ANYCOLOR株式会社第6回定時株主総会・質疑応答メモ

本記事は2023/07/28に行われた、ANYCOLOR株式会社株主総会内で行われた株主からANYCOLORに対する質問のメモです。
インターネット上の配信からの視聴で、本記事を書いています。

株主総会を見るのは初めてなのと、あまり経営云々は詳しくないので、間違っている部分もあると思いますが、ご容赦ください。あくまで内容を何となく知りたい方向けです。
ANYCOLOR株式会社の公式見解は、正式な発表を参照してください。


株主総会は代表取締役・SEO田角陸のあいさつからスタート。
今回、議決権行使した株主は4131名。通期決算及び業績予想や対処すべき課題については、ほぼ発表された資料通り。今後のビジョンなども発表された資料通り。

決議事項の上程が行われ、その後に質問回答へ。

インターネットから質問

事前に株主を対象にネット上(プレミアム優待倶楽部)から募集した質問に回答。
同じような質問はまとめられて、一度に回答する形式でした。
回答は全て田角社長が行っていました。

NIJISANJI ENのライブイベント中止の理由を知りたい

新型コロナによる進捗の遅れが原因。
再開の予定は企業秘密なので申し上げられない。
イベント・プロモーションの領域は今後注力していく重要なものの一つとしてとらえているので、今後に期待してほしい。

スタジオや新技術への投資

企業秘密になるので、詳細には申し上げられない。
「魔法のような新体験」を掲げている。期待を超えられるコンテンツを作っていくために、スタジオへの投資等は重要だと考えている。
引き続き魅力的なコンテンツを作っていく。

自社で配信プラットフォームを立ち上げる予定はあるか?

当社としてはファンを魅了するコンテンツに注力していきたい。
プラットフォームの作成は大きなコストがかかるので、慎重に検討していく。

株主優待や配当、剰余金について

2017年に創業したばかりの会社なので、まずは成長投資に回していきたい。Vtuber事業や新事業、M&Aなどに今後の投資に備えている。
引き続き企業価値の向上で株主に報いていきたい

誹謗中傷対策について

2年ほど前から誹謗中傷対策チームを立ち上げている。ライバーに対する誹謗中傷や権利侵害、デマ情報の対策などを行っている。会社として重要なものと捉えている。
事実の確認・整理、根本的解決への対策、注意喚起などを行っていく。

ライバーの従業員の健康管理について

重要な課題として認識。
従業員とライバーがコミュニケーションする場合については心がけている。
制度として産業医によるカウンセリング等を用意している。

VTAは育成機関として有効に機能しているか。配信休止の原因は?

ダンスなどのレッスン以外に、座学的なものも学んでる。
ライバーとして中長期で育っていくために必要な過程だと考えている。
配信を休止している原因は、公表している以上には申し上げられない。
会社として、デビューのプロセスとして重要な位置づけとして注力したい。

会場からの質問

社長として、どこまで会社を大きくしたいか。社会にどう貢献したいか。

「日本を代表して世界で活躍するグローバルカンパニー」を目指す。
Vtuber事業はまだまだ新しい産業なので、会社としても個人としてもVtuber市場を拡大していく。ゆくゆくは日本のアニメ市場周辺に変化をもたらすことを目標としたい。

設備投資について、人材への投資も含めて、どのぐらいの水準まで投資を行うか教えてほしい。

ファンを楽しませるには重要だと思うので、しっかり投資していきたい。
コンテンツ作成やサポート体制などは、全て人材への投資で賄われるので、しっかり投資していきたい。

配当よりも優待を重視してほしい。オリエンタルランドのように、株主限定のグッズなどを出せばよいと思う。

(株主になってからVtuberを見るようになった株主。現在は月ノ美兎とVTA3期生の栞葉るりのファンとのこと)

現時点では配当・優待は検討していない。参考意見として捉えさせていただく。

来期売り上げの予想が弱気に見える。プラスになる要素について具体的に聞きたい。

各部門からの施策を積み上げる形での予想。想定できる形での業績予想。
想定以上のご好評をいただくことが上振れ要素。

田角社長の持ち株比率が多いのではないか。また、従業員への給付信託をすべきではないか。

経営を行う上で必要な分を保有した上で経営していきたい。長期保有前提で考えている。
現時点では従業員へのストックオプションなどがインセンティブになる。中長期的には検討していきたい。

ヘッドマウントディスプレイを利用したVRコンテンツの作成の予定は?

デジタル上のアセットを多く持つコンテンツ。VRコンテンツとは相性がいい。
ファンに受け入れられるコンテンツを作る観点で、トレンドや技術の進み具合を見ながら作成する。VRコンテンツも長期的には検討する。

アンテナショップなど、直営店の設営は検討しているか?

現在は検討していない。費用対効果も考えて前向きに検討していきたい。

にじさんじネットワークのような外部・既存活動者への採用は考えているか?

現時点では検討していない。慎重にだが、長期的には検討の余地はある。

海外ファンが増えているので、リアルタイムの翻訳を導入する予定はあるか?

AIなどの新技術によって、そういったコンテンツを作れる状態になってきている。法規制などがまだやわらかい状態なので、会社としては慎重に行きたい。

今後タレントに囚われない収益方法は考えられるか?

