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「本当に美味しい一杯を届けたい」 神奈川から富山に移住した夫婦の挑戦

北陸新幹線で富山駅に到着してから、路面電車に揺られること約5分。着いたのは、聞き慣れない「総曲輪(そうがわ)」という町。

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商店街をふらふらと歩いていると、ひときわよい香りを放つ珈琲屋さんを見つけた。中をのぞくと、マスターらしき人が真剣な面持ちで豆を挽いている。しかも店内の雰囲気が格段によい。

別に珈琲が飲みたかったわけでもないし、どちらかというと、移動の疲れがたまっていて早く帰りたかった。でもなんとなく、素通りしてはいけない気がして立ち寄ることにした。

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中に入るとまず目に入るのは、各国から取り寄せた豆の数々。しかも一つひとつ丁寧に、それがどんな味わいなのかが書かれている。

正直、素人の私にはどう選んだらよいかわからない。じっと珈琲豆を眺めていると、「どんなものがお好みですか?」と店員さんが声をかけてくれた。

「酸味が強いものならケニア。まろやかなもののほうがお好きでしたら、今日はグアテマラがおすすめですよ」。

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おすすめされたグアテマラを注文すると、その場で豆を挽いて淹れてくれた。富山の八尾という町でとれた、胡麻を使ったクッキー付き。早速珈琲を一口飲んではっとした。こんなに飲みやすい珈琲ははじめてだった。

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店内は人であふれているわけではない。けれどぽつりぽつりとお客さんが訪れては、店主と仲睦まじげに話している。

「今日も来てくださったんですね」と声をかける常連さんもいれば、「いやぁ、半年ぶりじゃないですか」なんてお客さんも。長居しても邪魔かな、と思い席を立つと声をかけられた。

「珈琲はお口にあいましたか?」

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「とっても美味しかったです」と返しつつお話を聞いてみると、なんと出身地が私と同じ神奈川。しかも家が本当に近い(笑)。

そんな共通点もあってか、なぜお店をはじめたのか、珈琲へのこだわりを語ってくれた。

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お店を始められたのは3年前。神奈川にお住まいの頃は、会社員だったそう。ただ、ご家庭の事情で富山に住む必要が出てきたため、前職を退職。

「どうせ新しい場所に行くなら、何かにチャレンジしたい」。そんな想いで、ご夫婦で始められたのが、この「まめやコーヒー」だった。

温もりが感じられる店内には、サボテンや本がいたるところに置かれている。「どんなものが置かれているかで、その人の価値観が伝わるじゃないですか。だから、自分たちが好きなものだけ、厳選して置いているんです」。

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中でも一番のこだわりは、豆の挽き方。効率だけを考えるなら、一気に大量の豆を挽いて販売したほうが楽。でも、挽いてから時間がたった豆は酸化がすすみ、飲んだ人の身体に酸化物をためてしまうため、実はよくないそう。

身体によいものを、本当に美味しい状態で届けたい。その一心で、一度に少量しか挽けないかわりに、豆本来の美味しさを保ったまま提供できる、特別な機械を取り寄せたのだそうだ。

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そんな店主だが、どうやら「珈琲屋」にこだわっているわけではないらしい。

「僕たちは、大好きな富山の町を残していきたいんですよ。そのために、この土地に貢献できる何かがしたい。そう思ってたまたま辿り着いたのが、珈琲屋だったんです」。

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嬉しそうに語るお二人。珈琲はもちろん美味しかったけど、それ以上に、前向きなお二人の姿に元気をもらえた。

* * *

(ここからは2020年5月1日の追記)

そんなまめやコーヒーも、今では店内で飲食することができなくなってしまった。けれどその代わりに、オンラインショップで販売をされているそうで、私も早速注文してみた。

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おうちで飲んでも、やっぱりここの珈琲は、おいしい。しかも、丁寧なメッセージまでついていて、うれしい。気になる方は、ぜひこちらからのぞいてみてください。

そして、この話には続きがあるので、もしよければこちらもどうぞ。


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