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FUJIFILM X-A5&X-T100はどんなカメラ?

FUJIFILM X-A5 ファームウエア更新のご案内

この記事を書いて直ぐ2022/7/27にFUJIFILMフィルムから新しいファームウェア更新のお知らせがありました。新しいタムロン製Xマウントレンズへの対応その他です。

FUJIFILM X-A5 ファームウェア更新の手順

Ver.2.02からVer.2.03への変更内容
他社製のXマウントレンズとの組み合わせにおいて、稀に発生する以下の現象を修正しました。
・TAMRON:17-70mm F/2.8 Di Ⅲ-A VC RXD (Model B070)との組み合わせで、AF-Cで高速連写撮影した場合にピントずれが発生する。
・TAMRON:18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061)との組み合わせで、T端からW端にズームするとスルー画表示の輝度がハンチングする。ハンチングは静止画、動画に影響されます。
その他軽微な不具合を修正しました。
FUJIFILM X-A5,X-T100はどんなカメラ?

https://fujifilm-x.com/ja-jp/support/download/firmware/cameras/x-a5/


FUJIFILM X-A5,X-T100はどんなカメラ?

前回のFUJIFILM X-A5購入までの経緯で書いた通り、X-A5レンズキットを入手したのは単純に値段が安かったからで、それまでは特に富士フイルムのブランドに何かしらの思い入れがあった訳ではありません。銀塩時代を含めFUJIFILMのカメラを購入したのもX-A5が人生初めてです。

FUJIFILM X-A5は2018年1月に発売され、レンズ交換式APS-Cミラーレスカメラの中でも実売価格が安く、2020~2021年には某所で長期に渡りランキングトップ3に入り、市場ではかなり数が売れたであろうAPS-Cミラーレス一眼です。2019年10月に後継機のX-A7が発売され、X-A5の大量の生産在庫の処分に困ったのが低価格の真相ではないかと思いますが、X-A7の存在感の希薄さに対し、X-A5は18年発売の古いモデルながら21年いっぱいまで販売されていました。最後はFUJIFILM直販でレンズキットが33000円で投げ売りされてらしいです。

同一設計の兄弟機にXT-100がありますが、電子式ファインダーの有無とそれに伴う外観の違いのみで中身そのものは一緒。メカメカしいデザインが苦手な僕はよりお洒落なX-A5を選びましたが、正直ファインダーについてはなるべくならあった方が良いと思います。

X-A5は丸2年近く売れ筋ランキング上位をキープしていましたし、比例してTwitterやネット上に作例が沢山出てくるかと思いきや、上位機種の各FUJIFILM内製ミラーレスカメラと比べ、割と極端なまでに作例とレビューの量が少なかったりします。これにはいくつかの理由があると思うのですが、一番は、X-A5がカメラマニア、写真マニアが敢えて選ぶような機種では無い点です。購入者がほぼ一般人なので、数が売れたところで作例やレビューをわざわざ公開する人は殆どいないみたいな...( ³△³  ).。o。※今ではTwitterでX-A5の作例を#検索すると、その大半が僕の写真です\(^o^;)/。


XactiのOEM

FUJIFILMの低価格モデルとなるこのシリーズX-A3/X-A5/X-A7/X-T100/X-T200は、実はFUJIFILM内製ではなく(旧サンヨー)Xactiが製造元のOEM供給品。よって肝心のAPS-CセンサーがFUJIFILM謹製のX-Trans C-MOSセンサーでは無く、ローパスフィルター付きのベイヤーセンサーを積んでいるため、純粋なFUJIFILM製品、フジカラーを求める人達には余り選ばれない、エントリーユーザー向けの製品と云うことになります。

ベイヤーセンサーの功罪

FUJIFILMのカメラには下位機と上位機での画質差はほぼ無いと云われていますが、XactiのOEMモデルではどうでしょう?同世代のFUJIFILM内製機種のAPS-Cセンサーは2430万画素のX-Trans C-MOS Ⅲセンサー。対してXacti生産品は2424万画素ベイヤーセンサー。画素数での違いは殆どありません。(注:現行X-Trans C-MOS 4センサーは2600万画素) また、使えるレンズも同じXマウントです。

ベイヤーセンサーであってもFUJIFILMの画像処理エンジンを積んでいますので、写りについては間違いなくFUJIFILMの画作りです。これはFUJIFILMの他のカメラでも云えることですが、同一設計時期で同じセンサーのモデルであれば、グレードの差はあくまでカメラとしての機能差であって、画質そのものは基本的に同じ。但しX-A5についてはベイヤーセンサーですので、同じフィルムシミュレーションのVelvia、Astia、Provia、PRO Neg.などを適用しても、発色がFUJIFILM内製のX-Trans C-MOSセンサーの出す画とは雰囲気が少しだけ異なります。