メディアミックスでのアニメやコミック、グッズなどはある程度タレントの関わりが薄い。
現時点では、完全にタレントの稼働がない収益方法はない。
将来の新事業展開ではあるかもしれないが、目先ではない認識。

グッズの発売数がライバーによって大きな差がある。少ないライバーのグッズを増やしていく予定はあるか?

フェアで合理的な範囲ではあると思うが、起用機会やプロモーション機会の差が出来るだけ減るように取り組んでいく。

売り上げ原価として、設備投資やタレントへの報酬などはどんな割合になっている?

現時点では詳細は公表していない。
内訳はライバーへの報酬、プラットフォームへの報酬、グッズの制作費など。スタジオの人材も原価に含まれている。

EN以外で中国やインドネシアなど、今後伸びる地域について予想はあるか?

ENは英語圏をターゲットとしている。アジア圏の中でも英語を使う地域からも試聴されている。ENは、国ではなく英語圏で受け入れられている状況。

機関投資家とどれぐらいミーティングしているか。

IRとの面談数は、4半期で30ぐらい。

古参のライバーが現在の経営方針で割を食う状態になっていないか?現在の経営方針に沿うような教育を行っているか。

コンプライアンス研修や炎上対策については、事前の研修や注意事項の喚起をライバーに対して行っている。
何か起きた場合には情報の整理をして根本的な対応策を実施している。
窮屈に感じる方もいるかもしれないが、コンプライアンスを意識して活動していくのは中長期で活躍するためには必ず必要なことだと思っている。
一度炎上してファンの信頼を失くしたり、市場からの嫌なイメージが付くと、回復が難しい。

一回のデビュー人数が多いのではないか?ファンが追い付かなかったり、差別化が難しくなると、登録者数も伸びにくい。サポートの質も低下するのではないか。

新人デビューの考え方としては、世の中に日の目を浴びていない才能を、世の中に認知してもらうきっかけを作っていくのが我々の使命。
新規ファン層を獲得できるVtuberをプロデュースしていくのが重要。
既存Vtuberのサポートがおろそかになるのはよくない。既存のVtuberも含めて、一人一人の収益化やファン層拡大をバランスよく行っていく。

ライバーの卒業数は想定内か?想定外なら再発防止として、どんなことを考えているか。

前提としてコンプライアンス違反や炎上を除いて話す。
Vtuber以外の仕事や人生を選択する意思をもらってのこと。
ライバーの才能を発揮している状態から辞めるのは悲しいこと。
ライバーと誠実にコミュニケーションを取って、ライバーの意思を尊重したうえで、送り出している。
Vtuber以外の道を歩むきっかけとなる、誹謗中傷やサポート不足は会社として重要な課題だと認識している。

海外機関投資家の認知度をどう上げていく?

海外のIRカンファレンスに出る等、費用対効果に照らして実施していく。

事業内容への質問が多い。運営とリスナーのコミュニケーションが取れていない不透明さが原因ではないか。一般向けに質問に回答する説明会等を開催する予定はあるか?

現時点では検討していない。
社内チームは、Twitterなどの意見を参考にしてコンテンツを作成している。
意見を施策に反映していくのは会社としてやっていくべきこと。施策の中で感じてほしい。

誹謗中傷対策検討会で他社と協力を行っていたが、Vtuber業界全体のパイを増やすために他社との協業を行っていく予定はあるか?

誹謗中傷対策検討会は、ノウハウや知見を共有するためのもの。
業界全体をよくする取り組みはやっていきたい。
現時点では、提携先を積極的に増やす方針ではない。合理的な範囲内でやっていきたい。

社員の労働環境や採用への取り組みについて

人材は引き続き注力していきたい領域。
ボーナスなど優秀な人材を引き付ける制度の改善は引き続き見直して実施していきたい。

田角社長とライバーのコラボをする予定はあるか?田角社長が出ることで親しみやすいイメージが出るのではないか?

(ここまでほぼ真顔だったが、笑顔が出る田角社長)
自分が出るよりライバーの出番を増やしていく。自分は裏側に徹したい。
一切出ないわけではなく、必要に応じて顔を出したい。

ARライブなど裏側を語る記事が面白かった。今後も製作過程を出すコンテンツは出す予定はあるか?

採用の面接で「記事を見て興味が出た」という話もあり、採用に効果があると思われる。頻度は高くないが、今後も出していきたい。

自社と自社以外でそれぞれ個人的に好きなライバーを1名あげてほしい。

(会場から笑いが起こる)
贔屓などに繋がりかねないので、明言することは避けたい。

以上で、質問終了。

私的な感想

質問は全て田角社長が答えていました。全体的に落ち着いており、テンポよく質問に回答していた印象です。
手元の資料を見ながら答えることも多かったので、事前にかなり想定質問を準備していたのではないかなと思います。
(当然ですが)余計なことは言わない、非公開の情報は言わない、不確実なことは明言しない、ということが徹底されてました。

質問内容は経営というより、にじさんじの将来的な事業内容に関するものがほとんどでした。そういう意味ではファンであったり、Vtuber事業に詳しい株主が多く質問を行っているのかな、と思います。

あと田角社長はスーツ姿で登壇されてたのですが、昔の白シャツ時代に慣れてたので違和感がありました。まぁもうプライム上場してる会社の社長なので白Tシャツで公的な場に出ることも少ないと思いますが……

以上です。

個人で書いたメモなので、誤りなどもあるかもしれません。投資判断等、重要な決定には使わないようお願いします。

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