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GLASYA 『Heaven’s Demise』(2019)

ポルトガルはリスボン出身のシンフォニックメタルバンド、GLASYA。2017年に元Heavenly BrideのDavonやEduarda Soeiroが中心になって結成。

Eduarda Soeiro嬢が奏でるオペラティックな歌唱とダイナミックに大仰に展開するメロディが特徴の良質なシンフォニックメタルをやっている。。が、Nightwishをリスペクトしすぎるあまり、初期Nightwishのサウンドをほぼそのままリリースしたデビューアルバム『Heavens Demise』が各地で高評価を得てしまったため、Nightwishのニューアルバムかと思って寄ってきたメタラーが気付かぬまま沼ってしまうという、優れているのはポテンシャルだけではなく、戦略が素晴らしいバンド。

メロディセンスは間違いなく良いモノを持っているので、もっとオリジナリティを突き詰めて欲しいと思い、今後に期待しつつ紹介したい。

Heaven’s Demise

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*Hugo Esteves-Guitar
*António Durães-Bass
*Davon Van Dave-Keyboard
*Eduarda Soeiro-Vocals
*Bruno Prates-Guitar
*Bruno Ramos-Drums
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■Heaven's Demise
開幕から惜しげもなく荘厳なクワイヤとオペラティックな歌唱を炸裂させまくり、Tarja時代Nightwishを追体験出来る曲。
Nightwishよりはサウンドクリエイションにちょっとルーズさは感じるが、一方でピロピロギターは本家より多めなのでギターキッズには朗報だ。

■Ignis Sanctus
引き続きクワイヤを背負いながらTarjaよりちょい線の細い歌唱で伸びやかに朗々と詠唱するEduarda Soeiro嬢。
だんだんTarjaにしか聞こえなくなってきた…
Marcoよりは野獣に近いグロウルと地を震わすベースが加わり野生味もマシマシ。

■Coronation Of A Beggar
ハイ、Nightwishの未発表曲です!
って言われてもほとんどのメタラーは気づかない説を提唱したいレベル。
『Once』に入っていても全く違和感が仕事しない。
ギターソロもメロディ重視で横で腕組みしながら聴いていたEmppuも思わずニッコリ。

■Glasya
バンド名を冠した重要な曲をさらりとこの位置に持ってくる度胸がステキ。
頻繁なテンポチェンジ、ヒステリックなグロウル、異臭を漂わせるネオクラ展開など、せっかくバンド名にするならやりたい事は全て詰め込もう!という気概を感じる。
メインテーマのコーラス部分はもっと繰り返して壮大にしても良かった気がする。

■Eternal Winter
哀愁を噴き出すギターメロディと、勇壮なストリングスを抱えて疾走するシンフォニックメタルチューン。
様式美やクサみが大好きなメタルおじさんたち(自分含む)は大歓喜でしょう。
やはりシンフォメタルでしか得られない栄養素は確かにある。

■Birth Of An Angel
しっとりと聞かせるスローテンポチューン。
イマイチキャッチーなメロディが無く、ちょっと印象が薄いか…
ギターソロはエモすぎ注意報出てます。

■The Last Dying Sun
もはやカバーバンドかと思うくらいのリスペクトが感じられる曲。
『Storytime』…

■Neverland
クワイヤガン鳴りパワーメタルタイプの曲。
ヴァースで哀愁を込めたメロディ展開しつつ、コーラスでは陽転して一気に明るく開放的なサウンドになる。
ギターソロはStratvariusやSonata Arctica の系譜を引く、美メロスケール速弾きで一発の破壊力を示してくる。

■No Exit From Myself
Eduarda Soeiro嬢がオペラティックから、可愛いロリに振ったような歌い方に変化。
しかしコーラスでは生まれ持った高貴さと共に超絶ハイトーンボイスで天空へと届く美声を響もす。
ギターの澄んだ清流のようなトーンとメロディも曲によくマッチしていて、説得力がある。

■A Thought Of You
アルバム最後を豪華に締めるインスト曲。
ピアノが寂しげに語り出し、途中からパーカッションやストリングスが一つの壮大な音の塊を作り出し、最後はまたピアノが1人で歩き去っていく…


総合満足度 80点(あの頃のNightwishを思い出させてくれるレベル)

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