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Her Last Sight 『Mirrors』(2021)

イスラエル テルアビブで2019年に結成された新人メロディックメタルコアバンドHer Last Sightのデビューアルバム『Mirrors
レーベルはLiron Avital Productions。

熱心なBullet for my valentine信者らしく、メンバーが恥ずかしげもなくカバーの演奏動画をYouTubeに上げてたりする。

このアルバムに収録されている曲もBFMV風味の曲が大半なのだが、本家にはないオリエンタルな雰囲気や、プログレ色が強めな点など所々で独自性も主張している。

「尊敬するバンドのサウンドをひたすらコピーしてます!」という若さ故の一点突破の勢いの中で、聞き進めるにつれて徐々に個性が芽生え始める感じがとても微笑ましいアルバム。
これからも追っかけたいと思います。

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Nir Schwartz - vocals
Shay Madar - guitars
Ofek Asulin - guitars
Ron Maya - bass
Alon Lifshitz - drums
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■Mirrors
どこかオリエンタルな響きと怪しげなクワイヤ、ちょい泣きギターが重なり合う導入曲。
■Ghost
ややこもり気味のディストーションが効いているギターと、良い感じにピロピロしてるギターが軸を成すメロコアオープニングチューン。
異国風味の楽器のサウンドも顔を出し、アイデンティティを主張してくる所好きだし、
デス声とクリーンの切り替え方とかBullet for my Vallentine無条件リスペクトの姿勢もある意味吹っ切れてて好感が持てる。
しかし、「あれ、ベースレコーディングし忘れた?」と思うほどの音の軽さがどうしても気になちゃうな。。
■Rise Up
もうBullet for my Vallentineを隠す気がない笑
ギターのサウンド、やや軽めのグロウルと上擦るようなシャウト、唐突なテンポチェンジに伴うクリーンボイスへの切り替え、エモさを撒き散らしながら疾走する様、BFMVへのリスペクトが過ぎる。
あとMVのギターのシャウト、なんか笑ってしまう。

■What Does It Mean
またもやBullet for my(略
開幕からの良いグルーヴを一度完全にぶった斬って仕切り直す展開は新しい。
からの、突然のピロピロピロピロ…に載せてグロウルし出し、そこからパンキッシュに爽やかに走り通す展開もやや無理矢理感はあるが若さ故のエナジーが溢れていて良いです!!

■Tyranny
冒頭の流麗なギターソロはクサめのメタルメタルしてる感じはあるが、コーラス付近では東洋系の香りを残しつつ、エモさ満点のシンガロングが聞けるという個性で良い感じにクサみを打ち消し、爽やかな疾走系のメロコアに仕立てる事に成功している。
■Forever Gone
軽快なギターとリズム、キャッチーなメロディを残して、疾走する時はしっかりと疾走する、メリハリの効いた曲。
荒削りながらも構成やハーモニーを大切に作っているのがしっかりと感じられるし、なんなら下手に色々試してぐちゃぐちゃになるパターンのベテランバンドなんかより、やりたい事がちゃんと明確に伝わってくる分、聞きやすい。

■Memories
ジャーマンメタルの匂いも少し感じる勇壮なギターソロから、怒涛のブラスト疾走がとても良い展開。
テンポチェンジも頻繁に行い、飽きさせないどころか、次はどんなサウンドが飛び出して来るんだろうと少しワクワクしてしまっている自分がいる始末。
良いよこのバンド、気に入りました!
■Dead Romance
リズムやメロディがさらに多彩になり、万華鏡のように次から次へと新たなサウンドを繰り出す様はAugust Burns Redのようなインテリさを感じさせる。
1:48あたりの急ブレーキが掛かったようなヘヴィなカッティング、最後30秒の泣きのギターアウトロは否が応でも耳が持っていかれる。
最初は「モテたいんでちょっと流行りのヤツ入れときます」みたいな感じに聞こえていけすかなかったが、段々と馴染んできて普通にリピートしてしまうではないか!
■Answers
前半は切れ味鋭いギターのリズムに合わせて、近未来的サイバーなサウンドを織り交ぜる大胆な試みをしているが、2:45あたりから突如イングウェイ、いやマイケルロメロが憑依しクラシカルクサメロ大会が始まります。
こういう遊びというか、諸先輩方のオマージュを大胆にやっちゃう所が最近の若いバンドの魅力なのかなと。
■New Dawn
デスボイスやクリーンなエモメロ、ギターピロピロ、たまに顔を覗かせるチャント、、日本のFear, and loathing in Las Vegas と対バン組ませてみたい。

■Dead and Cold
間を意識した音作りと若さ溢れるエモコア。
彼らのクリエイティビティと勢いをそのまま詰め込んだアルバム最後を飾るにふさわしい曲。
Dream EscapeというバンドのVo兼プロデューサーであるliron avitalをフィーチュアリングしている。
というか、彼の立ち上げたレーベルからこのアルバムを出している。
最後にプロデューサー登場。


総合満足度 87点(BFMV好きは絶対に聞いたほうがいいレベル

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