見出し画像

腋窩神経について(臨床編)

前回は解剖学を少しだけお話ししました。今回はこの腋窩神経が障害されるとどのような症状があるのかをお話ししていきます。どうぞ最後までお付き合い下さい。

腋窩神経障害好発部位

腋窩神経の障害好発部位は二箇所あり、
一つ目が『広背筋、大円筋停止腱』と『肩甲頸、上腕骨頭』との間での圧迫
二つ目は『外側腋窩隙(QLS)
での圧迫である。

1、『広背筋、大円筋停止腱』と『肩甲頸と上腕骨頭』との間での圧迫

 肩関節外転位で外旋するコッキング肢位で、腋窩神経が上腕骨頭と広背筋停止部の間での絞扼や投球動作のコッキング期に広背筋が牽引され緊張し、広背筋停止腱が上腕骨頸と上腕骨頭に巻き取られ挟み込まれ絞扼症状を生じる。

改善方法
広背筋へのアプローチは、患者背臥位にて疼痛を訴えない程度に肩関節屈曲位とし、上方から肩甲骨を背側に圧迫しストレッチを行う。
大円筋へのアプローチは、患者背臥位にて患側挙上(疼痛の出ない範囲)。術者は患者の頭側より上肢を把持(患者の患側とは反対の手で対応)し、もう一方の手で広背筋と大円筋の重なる部位に滑走を促すアプローチを行う。

2、外側腋窩隙(QLS)

 QLSは、上肢の外転によって狭小化します。腋窩神経は肩関節外旋・外転位にて最も緊張が高まる。この結果で疼痛や痺れが出現

改善方法
 QLS周囲の疎性結合組織の癒着および瘢痕化は、三角筋後部線維と棘下筋・小円筋間での滑走性の低下を起こす。そのため、三角筋後部線維・小円筋・棘下筋へのアプローチが必要です。徒手的リリースやダイレクトストレッチ&自動運動が疎性結合組織の柔軟性の改善には有効と考えます。

 今回は臨床編でした。肩関節の痛みで筋肉や関節包にアプローチをしてもなかなか結果が出ないこともあると思います。そんな時の神経の絞扼性もあったなと思い出してください。アプローチの幅が広がるかなと思います。

 皆さんのお役に立てるようにこれからも宜しくお願い致します。


              みなみ整骨院  三堀 アツシ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?