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AESMAH 『Walking Off The Horizon』(2020)


フランスはリヨン出身のシンフォニックデスメタルバンド AESMAHのデビューアルバム。
レーベルはドイツのApostasy Recordsからリリース。

2009年の結成当初は2人組だったらしいが、現在はツインギターを含む4人組で活動している。女性ドラマーAudrey Gardenatが美しかっこいい。
作風的にはINSOMNIUMKATATONIAに近い幻想的なサウンドに気持ち程度のデジタル音をまぶした作り。曲によっては初期のAmorphisDark Tranquilityみを感じるパートもあり、やっぱりイェーテボリスタイルが根底にあると思う。

そして、、いかんせん曲が長い。
プログレ並みです。
一曲一曲にモリモリっと盛っているため、色々な展開は楽しめるのだが、ちょいとダレてしまうのは修行が足りないせいですかね…
Opethあたりを聴いてめくるめく幻想空間にしっかりとトリップしたい人は一聴の価値はあると思う。

Walking Off The Horizon


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Vo, Ba : Francois Tissot

Gt : Olivier Girard

Gt : Simon Moulin

Ds : Audrey Gardenat
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■Quartz Pt. I
優しいギターの調べに乗せて静かに幕を開けるインスト曲。

■Quartz Pt. II
重々しいスローなギターリフの裏でピコピコ鳴るゲームの電子音が絡まるのがかわいい。
歌が始まるとザクザクキレの良いバッキングギターに合わせて微かにテルミン(?)みたいな音も聞こえてきて、若干の違和感を覚えつつもこれはこれでとても新鮮。
初期AmorphisやDark Tranquility を思わせる煽情的なギターも入り、色々意欲的に盛り込んでいて非常に好感が持てるシンフォニックデスメタル。
ドラムのAudrey嬢が美しい。


■Wave of Singularity
叙情的なギターとタイトなリズム隊の紡ぎ出すサウンドの広がりがとても心地よい曲。
モダンなシンフォニックメロデスやってます。

■Emerald Visions
前ノリ系のリフで煽りまくる疾走系かと思いきや、途中でテンポチェンジしてフックのあるギターで雰囲気を変えてくる。
3:35〜あたりからのクリーンギター→ウィスパーボイス→テクいバッキングギターの流れは鳥肌モンです。

■Nameless Echoes
In flames、Dark Tranquility直系のイェーテボリスタイル丸出しの良質メロデス。
メロディアスなギター、浮遊感ある空間系サウンド、ミドル〜ハイテンポを行ったり来たりするタイトなリズム隊、唸る系のデスボイス、モダンメロデスのお手本のです。
ちょっと気になったのが、(一曲目もそうだったが)ちょいちょい挟んでくる8bitゲームのピコピコ音。
彼らのアイデンティティなのか…?


■Feeding The Eclipse
まさかの12分を超える大作。前半は民族的な香りを少し漂わせつつ、良いフックをかますギターワークがクール。
3:40あたりのズドドド…!という地鳴りのようなバスドラを合図に中間部のアコギを爪弾いたりしちゃうダレるパートに移行し、再び民族的な香りを漂わせ、後半は重厚なメロディを漂わせ静かに終了する。

■Ocean Of Veinings
Djent風でもあり、モダンメロコア風でもある独特のフックのあるリフを叩き込んできたかと思いきや、ブラストビートで疾走する。
後半はひたすら優雅なギターの調べにVoが絡みつくミドルテンポでゆったりと進む。

■Stained Souls
アクセントの効いたざく切りギターリフ、
ピロピロギター、シンフォニックな展開を裏から支える力強いバッキングギター、、
アルバムの中でも特にギターのサウンドが軸となっている曲。

■Hollow
ドゥームすぎるベースから始まり、テクニカルなバッキングギターと終始流れるリングトーンのようなアルペジオが特徴のゆったりとしたアートなメタル。
疾走すると見せかけて、そこまで激しくは走らない甘噛みフェイントすら芸術に聞こえる。


■Ghosts
これまた10分超えの長尺。
霧に包まれた冷たい湖畔にそびえたつ木々の間から聞こえてきそうな幻想的な一曲。
まさにアルバムのアートワークを音にした感じの雰囲気です。


総合満足度 78点(朝霧に包まれた湖畔を歩きながら聞きたいレベル

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