声で「メリーさんの羊」を録音する。発売当初、演奏する人がいなくても音楽を聴くことが出来るレコードプレイヤーは贅沢品であり、ホームシアターのように贅沢な空

          人は夢を見るためにJAZZを聴く

          白昼夢

          人は夢を見る。だが見た夢が幻なのかそれとも別の現実世界なのかは誰も判別できない。今の現実世界で常識とされているものが正しく全てを認識していると声高に主張するなら別だが、脳の研究が全く進んでいない現在、心の在処を探す羅針盤すら無いのに全てを妄想と片付けるのは早計過ぎるといわざるを得ない。 2階建てのカフェテラス。太陽の光は強くもなければ弱くもなく、空気はカラッと乾いているが風はない。英語で言う"comfortable"という言葉がしっくるくる。 朝と昼の境目、見下ろす通りを

          armchair philosophy

          梁石日は昔、タクシードライバーだった。来る日も来る日もハンドルを握ってシートに座り、車窓から景色とそこに歩く人を眺める。時折、呼び止められた客を車に乗せ、目的地まで車を走らせる。むすっと黙ったまま窓の外を眺める客もいれば、話しかけてくる客もいる。そうやって見知らぬ人と言葉を交わす。一期一会。次に同じ人を乗せることなんて滅多にない。だからなのか客の口は時に軽く、嘘とも本当とも判別をつけることの出来ない物語を、タクシードライバーに向かって語り始める。 王様の耳はロバの耳。 誰

          armchair philosophy

          同じ空気の吸い方

          Social Networking Serviceは1997年にアメリカで生まれた。 SixDegrees.com この名前を知る人はほぼいないし、仮に知っていても何の意味ももたらさない。 1997年、平成9年の日本はどんな時代だったのだろう。 93年頃にから急速に盛り上がっていった、女子高生を中心としたアンダーグラウンド文化が次第に表面化していき、97年にはマスメディアを完全にジャックした。 そしてルーズソックスの大衆化に嫌気がさした一部の女子高生がハイソックスを選

          同じ空気の吸い方

          性癖迷子~サブミッシブとドミナント~

          自分を知るということはとても難しい。自分が何が好きなのか、何が嫌いなのかさえ、実はよく分かっていない。好きな理由を探し始めた途端、好きは勝手に一人歩きし始めてしまい、好きな対象からどんどん遠ざかってしまうから。 僕の好きな映画は「サタデーナイトフィーバー」「男と女」「愛と哀しみのボレロ」。 これ以外にも好きな映画は沢山あるのだが、パッと心に思い浮かぶのは好きが強い証拠なんだと思う。その3つの映画が好きな理由は沢山あるが、共通して言えるのはその映画に使われている音楽が好きだか

          性癖迷子~サブミッシブとドミナント~

          問い続けること

          僕は奇妙な能力を持っている。普段はその能力については全く忘れてしまっているが、突然気付かされる場面に出くわすことがある。 その能力は記憶に関するものだ。とはいっても日常生活での記憶力は低い。というよりも直ぐに忘れてしまうことの方が多い。次にしようと思っていたことを忘れてしまうのはしょっちゅうで、よくあるポンコツだ。勉強だって英単語は何度繰り返し声に出して読んで何度も繰り返し書いても、高速道路を運転する車の窓に映る景色のように、あっという間に後方に過ぎ去っていくように忘れてしま

          問い続けること