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失われたガラスを求めて

二十歳の頃北海道の新千歳空港の店でガラスのブレスレットを買った筈だ。
筈だというのはそのブレスレットをうっかり壊してしまった後改めて北海道に行ってブレスレットを探したところ、同じデザインのガラスを置いている店で「空港内でこのガラス製品を扱っているのはこの店だけだしブレスレットを扱った事はない」ときっぱりはっきり言われてしまったからだ。残念ながら店員さんが正しいのだろう、私はガラスの種類まで忘れてしまったので。

ヘッダーの画像には可愛いブレスレットの写真を選んだが、そのガラスのブレスレットはシルバーのチェーンにワンポイントガラスを使っているタイプのデザインで青い色のグラデーションが吸い込まれるような輝きを放っていた。滅茶苦茶綺麗だったしチェーンが細いのも好みだったのだが、インターネットでガラスアクセサリーを検索してみるとトンボ玉も出てこない。小樽にもガラスを扱う店が多いので栄枯盛衰盛者必衰なのかもしれない。別に驕ってはいなかったと思うのだが。

思い出は美化されるし風化する。私はもうあの素敵なブレスレットの事をきっと殆んど覚えていなくて、けれどあのブレスレットを付けていた時の嬉しい気持ちだけは寧ろ輝いてしまっている。人生にはそうやって取りこぼした思い出がたくさんあって、それに再び巡り合ったり別れたままだったりする。でもマジであのブレスレットだけはもう一回欲しい。本当に綺麗で可愛くて大好きだったのだ。

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