どちらが好みかは個人の主観の世界ですが、少数派の意見としてFUJIFILMの敢えてベイヤーセンサーモデルの画が好みの人々も居て、僕自身も他の人の純正X-Trans C-MOSセンサーの作例と比べた上で、実はベイヤーセンサーの画の方が好みだったりします。主観的な表現をすると、ベイヤーセンサーの方は発色が良く、解像度が高く、瑞々しく若々しい雰囲気で、対するX-Trans C-MOSセンサーは階調表現が豊かで、大人びた落ち着いた雰囲気に見えます。芸術写真として見た場合、より魅力的な表現に近いのはX-Trans C-MOSの絵作りかも知れません。但し高感度耐性についてはベイヤーセンサーの方がX-Trans C-MOS 4センサーよりも同じ条件下でより明るく映るために優れているそうです。

ちなみにこれはあくまでフィルムシミュレーションを適用したjpegでの話。RAWで見比べた場合はX-Trans C-MOSがより解像感が高いそう。ただ、僕自身はRAW現像は一切せず、完全なjpeg撮って出しフイルムシミュレーション依存派ですので、やっぱりベイヤーセンサーの画が好みである事に変わりはありません。でもってX-Trans C-MOS登載の上位モデルが欲しくないわけでは無く、そこはまぁ、もし今現在カメラの買い増しが出来るとしたら、X-E4を手に入れることになるのだろうと思います。

FUJIFILM X-A5 | xf35mmf1.4r ISO3200 1/27秒

ただ、オーディオブロガーとして弱点を敢えて言わせて貰うと、ベイヤーセンサー×FUJIFILMの画像エンジン、そしてFUJIFILM純正のXマウントレンズが生み出す基本的な画質傾向がかなりソフト寄りなため、無機物、特にガジェット等の機械系を撮影するのには、雰囲気的にあまり向いていないと思います。たぶんより設計の新しいFUJIFILM内製のX-Trance C-MOS機種であれば、もう少しシャープネスを出せると思いますが。

後継機X-A7/XT-200とX-A5/XT-100の違い

X-A5/XT-100には後継機として2019年秋に発売されたX-A7/XT-200があるのですが、短期間で市場から消えてしまい、残念ながら今のところ後継機も出てきません。X-A5の実質販売期間が異常に長く、X-A7が市場でまともに売られていたのは数ヶ月くらいだったと思いますが、時節的な問題もあり、それまでの機種に比べて台数が出なかったのでしょう。X-A7では本体の機能向上に加えてAF精度が向上し、液晶画質も3.0型104万ドットから276万3.5型に向上。重さも約361g→約320gに減量。高感度撮影含め、画質的にもX-A5より更に熟成が進んで良くなっています。

それはともかく、X-A7/XT-200については、背面液晶がチルトでは無くバリアングルに変更されたのが個人的には致命的でした。もしX-A7/XT-200がチルト液晶のままでしたら、更に画質の良いベイヤーセンサー搭載機という理由もあって、たぶん間違いなく追加購入していたと思います。

チルト液晶での撮影

今更だと思われるでしょうが、背面液晶がチルトするデジカメを購入したのは今回のX-A5が初めて。それまで使っていたコンデジは全て背面固定液晶でした。実際にチルト液晶で撮影をしてみると、もう撮影できる画角のバリエーションがありとあらゆる面で全く違います。カメラを持って撮影をすることの意味と画角の可能性が、チルト液晶の有無で全く違ってしまうのです。

FUJIFILM X-A5 チルト液晶

勿論、人の目線でスチル撮影をしたいケースでは、ファインダーの有無で被写体への集中度が変わりますから、X-A5にファインダーが無いのは個人的には最大の弱点だと思っています。ではバリアングル液晶はどうなのか?これについては、アクロバティックな角度での撮影可能性について、チルト液晶よりも更に撮影可能領域が広がるメリットは確かにあると思います。しかしながら、被写体と向き合いながらチルト撮影する歳に、レンズの真後に液晶画面が来ないデメリットは致命的。撮影散歩中たまにバリアングルで撮っている人を見かけますが・・・あれ良く撮れるなと...( ³△³  ).。o。

花写真の撮影では、液晶画面をカメラ本体にペッタリ貼り付けた状態で撮影することは少なく、9割以上が、ある程度チルトした状態から近寄って撮りますので、レンズの真後ろでチルトできない液晶は直感的な動作の上で致命的なのです。実際バリアングル液晶の新機種を購入したけれど、何か月経っても結局慣れないと云う不満は良く見かけます。欲を云えばバリアングルとチルトの両方を兼ね備える「3軸チルト」「フレキシブルチルト」機能があればベターなのですけれど、単なるバリアングル液晶は、本質的に動画撮影のための機能であって、スチル撮影には多大なデメリットがあると思っています。

