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Bury Tomorrow『The Seventh Sun』(2023)

イギリス・サウサンプトンにて2006年に結成されたメタルコアバンド、Bury Tomorrow
2010年に『Portraits』でデビュー。
日本とアメリカではArtery Recordings からリリースされ、同年、Asking Alexandria、Of Mice & Men、Sleeping with Sirensらとアメリカツアーを敢行するなど精力的なプロモーションを実質する。

ヒステリックさすら感じるDaniel Winter-Bates(Vo)の激唱スクリームと、まっすぐで芯の強いクリーン・ボイスを吐き出すJason Cameron(Gt,Vo)、それらを支える図太いリフとタイトなビート、そしてなんといってもメロディの秀逸さが光まくりのUKメタルコア界の重要アクト。

順調にアルバムをリリースし続け、2020年には『Cannibal』という名盤を世に生み出すものの、2021年に長年ギター兼クリーンVoを務めてきたJason Cameronが脱退してしまう。

バンドの軸であったメンバーの離脱に不安がよぎるも、なんとEd Hartwell (rhythm guitar) とTom Prendergast (clean vocals and keyboards)というまさかの2人追加という予想外の体制と共に作成された『The Seventh Sun』(Sony Music傘下のMusic For Nationsからリリース)が過去最高の出来で、私うれションしながら駆け回ってます。

The Seventh Sun


今年来日するらしいので今からワクワクが止まりません。

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Daniel Winter-Bates: Vocals
Davyd Winter-Bates: Bass
Kristan Dawson: Lead Guitar
Adam Jackson: Drums
Ed Hartwell: Rhythm Guitar
Tom Prendergast – Keyboards & Vocals

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■The Seventh Sun
強靭なメタルコアリフが激烈な幕開けを告げると、地を揺らすDanielのグロウルが追っかけてくる。
コーラスでは今作から加わったTomのクリーンボーカルが鮮やかにに存在感を放っている。

■Abandon Us
激烈にブルータルなリフとブチギレまくりのDanielの「ドゥアッドゥアッ」からの一転、メロディアスで叙情たっぷりのコーラスが沁み渡る一曲。


■Begin Again
クリーンヴォイスとグロウルがユニゾンしながら始まる血潮沸る轟音。
一抹の浮遊感を抱えながらも突き進むスローテンポチューン。

■Forced Divide
Bury Tomorrowのもつアグレッシブネス、スピード、展開力が全て堪能出来るメロコアチューン。
重量感のあるブラストビートからの筋肉質なギターの刻みワーク、そしてコーラスの開放的なシンガロング。
お決まりのブレイクダウンを強烈に発生させつつも、Djentばりのギターは休むことを知らず常に忙しく動いている。

■Boltcutter
いかにもメタルなミュートの効いた小刻みリフとオリエンタルな響きを漂わせながらも荒々しく駆け巡るKristanとEdのギター部隊に精一杯のメロイックサインを送りたい。

■Wrath
エモいイントロとギターリフに続いて狂気のグロウルが起伏のないヴァースを走り切ったと思いきや、コーラスで美しく爽快な激唱を炸裂させてくれる感動的な曲。
強く歌詞を叫び倒す箇所と、滑らかに触るように発音する箇所が最高に艶かしい。
メロディラインの美しさには定評のあるBury Tomorrowだが、この曲もその好例。
本格的な生バイオリンの音色も入っていて音の豪華さが常に耳を癒してくれる。
個人的にアルバム一位、二位を争うくらい好き。

■Majesty
ピアノをバックに切なげに囁くバラード。
後半のバンドとストリングスが一斉に押し寄せてくるダイナミズムで心臓が鷲掴みにされる。


■Heretic
Loz Taylor(While She Sleeps)をフィーチャリングした1曲。
コーラスで響きわたる美しくも強靭なクリーンヴォイスはさすがの一言。
ギターソロもエモさ一発、キレッキレのフレーズが煽情感を引き起こす。

■Recovery?
Tomの高貴さすら感じる耽美な声で奏でられるイントロのテーマ掲示から、メロディアスなギターリフへとシームレスに繋がり、物語が複雑に、しかし豊艶に連なる。
What is recovery?のグロウル部分でタイトル回収してきてまた鳥肌が止まらない。

■Care
激しく叩きつけるようなビートと、激流のようなシャウトから始まるファストチューン。
グロウルとクリーンヴォイスがユニゾンして美しく絡み合うのはBury Tomorrowの特徴だが、この曲も動と静、陰と陽、秩序と混沌が混ざり合う素晴らしい劇場を創り出している。

■The Carcass King
クリーンな清涼感のあるギターにDanielの憤怒グロウル、Tomの切なく強靭でストレートな声、そしてCody Frostの活力に満ちた瑞々しい声が新機軸として絡む。
哀愁が満ち溢れるメロディアスな秀逸曲。

総合満足度 90点(メロコアの明日を担ってくれるレベル)

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