犬という「いきもの」

最近読んだエッセイに、犬についてのエピソードをがあって、ふと自分と犬とのエピソードを思い出した。

もともと幼いころに犬は飼ったことはある。
父方の実家が飼っていて、その実家に住むことになった際に一緒に生活してたけど、家族という認識を抱く前に亡くなってしまったので、特別私の中で犬に思いれがあるわけではない。その後犬も飼ってはいない。
嫌いではないし、動物は基本好きだけど。

思い出したエピソードというのは、タイトルにあるように二度見する犬に会ったことがあるという話。
大した話ではないが、いまだに不思議な思いがある。

二度見する犬

学生のころだったと思う。
ただ、どの学生時代だったかは記憶にない。
家の近所を何の用事か歩いていたときに、雑種とみられる茶色の犬を連れた
中年女性が進行方向からこちらを向いて歩いていた。日課の散歩という感じ。

知り合いでもないし、お互いに何の気もなくさらっとすれ違った。
私の左肩越しにそれぞれが通り過ぎる風景の一部となって過ぎ去ろうとしていた。
そう、人間同士は。
すれ違う瞬間ふと犬がこちらに視線をやる感覚を得た。
つられるように私も犬に視線をやると、犬はこちらにやった視線を前に戻す瞬間だった。
が、なんと二度見してきたのだ。
まさしく、「え？！」という人間のようなしぐさで二度見。

なんだと思って犬の顔を見ると、驚くことに目を見開いて驚愕の表情をしている。
愕然といったところか。
いや、犬って表情あるんだな、とどこかで冷静な自分が感想を言う。

後ろを振り返っても誰もいないし、どうやら私に向けた表情だとはわかる。
犬は、立ち尽くしかけていたけど、そんな犬の様子に気づいていない飼い主だろう中年女性は、止まることなく歩き続けているので、犬はリードにつられて進むしかなく引きずられるように歩き出した。
しかし、どうにもこちらが気になって仕方ないようだ。
呆然と見送る私を仕切りに立ち止まって何度も振り返ろうとするので、急に進みの悪くなった犬に飼い主は「急になに？！」と怪訝な雰囲気。

別に何もしてないけど、飼い主が私の存在に気づいたら気まずい思いをしそうだと思って何度も振り返る犬を背に、私はその場を去った。

鉄板ネタみたいになってる

今思えばそのころからだったと思う。
散歩中の犬とすれ違う際、すっごい犬に寄られる。

数十メートル先を向かい合ってこちらに歩いてきた散歩中の犬が、
私の存在に気づいて、はっとした表情を浮かべて耳を立ち上げる。
そして急にこっちに来ようとする。
もちろん、知り合いではない。

すれ違いざま、こちらは何の関心もないですよと視線を合わせないようにして、相手の犬も「散歩中ですから」って感じで直前まで無関心のくせに、
すれ違いざまこちらに急接近してきたり。

公園で立ち話をしていたら、足首に冷たい感触と軽い衝撃に驚くと、リードを離されたパグが突進してきていたり。（飼い主が追いつくまで嗅ぎまわされる、なんだ？匂うのか？）

目が合うと逸らすくらい人見知りな犬が向かいの家に飼われていたが、
向こうの散歩途中に横断歩道越しに向かい合う形で鉢合わせた際に、
はっとした表情の後、満面の笑みでこちらに急発進しようとして、
飼い主が「急になんだ！？」と驚いて止めてる場面に出くわした。
ごめんなさい、いえ、私何もしてないんですけどね。
そもそもわたしたち、全然そんな偶然の再会に喜ぶほど仲良くないよね。
ただのご近所さんよね？

今日も散歩途中に犬に寄られる

大型系の子は、割と穏やかでしつけが厳しいのか、こちらに急発進してくる
ことは少ないけど、ず～～～っと視線を向けてくる。
今日の散歩中にもそんな子に出会った。
私は視線を合わせずにすれ違っていたんだけども、一緒に散歩していた家族には「すれ違う間、ず～っとあんたの方見てたよ」と言われた。
さらに出会った散歩途中の人懐っこそうな小型犬は、小学校のグランドのフェンス越しに飼い主の知り合いと思われる女性に撫でられてうれしそうにしていた。
これは、普通に問題なくすれ違うなと思ったら、その後ろを通り過ぎる瞬間に急発進してきた。
油断ならない。

といっても、動物に好かれることは悪いことではない。
許されるなら撫でさせてもらえたらうれしいが、人見知りなので知り合いでもない方の飼い犬に手は伸ばせない。
あちらも、急発進する犬に戸惑って申し訳なさそうにされるので、なんだかこちらも申し訳なくなってくる。

まあ、でもそんなに悪い特性でもないし、好かれる(という解釈でいいのか？)のは単純にうれしい。
犬とすれ違う際、何事もなくすれ違えるか毎回賭けのような心情も面白いと思ってる。

ただ、二度見した犬にもう一度会えて、かつその子の言葉がわかるなら聞きたいことがある。
わたし、なんか憑いてるんでしょうか？？