FUJIFILM X-A5の弱点は多い

ディスコンになった今だから書きますが、はっきり言ってしまうとカメラとしてはポンコツです。なかなか合焦しないAF精度、癖のあるオートWB、僅か104万ドット3インチの低レベルな液晶画質、各機能呼び出しの面倒さ、動作の遅さ、撮影後に毎回使うWi-Fi転送の異常なまでの遅さなど、それまで良くも悪くもCanon機にに慣れていた僕には全てがあまりにも酷く、ガジェットとしての出来の悪さには、正直悪い意味で驚愕しました。僕自身は動画は全く撮りませんが、動画画質についても周回遅れだそうです。

FUJIFILM X-A5 レンズキット XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ

外観も写真で見るとそれなりにお洒落っぽいのですが、想像していたより大きく、質感も意外と男性的でゴツめ。重さも約361gとサイズの割に重く、当初Panasonic LUMIX GF9的な精度の高そうなガジェットを想像していた僕は、届いたX-A5を見て、デザインの詰めが甘く、イマイチ洗練されていないな~と感じてしまいました。2013年に発売されたX-A1からずっと同じサイズとデザインを踏襲していますので、2020年にもなると何処か時代遅れ感が否めません。(※但し、この大きさと重さは、実際に使ってみると、レンズ交換式カメラとしてはむしろ適切なバランスです。)

また、上位機との機能差別化で、フィルムシミュレーション(クラシックネガ、エテルナが無い)や、設定可能な範囲の少なさ、複数のカスタム画質設定を記憶してプリセット出来ないのはかなり問題です。液晶画質については3.0型104万ドットと解像度が低すぎ、マニュアル撮影時のピント合わせが見辛い為、Xマウントのマニュアルレンズを積極的に選択することが事実上困難になっています。

カメラの本質は、ある意味、持ったときの質感や、操作性、機能性にあると思っています。その差から必然的に撮れる写真が変わってくるからこそ、FUJIFILMでは下位機と上級機で敢えて画質には差を付けず、質感や操作性、機能性にだけ差を付けているのだろうと。その意味でX-A5を使い続ける僕は、同じ事をしながらも、潜在的にいくらか撮影機会の逸失をしているのかも知れません(特にポンコツAF)。

それでもやっぱりX-A5が好き

そんな感じで、低価格と引き換えに、X-A5のカメラとしての機能的な欠点を挙げると割と色々酷いのですけれど、そういったあらゆる欠点を些末なものに感じさせてくれるのが、X-A5から出てくる写真の画質の素晴らしさでした。これまでも、カメラを買い換えるとついつい嬉しくて、その度に最初の1~2ヶ月くらいは積極的に近所を歩き回ってスナップ撮影をしていました。けれども結局期待していたいたような画質の写真がなかなか撮れないため、徐々に出不精になり、暫くすると室内での物撮り専用機になってしまいました。

ところが今回のFUJIFILM X-A5では違いました。有り体に云えば、ほぼ最初から、僕が期待していたよりも、撮影時に想像していたよりも、良い意味で予想を上回る写真を沢山吐いてくれるのです。最初の頃は「絞り値」の意味すら判らず、画質的にも中途半端な付属ズームレンズのXC15-45mmをオートで使っていたため、この時点での画質は今観返すと色々アレな感じですけれど、それでも長年コンデジを使ってきた身からすると、画質の向上幅は目を見張るもの。急に写真が上手くなった様な、ネット上の写真が上手なアマチュアの人達と同じような雰囲気の写真がいきなり撮れるようになった訳です。しかも自分では意図していないのに予想外の綺麗な写真がポコポコ撮れている感じで、ガンダムに載れば(初心者のアムロでも)強くなれるみたいな、下駄を履かされすぎてインチキ写真じゃ無いのこれ?と、嬉しいながらも内心複雑な気分だったり。゜゜(´▽`。)°゜。。

FUJIFILM X-A5 | XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ 45mm f5.6

いずれはFUJIFILMの上位機種に乗り換える時が来るのかも知れませんが、ベイヤーセンサーの色味を気に入ってしまいましたし、今は手持ちのX-A5を可能な限り限り使い倒したいなと。次回はX-A5にも搭載されている富士フイルム独自のフィルムシミュレーションについてです。

FUJIFILM X-A5 | XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ 41mm f5.6

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